徳川喜喜は、空知英秋の漫画『銀魂』およびそれを原作とするアニメシリーズなどに登場する、
スペル眉毛とかりあげを持つたわけ…だった者である。
CV:浪川大輔
概要
将軍の座を狙う一橋派の旗頭。『一国傾城篇』の終盤で、朧の口からその存在が語られ、『死神篇』で初めて姿を現し鬼兵隊の高杉晋助や見廻組の佐々木異三郎と共に暗躍した。
当初は『一橋喜喜』として将軍の座を狙う黒幕感を出していたが、『将軍暗殺篇』から『烙陽決戦篇』の途中までは茂茂とは対照的な言動や性格が目立つようになり、坂田銀時たちメインキャラに対してもロクな事をしておらず、そのたびに必ずしっぺ返しを食らうというオチになってしまっていた。
あ~あ、一体何本歯が抜けた事か…。
これらについては幼き頃から自身を将軍に仕立て上げるためにひたすらに権力争いをした一橋派の人物に囲まれ、次期将軍という柵なしに自分を見てくれる者が皆無に等しかったというのも大きい。高杉や神威等魅力ある悪役とは程遠い典型的な小悪党キャラであり、原作読者やアニメ版視聴者の人気も高くはなかったのだが…。
主なたわけだった者の詳細
死神篇
エピソード中盤で名前が出た。一橋派に取り入ろうとしていた十八代目池田夜右衛門と結託していたが、最終的に自分を裏切り銀時を逃がそうとした夜右衛門を「ただの首」として刀の一振りで夜右衛門の首を斬り飛ばすという衝撃的な初登場を果たす。
旧きを廃し新しき時代を打ち立てようとする自身を「この国の処刑人」と自称。
この際に己の野望のために高杉ともつながりがある事を示しており、この時点ではまだいかにもな冷酷な悪役としての空気を保っていた。
将軍暗殺篇
本格的に表舞台に出たのはここから。
将軍、徳川茂茂を暗殺する為に鬼兵隊や神威率いる宇宙海賊『春雨』の第七師団を召集するのだが、何の相談もなく毒入り茶を飲ませそよ姫に罪を被せようとした結果、それを察知した猿飛あやめの介入により失敗。幕府内部からの警戒を強められた為に高杉からは見限られ、さらには将軍を殺すという意味を勘違いした神威のストレートパンチをもろ顔面に直撃されて瀕死の重傷を負う。
事前に相談してくれなかった事に対する不満と喜喜自身が高杉たちを利用する腹積もりがあったとはいえ、神威と共にいた高杉からも「ただの道具(てあし)」「壊れかけの神輿」と酷い言われようである。
その後、終盤まで姿を現す事は無かったが、再び茂茂達の前に姿を現した時には敵であるはずの天導衆と手を組み、彼らから第15代征夷大将軍として取り立てられ、正式に『徳川喜喜』へと改名した。
この時の姿は先の重傷で全身包帯だらけの木乃伊男となり、高杉達の裏切りによる影響か自分の邪魔するものを全て殺せと命令する暴君となり果ててしまった。
なおも己の信念を曲げず天導衆や喜喜と敵対する事を厭わない茂茂の宣言を受けつつも、鬼兵隊や茂茂たちを相手にするのは分が悪いという天導衆の助言を受け一時撤退。その後は正式に将軍の座を受け継いだ旨を民衆に伝え、共に時代を築いていこうと演説を行ったが、裏では茂茂の暗殺は諦めておらず、彼の幼馴染である友之助をそそのかし友之助に茂茂を毒針で刺させて暗殺した。
さらば真選組篇
茂茂の暗殺に成功し、将軍の座を手にするや否や茂茂暗殺に関する一切の証拠を徹底的に隠滅し、一橋派に組する見廻組と共に新政権樹立という名目で真選組含む茂茂に関係する者を容赦なく処罰・処刑という強引な手段で排除するという外道ぶりをのっけから発揮。
