御朱印とは、神社や寺院で御朱印帳という専用の帳面に、僧侶や神職(もしくはその代理)から頂く印のことを言う。
御朱印の概要
イレギュラーなデザインは多々あるのだが、一般的には中央に押される印(朱で押すため朱印という)がその寺社や本尊を象徴するものであり、御朱印の本体部分である。さらにあと1つか2つの印が押されることが多い(左下に寺社、右上に霊場名など)。
これらの印の上に墨書でサインがなされる。この墨書を御朱印だと勘違いしている人もいるが、メインはあくまでも印の部分である。だから伊勢神宮の御朱印などには日付しか墨書がなく、中央は印のみである。神社の場合は神社の名前、お寺の場合は本尊の名前などが一般的である。さらに参拝日が左下に墨で書かれる場合が多い(有名寺社だと参拝日はダイヤル式のスタンプであることも)。
御朱印帳は文房具店等でも購入できるが、寺社で独自の御朱印帳を販売している場合もある。どれを使おうとも自由であるが、折本式の蛇腹になっているものが一般的である。最近は2倍の見開きサイズのお絵描き系御朱印もあるため、見開きサイズの御朱印帳や、書置を入れるファイル型の御朱印帳なども出現している。
御朱印の代価は寺社によって異なるがおおよそ300円から500円である。中には金額を明示していない場合もある。お気持ちでということだが300~500を出せばまず問題はない。見開きやお絵描き系はもっと高額な場合もあるので注意。
記念スタンプとは異なるので、扱いには十分注意をしたいところである。
御首題の概要
日蓮宗のお寺では「御朱印」と言うと「妙法」などと書かれた御朱印をくれるのだが…、それは日蓮宗のお寺からすると一等格の劣るシロモノである。日蓮宗のお寺ではそれとは別に「御首題」というものを書いてくれるのだが。。
御首題とは御朱印の墨書部分に「南無妙法蓮華経」の文字列をヒゲ文字と呼ばれる独特の書体で書いたものである(これがなかなかかっこいい)。日蓮宗ではこれを重んじ千箇寺を巡るのが善行とされている。
ただ、御首題は御首題帳と呼ばれる帳面に御首題だけで集めなければ書くことを通常拒否される。つまり他の宗派のお寺や神社の御朱印と混ぜてもらうことはできないということだ。つまり、御首題に興味がある場合、日蓮宗用に一冊御朱印帳を別に作るのがおすすめということである。
なお、日蓮正宗では御首題は書いてくれないからくれぐれも大石寺に特攻するとかのチャレンジャー行為は慎んでほしい。
霊場の御朱印
四国八十八ヶ所などの「霊場」では御朱印(納経)を集めることが巡礼の形式になっているため、これらの寺院では頼めば当然に御朱印を書いてくれるし、コロナ禍でも書置になることはあまりない。こういうところでは御朱印を集めている側もガチ勢であることが多く、笈摺や掛軸に御朱印を集めることもある。めでたく完成した掛軸は額装や軸装して完成なので、完成までウン万円もするガチの世界である。
これらの霊場の御朱印のためには霊場専用の御朱印帳(納経帳)があることが多いため、これを利用することが好ましい。四国八十八ヶ所や西国三十三所などの有名どころは通販でも購入可能だが、マイナーな霊場の場合でも大抵は一番札所や大きなお寺に行けば売ってるものである。
こういう霊場には霊場会なる組織が存在し、納経料などの価格やオープン時間も明示されているため非常にわかりやすくなっている。
御朱印を巡るあれこれ
御朱印自体は江戸時代前後からあるのだが(六十六部廻国巡礼者が各地で写経を納めた際の受取状が御朱印になっていったとされる)、大規模なブームとなったのは平成になってからのため、寺社参拝や御朱印についての基本的な常識がないニワカもいて各地で様々なトラブルを引き起こしている。とにかく大寺社で先預けの指示がない限りは、本堂や本殿にお参りを先にしてから御朱印はもらおう。
書置しか用意のないところもあるが(昨今はコロナ禍で急増した)、いかなる形態で出すかは発行側の裁量なので、直書きを強要するようなことはしてはいけない。また墨書の上手下手をその場で論難するなども、もっての外である。書き手はお習字の先生ではないし、墨書は御朱印の本質部分ではない。あと、転売は○ね。
御朱印帳を神社と寺で分ける必要は必ずしもないし、ほとんどのところでは気にされないのだが、極々一部の寺社はこれをNGと考えていて、記帳拒否されてしまうこともある。それを避けるためには分けて二冊持ち歩くしかないのだが、前述の日蓮宗や霊場の専用帳面と合わせるとかさばるので悩ましい話である。
御朱印をくれない宗派
もちろんだが、仏教・神道以外はNGである。ある長崎の教会が昔企画で出していたが今はやめている。仏教でも浄土真宗と日蓮正宗は御朱印をやっていない。ただ浄土真宗については分派や一部寺院では出していたりするので(牛久大仏とか)個別に確認が必要である。新宗教でも神道系では一部出しているところはあるようだ。海外のお寺や神社は日系であればもらえる場合も多いが(ハワイやインドなど)、基本はもらえない。御朱印はあくまでも日本の文化なのだ。例外的なところとしては西安の青龍寺、台湾三十三観音のお寺などもある。
関連項目
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