まるで出席を取るみたいに、先生はみんなを殺し続けたんだ。
悪の教典
―アクノキョウテン―
概要
2008年から「別册文藝春秋」で連載され、2010年に上下巻の単行本が刊行。その後、1冊にまとめ掌編2編を追加したノベルス版と、上下巻で掌編も収録した文春文庫版が出ている。
題名はエマーソン・レイク・アンド・パーマーの楽曲「悪の教典#9」(KARN EVIL 9)に由来し、作中でも言及される。
「このミステリーがすごい!」2011年版第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」2010年度第1位、第1回山田風太郎賞受賞など、ミステリー界隈でも非常に高い評価を集めベストセラーとなったが、中身は基本的にB級ホラーである。悪い意味ではなく、一気呵成に読まされる殺戮エンターテインメント小説。ほか、第144回直木賞候補、第32回吉川英治文学新人賞候補、第8回本屋大賞第7位。
2012年、三池崇史監督・伊藤英明主演で映画化された(後述)。ほか、「good!アフタヌーン」で烏山英司の作画による漫画版が2015年まで連載された。単行本は全9巻。
あらすじ
東京・町田市の私立晨光学院町田高校で、2年4組の担任を務める英語教師の蓮実聖司(愛称:ハスミン)は、授業の面白さやルックスの良さで女子生徒を中心に絶大な人気を誇り、同僚の教師やPTAからの信頼も厚い有能な教師。
だが、蓮実には他者への共感能力を著しく欠き、自分の邪魔になる相手は平然と殺害するサイコパス(反社会性人格障害)であるという、誰も知らない裏の顔があった。
学校を支配し、自分の王国を作るために、モンスターペアレントや人気者の同僚教師、粗暴な生徒や自分に疑いを向けた同僚・生徒を次々と人知れず排除していく蓮実。だが、些細な疑念と小さなミスが連鎖した結果、文化祭の準備で2年4組の生徒が学校に泊まり込んだ夜、蓮実の殺人は隠蔽が困難な状況に陥る。
死体を前に、蓮実は決断した。木を隠すなら森の中、死体を隠すなら死体の山を作れば良い。校内にいる2年4組の生徒40人を皆殺しにするべく動き出す蓮実。かくして蓮実による狂気の大量殺戮が始まった――。
映画版
2012年11月10日公開。配給は東宝。映画公開に先駆けて、BeeTVとdマーケットVIDEOストアにて映画の前日譚にあたる全4話のスピンオフドラマ『悪の教典―序章―』が配信された。
監督・脚本をバイオレンス映画に定評のある三池崇史が務め、『海猿』シリーズの仙崎大輔役などで正義のヒーローのイメージが強い伊藤英明が蓮実役に抜擢。その内容と描写のため、映画はR15+指定となった。
ストーリーは上巻のエピソードや登場人物などがいくつかカットされているが(登場人物の何人かは序章の方にのみ登場)、基本的には原作に忠実であり、クライマックスの大量殺戮パートも極めてストレートに映像化されている。
AKB48の大島優子が試写会で途中退室、「この映画が嫌い」と発言したことでも話題になった。
やたらと伊藤英明の裸のシーンが多かったり、山田孝之演じる淫行教師・柴原のとある迷場面(実際に映画でご覧いただきたい)など、血みどろの合間にも思わず笑ってしまうような場面が多々あり(原作も下巻の殺戮パートでは笑うに笑えないギャグが結構ある)、深い意味は求めずバイオレンス映画として肩の力を抜いて見るのがいいだろう。
他の貴志作品の映像化と同様、貴志祐介本人がカメオ出演しており、台詞もある。
主要キャスト
- 蓮実聖司 - 伊藤英明
- 片桐怜花 - 二階堂ふみ
- 早水圭介 - 染谷将太
- 夏越雄一郎 - 浅香航大
- 安原美彌 - 水野絵梨奈
- 前島雅彦 - 林遣都
- 蓼沼将大 - KENTA
- 柴原徹朗 - 山田孝之
- 久米剛毅 - 平岳大
- 釣井正信 - 吹越満
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関連項目
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