悪代官とは
- 圧制で領民を苦しめたり、不正を働くなどした代官の代名詞的な表現。
- 2002年8月8日にグローバル・A・エンタテインメントから発売されたPS2用シミュレーションゲーム。
1. 悪代官の概要
時代劇では悪徳商人同様、典型的な悪役であるが、実際の歴史の中では「悪代官」は、当時の刑罰が厳しくすぐに罷免されることもあって、さほど存在しないと言われている。
しかし、代官は徴税権を有すること、江戸時代の税率が五公五民である(収入の50%が税となる)こと、(特に増税目的の)検地の実質的な施行者であること、また凶作年であっても一定の税を徴収することが認められていたことなど、公務そのものが厳しいため、民衆からは恨まれる存在であった。
また、身分は低いながら私兵を持っておかしくない程度に収入があり、また上官への向上心などの動機作りがしやすいなど、代官は悪役として便利な存在であったことは想像に難くない。
2. 悪代官(ゲーム)の概要
グローバル・A・エンタテインメントの代表作とも言えるバカゲーシリーズ。
本来は正義の味方にサッサと成敗されるはずの『悪代官』を主役に据えたゲーム。
当然目的は私腹を肥やし、悪代官を懲らしめに現れる正義の味方を倒すことである。
ゲームとしては、悪代官を成敗しに来た正義の味方たちを、金で雇った用心棒や罠で撃退するというもの。システム的には影牢シリーズに近い。一応代官本人も刀などの武器を持って攻撃に参加することができるが、本当に時代劇通りの悪あがき程度にしかならない上に、当然のことながら自身が成敗されるとゲームオーバーである。
非常に低予算で作られているため、「ほんとにPS2ソフト?」なグラフィックを持つ。1、2は大体PSレベル。
ゲームの各所で流れる実写ムービーでは、シリーズを通して悪代官役に悪役商会の千本松喜兵衛を起用しているが、作が変わってもほぼ舞台セットさえ大きく変わらない(使い回し)のも低予算を象徴していると言えよう。これについて作中では、どこに行ってもいつものように悪代官がくつろげるよう、悪徳商人が用意したサービスであると説明されている。
低予算であっても力の入れどころは間違えていないようで、くの一取り調べや帯回しといったミニゲームをはさんでいたり、屋敷に備え付けられた拷問罠に誰か(特に女性)をはめた際に、GAEなりに力を入れたエロ拷問ムービーが挿入され、専用のボイスまで用意されている。またゲームオーバーも各ステージそれぞれ専用のムービーを用意され、正義の味方が悪代官を成敗した様子を時代劇の次回予告風紙芝居で紹介するというものである。
元が時代劇における悪代官のパロディ作品であるため、時代背景などを無視したネタが満載である。特にガンダムネタが多く、時事ネタやスターウォーズネタ、さらに掟破りの北朝鮮ネタなどがあり非常にフリーダムである。
正義の味方として登場するのは大半が時代劇では定番の人物や歴史上の人物であり、ストレートなキャラ付けをしている者もいれば、パロディネタを絡めた者もいる。前者には遠山の金さんや大岡忠助、後者には鼠小僧(ルパン三世パロディ)などの例がある。明らかに登場するゲームを間違えたキャラクターもおり、果てには3の隠しシナリオで前述の通り北の将軍様が正義の味方として登場する。初代で有名どころを使いすぎたため、2作目以降の正義の味方選びが難しくなったらしい。
戦場もいろいろぶっ飛んでおり、初代で海上を移動する手段として使っている船が「太多肉丸」であり、空路(!?)を使う際に乗っていた乗り物は「白基地丸(甲板に木動仏像願仏が立っている)」である。
3では用心棒に斬られ役として有名な福本清三を起用しており、実写パートだけでなくゲーム内で大量に呼び出したり、ミニゲームでは本人名義で操作することもできる。