自らが新・警察庁長官に仕立て上げた佐々木異三郎と共に茂茂の行きつけのスナックであったすまいるを訪れ、「今宵は私もただの喜喜だ」と言いつつ同席していた元・真選組副長の土方十四郎に対する挑発を重ねる。更には「私があの男(茂茂)と同じもので満足できるとでも」という身勝手極まりない理由でキャバ嬢達を見廻組隊士に斬らせ、反論するお妙すらも斬りつけようとする横暴さを見せた。 その時、土方の怒りの拳…を身を挺して受け止めた銀時の右ストレートを左頬に跡を残すほどの一撃を食らう。おまけに味方であるはずの佐々木にも気絶した姿を撮られその写真を今井信女に送られてしまうという体たらく。
その後、黒縄島での反乱にて桂小太郎率いる攘夷志士達と真選組の反抗のみならず、配下の佐々木が倒幕計画を企てていた事を知るや頭の血管が切れるほどに激昂し、 戦死した佐々木一人で済ませればいいものを彼に関係する者を全て潰して、警察機構を強引に一新しようとした為に疑念を持つ者をさらに増やし、離反するという皮肉を生み出す。
これらの失態は新政権が樹立してから3ヶ月後に起きたものである。
烙陽決戦篇
幕府や自分を蔑ろにしたという私怨から銀時を桂と同じ指名手配犯に仕立て上げる。
さらに宇宙に上がると知るや何を思ったのか、自ら前線に赴き大艦隊で快援隊ごと撃ち落とそうとした。
しかし攘夷戦争を潜り抜けてきた銀時達の敵ではなく、後方からの突撃艇による奇襲攻撃で5ページ分(アニメでは13秒)の速さで陥落され、 家臣達の前で捕虜にされた挙句自身のかりあげや眉毛をバカにされるという醜態をさらしてしまう。
銀時達が即時撤退を要求すると感情むき出しで謀反人を殺せなければ自分達で切腹しろと家臣達に無茶な命令を出し、 それに怒った河上万斉に鼻と前歯が折れるほどの一撃を喰らう。その後、余程嫌われてたのか家臣達は彼を見捨ててあっさりと帰ってしまった。
…と、銀時たちと敵対する悪役にして銀魂屈指の人気ギャグキャラであった茂茂暗殺の黒幕であり、これまで積み重ねてきた悪行の数々によって溜まったヘイトもあり、劇中の登場人物はおろか原作読者やアニメ版視聴者からも完全に見下されたまま終わると誰もが思った事だろう。しかしその時。彼に転機が訪れた。
数々の蛮行により自らの後ろ盾だった天導衆からも見放される形となり、坂本辰馬率いる快援隊と行動を共にする事となった。破天荒かつ型破りで想像もつかない奇行ばかりをする坂本に興味が湧いた矢先、春雨第三師団団長にして三凶星の一角「天王星・笵堺」の襲撃を受け肉体を乗っ取られてしまい、坂本殺害の道具として利用されかけた。
だが、戦いの最中に坂本が言った「暗君だろうと名君だろうと、一度国を背負うた君主(おとこ)が簡単に死ねると思うな」という言葉を思い出し、そして将軍になって欲しいという期待に応えるべく全てを利用し将軍になった結果全てを失った者を処分するどころか面倒まで見て窮地に立たされてもその者を精一杯助けようとする坂本の姿を見て、今度は誰の足でもない自分自身の足で生きる意味を見つける事を決意。
残されたわずかな自我を振り絞り笵堺の本体を引きちぎって勝利に貢献してみせるという、これまでの所業や堕落ぶりからは想像もつかない漢を見せる展開となった。
銀ノ魂篇
桂、坂本と共に虚の策略により地球へ侵攻したアルタナ解放軍との交渉に向かう。
その直前に銀時たちと同じ食事の場へと自分から足を運び、彼らと同じ食事を手にしながら、利用され続けてきたからこそ最後の使われ方くらいは自分で選ぶと語り、全てを背負った上で自分がした事の顛末を見届けると宣言。喜喜のこれまでの所業に納得出来ない神楽が発した怒号も真っ向から受け止め、自分の食事にタバスコとマヨネーズを大量にかけられても真正面から堂々と完食してみせたものの…。
