恵体糞打とは、「恵まれた体格から糞みたいな打球を放つ(選手)」を略した言葉である。読みに関しては後述。
東京ヤクルトスワローズの畠山和洋が発祥元とされる。
概要
近年は山田哲人や大谷翔平の登場で否定されつつあるものの、プロ野球界においては古くから「ボールを飛ばすのには体重が必要」という信仰があり、"デブは長距離バッターである"という風潮が強い。
これは機敏な動きが難しい肥満体の選手は守備走塁で貢献がしにくいため、長距離バッターとしてしか生き残る道が無かった事の裏返しでもある。現在でも加齢に伴って運動量の落ちた選手が、長打力を磨き長距離砲として再起することは少なくない。
また現在では「恵体」とは「身長が高い」「ナイスバディ」など文字通りに体型が恵まれている事を指すが、この言葉が出来た当時は横に広い肥満体型…つまりデブの事を恵まれた体格と揶揄していた。
要は「長打を打つしかチームに貢献出来ないデブのくせに、しょーもない打球打ってんじゃねーよ」という煽りである。
畠山でこの言い方が定着して以降、状況や環境などを活かしきれていない物事や事象に対して「恵まれた〇〇から糞みたいな〇〇」という形で使われることが増えてきている。
経緯
畠山は2001年にドラフト5位でヤクルトに入団すると、高卒2年目ながらイースタンリーグで本塁打王・打点王の二冠を獲るなど和製大砲として大いに期待はされていたのだが、守備位置の問題や確実性のなさ、そしてなによりも本人のサボりグセもあってなかなか芽が出ず、いわゆる二軍の帝王として時期が長く続いた。
転機は2008年4月、一軍で主軸を打っていたアダム・リグス、アーロン・ガイエルの不振に伴い、一軍で長打力のある選手が求められたため、当時二軍監督であった小川淳司が守備難を承知で畠山を推して昇格したことに始まる。(宮本慎也が5番を打っているという事が当時の長打力不足を物語っている。)
5月になると4番に座った畠山は12球団の4番の中で最低年俸という事から注目を浴びる。そんな畠山だが、いかにも長距離砲と言わんばかりのゴツい山賊系統の顔と体型ながら、いぶし銀と呼ばれるような右打ちの軽打を量産、121試合で打率.279・9本塁打・58打点の成績を残す。
その「30本塁打していそうなパワータイプの風貌なのに、流し打ちを得意とするテクニシャンタイプ」という強烈なギャップからこれ以降『恵まれた体格から糞みたいな打球を放ちそうな選手』と煽られるようになってしまった。OPSが重視される昨今において、単打の多い選手は長打率が稼げず評価を下げがちであり、守備走塁に難を抱える選手であればなおさらその傾向は強い。(なお畠山は出塁率が非常に高いのでOPS自体は決して低い方ではない。)
そんな畠山だが、2010年後半からブレイクし長打が続々と出るようになると「恵まれた体格から豪快な打球を放つ選手(恵体豪打)」と掌返しされる事が増える。そして2015年には26本塁打・105打点の成績で打点王を獲得し、ヤクルトの優勝に大きく貢献することとなる。
恵体豪打と呼ばれるようになった2010年以降でも、状況によっては時折芸術的な右方向への軽打を見せることもあり、またランナーを3塁に置いた時に犠牲フライや高いバウンドのゴロでランナーを確実に返す事を得意としており、2015年優勝時には上記のヒットにはならない形で川端慎吾・山田哲人と言った好打者を確実にホームに返す姿がよく見られており、チームプレイに徹したいぶし銀としての役割もキッチリこなしていた。
なお当記事では畠山を30本塁打を打ちそうな風貌と評したが、結局現役最後までシーズン30本塁打を超えることはなかった。
読み方
意味が通じる漢字を拾って並べて熟語にしているだけなので、正式な読み方というものがない。この記事では読み仮名こそ振られているが便宜上の都合と言うだけで、別に正解ではない。
ちなみに読まれ方には、大きく分けて
- めぐたいくそだ
- めぐたいふんだ
- えたいくそだ
- えたいふんだ
- けいたいふんだ
- けいたいくそだ
と思われる。
なおここでは「体」と「打」の呼び方を固定したが、「めぐからだくそうち」みたいな呼び方もあるので、基本適当である。
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これは恵体豪打。
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関連項目
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