ストーリー全ての話で悪代官が直接悪行を行うわけではない。むしろ出入りの悪徳商人が勝手に暴走した結果を悪代官が尻拭いすることも多く、その結果初代の悪代官は善に目覚めてしまう。2ではこの善に目覚めた先代が最終ボスになる。
例として初代の悪徳商人、大黒屋の悪行を並べると…
- 代官屋敷を作るための地上げ(これは悪代官も関わっている)
- 奉行所のテーマパークを作るため、本物の奉行所の隣に全く同じ施設を建設
⇒本物の奉行所から苦情が来ていたが悪代官の名前を勝手に使って無理やり作った - 吉原で悪代官接待中に正義の味方との戦闘になり、吉原騒乱罪適用
- 甲賀くノ一の里の地上げと壊滅
- 寺のテーマパークを作るために寺を買収、僧たちを用心棒で排除
- 大仏の地下に秘密のアジトを建造(地上に表札あり)
- 宗教法人立ち上げのため晴明神社を買収、反対者は用心棒を使い排除(悪代官と大黒屋に破防法適用)
- 長崎の洋館を買収、天草四郎の霊力を研究中に暴走させる
- 吉良家の屋敷に押し入り占領、主の吉良上野介は悪代官が本人と知らず切り捨てた
…シリーズ初代の時点でコレである。
余談だが、同社が悪代官3発売後に制作した時代劇ゲーがかの有名なバカゲーならぬクソゲー「大奥記」である。
大奥記の発売に関してはプロデューサーに直接インタビューしたやる夫スレが存在しているのでクソゲーが出来上がる過程に興味がある者はぜひ調べてみることをお勧めする。あらゆるものに縛られ、どうしようもない作品が完成していく様に苦しむ当事者の生の声が綴られている
返り討ち
正義の味方には黄色い体力ゲージと緑色(または青色)の精神力ゲージがあり、精神力が高いと罠をスルー、もしくは防がれてしまう。最初に精神力が尽きるまで用心棒と戦わせ、その後で罠までおびき寄せる流れになる。
虎ばさみで動けないところに岩石を転がしてぶつけたり、吹っ飛ばし効果のある撞木系の罠を続けて当てるなど、連鎖をすることで後から当てる罠の威力が上がっていく。大連鎖で倒すことができればクリア後の評価が高い。
連鎖が苦手な人は裂だるや茶運び人形といった爆発物を大量配置することでなんとか攻略は可能である。
用心棒、悪代官もろともその爆発に巻き込まれてしまうことがあるのもこのゲームの醍醐味。
人は紙
正義の味方を返り討ちにするために用心棒を雇えるわけだが、基本的にどれも弱い。
十数人を雇って攻撃させても、まさしく時代劇のようにバッタバッタと斬り伏せられてしまう。
無論、高賃金の用心棒はそれなりに働いてくれるが、結局は罠などに頼らざるを得ない。
3では、雇用費が安く、ガードを取れるので長持ちし、長刀による攻撃射程の広さが光る「腰元(女性)」が、用心棒の先生よりも扱いやすいと評判である。
また、悪代官の世界の人間は非常に燃焼効率が高い。一度燃えた人間は数秒間に渡って燃え続ける。
この人間に、接触する(される)とプレイヤー、敵、味方に炎が燃え移る。
燃え移った人間はそこらを逃げ回って延焼させ、更に被害を悪化させることも多い。
なお、プレイヤーの直接攻撃や用心棒の攻撃も接触に入る。
ただし、この燃えやすい性質を利用した火炎トラップによるコンボも有効である。
関連動画
関連商品
関連項目
- バカゲー
- ゲームのタイトル一覧
- GAE
- GAE (ゲーム会社)
- 時代劇
- 影牢
- 刻命館
- 千本松喜兵衛
- 大奥記
- 小沢一郎
- 読売ジャイアンツ:そのプレイスタイルをアンチから「悪代官野球」と揶揄される事も多い。
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