この時の食事が原因で完全に腹を壊してしまい、交渉の席では我慢出来ずに厠(トイレ)へ直行。結局間に合わずに漏らしてしまい、スウェットと下着を借りるついでにインデペンデンス・デイとスターウォーズを借りて鑑賞し号泣した。後日の交渉の席でもまだ腹の調子は良くならず厠を貸してもらうよう頼もうとするが、桂と坂本に阻まれてしまい失敗。解放軍の穏健派・紫雀提督との会談中に尻のダムが決壊寸前にまで陥り、その際の表情の変化や物言いから解放軍兵士や紫雀に「地球側は何かとんでもないものを腹に隠し持っている」と勘違いされてしまう(実際とんでもない(下品な)ものが腹の中で暴れ回ってはいたが)。
それを桂と坂本は「いや、ウ○コです」と心の中では気付いていたが言わなかったという、まるでアンジャッシュの勘違いコントのような流れだった。その後も奇跡的なボタンの掛け違いというべきやり取りを繰り返した結果、紫雀と共に尻のダムが決壊してしまうオチに至り、交渉の結果については志村新八からも「いや、ウ○コです」と呆れられる。
将軍の地位だけでなくイジられキャラ・ギャグキャラの地位も亡き茂茂から継承してしまうという皮肉な成長を遂げる事となった。
とにもかくにも交渉は成功し解放軍による地球への侵攻は一時的に止まったが、天導衆への憎悪が収まらない解放軍の過激派・圓翔皇子の暴走により地球侵攻が再開。それと同時に紫雀と共に投獄されてしまうが、正体を晒したハタ皇子、紫雀、エリザベスと共に混乱の中無事脱出した。
脱出に成功した直後に地球との通信が回復し、地球からそよ姫の通信が届く。茂茂を葬り去った仇であるはずの自身に向けられた言葉は「生きて…帰ってこないと許さない」というものであった。その言葉を胸に圓翔を止めるべく、桂、坂本、そして合流した高杉たちと共に武器を取り激戦を繰り広げる。かつて国に賊軍と汚名を着せられ国を追われる身となった者を前に、自らもその賊軍の一人として部下と共に戦を戦い抜かんとするその姿は、まさしく一国の長である『将軍』の二文字に恥じない名君そのものであった。
王無き時代へ
決戦が最終局面に突入した頃、数え切れない程の犠牲者と負傷者を出しながらも、憎しみのままに地球へ自爆特攻を仕掛けようとする圓翔をついに高杉が倒した。倒れ伏す高杉と圓翔の周囲でなおも武器を構える両軍の前で、かつての暗君としての振舞いの自戒も踏まえた上で紫雀と共に彼らを鎮める。敗北の末に説得を受けた圓翔もようやく止まり、宇宙での決戦は終わりを迎えようとしていた…。
その刹那。ここまできて態度を翻した圓翔に激昂した解放軍兵士の一人が圓翔に向かって銃を乱射。眉間と胸部を撃ち抜かれた圓翔は即死し、喜喜もまたその弾を腹部に受けて瀕死の重傷を負ってしまう。それが火種となり再び両軍の激突を招いてしまうかと思われた瞬間、喜喜は最後の気力を振り絞り両軍の間に入って一喝し、両軍の足を止めさせた。生前の圓翔の暴走ぶりにかつての愚かな自分を重ねつつも、この戦で殺し殺される命は圓翔と喜喜、2人の命で最後にしてくれと懇願した。
救護班がエリザベスと陸奥の手当てに全力で当たっており手が回らない状態の中、「お前は二度まで、わしらを王を死なせた愚かな民にするつもりか!!」と叫ぶ坂本。「国を守らんと共に戦ったあの時、確かにそこに俺達の王はいたよ」とつぶやく桂。主君が瀕死の状態にあってもなおそれを見捨てる事なく共に居続けてくれた忠臣2人の言葉を受けながら、「たとえ一瞬であろうともそなたらの将軍になれたのなら、徳川喜喜の人生にも意味はあったのやもしれぬ」と事切れる。…そして迎えに来た茂茂をはじめとする多くの歴代の征夷大将軍に迎えられ、光の中へと消えていった。
人々に慕われた名君を弑し国を崩壊させた暗君は、徳川幕府最後の征夷大将軍として、宇宙を巻き込む大戦に己の命を以て幕を下ろすという偉業を成し遂げた最後の王としてこの世を去った。
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