御嶽山とは山の名前である。
本項目では長野県と岐阜県にまたがる山について述べる。
概要
日本で二番目に高い「独立峰」であり、二番目に高い火山である。山体は長野県と岐阜県にまたがっている。
最高地点の標高は3,067mで、本邦山岳中では富士山と日本アルプスを除くと最も高い。
高いと言っても、長野県側については中腹まではバスや車で到達できる上に、さらにそこからゴンドラリフト(御岳ロープウェイ)で山頂に近いところまで登れ、さらにそこから先頂上までは険しい岩場は無い。また、頂上付近には山小屋が多数あることから、山小屋に泊まるツアーも企画されるなど、立山・乗鞍岳と並んで初心者向けの比較的登りやすい山と言える。
単純な登山以外にも、王滝御嶽神社の社殿が多数あることから、信仰目的で登山する者も多い。
今でも噴気を上げている活火山であり、1979年には水蒸気爆発を起こしている(1968年に噴気活動開始。噴気活動が始まるまでは死火山と考えられていたが、御嶽山の水蒸気爆発により、火山はいつ噴火するかわからなくなったため、休火山とともに「死火山」は公的には使用されなくなった)。その後は小康状態であったが、1991年と2007年に小規模な噴火はあったことから、気象庁による監視は続けられていた。そして、2014年に噴火が発生した(後述)。
なお、活火山の活動度のランク分けとしてランクBに指定されており、これは2011年に噴火した新燃岳や日本で一番大きな山である富士山と同じランクである(つまり、富士山も噴火する可能性があると言うことである。ランクについてはこちらを参照)。
よく北アルプス(飛騨山脈)や中央アルプス(木曽山脈)にあると思われがちだが、御嶽山は独立峰の活火山とするのが定説である。北アに含まれるかどうかは、乗鞍岳以南に高峰こそないものの河川が無い為よく議論になる。しかし中アとの間には木曽川が流れているので確実に異なる山系である。
2014年の噴火
2014年9月27日11時52分頃に噴火。噴煙は最大で11kmに達したとされる。
当日は紅葉シーズン中であり、多くの登山者が御嶽山に登りに来ていた(夏山シーズンは悪天候で登山者が少なく、その分紅葉シーズンでの登山者が増えたと考 えられる。また、当日は土曜日であり、登山者が多くなっていた)。そして、正午付近は多くの登山者が頂上に到達する時間帯であり、頂上付近は神社や山小屋 を除いてほとんど隠れることができる場所がないことから、結果的に多くの人が噴火による噴煙に巻き込まれた。「概要」節で述べた通り、御嶽山は長野県側からが登りやすいため、けが人は長野県側に集中していた。
この噴火により、登山者が多数山頂付近に取り残されたほか、多くのけが人や意識不明、行方不明者を出した。また、山頂や王滝御嶽神社頂上奥社付近で火山灰に生き埋めになった登山者も確認されてたが、その後の噴火活動の影響で救助活動は難航し、一部の行方不明者が救助できないまま2014年の捜索活動は終了した。
その後、2015年に再び捜索活動が再実施された。
人的被害は、2015年8月1日時点で死者58人、行方不明者5人、負傷者69人(うち重傷29人)。この人的被害は後述する雲仙岳の死者・行方不明者43人を上回って戦後最悪となった。
なお、死者のうちほとんどは噴石が体に当たったことによる損傷死(多くは即死、一部はショック死)、一部については喉に熱風が通ったことによる熱傷死であった。
また、捜索活動に従事した自衛隊員、消防官、警察官41名が高山病や低体温症を発症して下山したことから総務省消防庁の山岳救助活動マニュアルが17年ぶりに改訂されるほどだった。
御嶽山頂上付近はLTE回線が通っていたため、噴火直後からTwitterに多くの画像が投稿されたほか、YouTubeには噴火直後の様子を撮影した動画もアップロードされ、多くの閲覧者に衝撃を与えた。このほか、噴火する1分前に頂上付近で画像を投稿し、その後ツイートが途絶えた登山者のアカウント(最終的に生存報告があり、アカウントを削除した)に注目が集まった。
航空便にも影響があり、ジェットスターのオーストラリア・ゴールドコースト発成田空港行の2便が関西国際空港に目的地を変更し、折り返し便が欠航となったほか、全日空と日本航空の飛行機は羽田空港および成田空港発着の一部の便について迂回措置を取ったため、30分前後の遅れが発生した。
前兆としては8月29日から火山性地震が観測されていたが、9月11日の85回をピークに減少し、26日はわずか6回であった。また、地殻変動データにも大きな変化が見られなかったことや、御嶽山は噴火のデータが少なかったこと(1968年の噴気活動開始まで死火山だと考えられていた上に、ここ最近は小康状態であった)、マグマが上昇してこない「水蒸気爆発」であると考えられることから、予知は困難であったとされる。
噴火によって多数の人的被害が発生した例としては、直近の日本の事例として、1991年6月3日の雲仙岳の噴火による火砕流が挙げられる(死者・行方不明者43人、負傷者9人)。
ただし、雲仙岳の事例と異なるのは、雲仙岳は「マグマ噴火」であり、噴火が発生すること・火砕流が流れてくることが予測可能であったのに対し(既に幾度が噴火が起きていた)、御嶽山は「水蒸気爆発」であり、予知困難であったことが挙げられる。また、雲仙岳の人的被害は「マグマ噴火」による火砕流に巻き込まれたことが主であり被害者は田畑が点在する低い土地に多かったが、御嶽山は「水蒸気爆発」による噴石が後頭部などに強打したことが主であり、被害者は山頂付近に多かったと言う違いがある。
もともと活火山であることから、噴火警戒レベルは2008年の導入時は1(平常)となっていたが、噴火発生後は3(入山規制)に引き上げられた後、噴火から4年後にレベル1(活火山であることに留意)に引き下げられた。
火山性地震が観測された段階で、噴火警戒レベルを引き上げるべきだったのではとの指摘もある。しかし、火山性地震が観測されても噴火しないケースもあり、そう簡単にレベルを上げるわけにもいかないのが現状である。
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関連項目
外部リンク
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