『悪魔城ドラキュラ黙示録』はNINTENDO64で発売された「悪魔城ドラキュラ」、海外版タイトルはそのまま「Castlevania」。その為、海外では本作の事を「Castlevania 64」と称されている。
後に『悪魔城ドラキュラ黙示録外伝-LEGEND OF CORNELL-』が発売される。
この2本まとめて扱われることが多い。
概要
19世紀中期、100年の眠りから復活したドラキュラの勢力と、ヴァンパイアハンターたちの戦いを描く。
主人公は鞭を使うラインハルトと、攻撃魔法を使うキャリーの2人。
シリーズ初の3D作品であり、開発元はKCE神戸(コナミコンピュータエンタテインメント神戸)。
ポリゴンで作られた悪魔城をマリオ64のように3Dスティックで自在に走り回り、トラップを回避しつつ正確なジャンプ、ぎりぎりの崖つかまりというシチュエーションが頻発する。
戦闘の難易度もそこそこ高いのだが、転落による即死のほうが圧倒的に多く、ジャンプアクションの趣が強い。悪魔城というよりクッパ城のようなエリアも登場し、一言でSASUKEのようなゲームという評もある。
その一方で、本作はアクションアドベンチャーを名乗っている。ゲーム全体がステージクリア形式、即死の多さ、回復手段の少なさに従来の横スクロール作品の面影を強く残しながらも、純粋なアクションゲームとは一線を画する。
本作には所持アイテムやセーブポイントもあり、入り組んだマップを行き来し鍵を探すようなステージもある。
幕間にNPCたちとの会話も挟み、バラエティに富んだ展開を楽しめる。
アクションゲームとしては結構ストレスフルな内容なのだが、クリア不能ということはない。
またその演出は真面目なホラーテイストが強く、逆にふざけた要素が控え目となっている。
演出面はシリーズでも屈指の完成度。
本作の特徴・システム
本作はこれまでのステージクリア型の悪魔城シリーズを踏襲しつつも月下の夜想曲の探索型の要素も含んだシステムを採用しており、序盤の後から利用出来る契約書からアイテムの購入に加えてメイン攻撃やサブウェポンのレベルアップ要素も存在する。
ただし一度ゲームオーバーになった場合レベルアップは全て無くなってしまう。
「ドラキュラⅡ 呪いの封印」以来となる時間経過で朝・昼から夜へ、夜から朝・昼へ切り替わるシステムを採用しており、呪いの封印同様に時間経過でエンディングが変化する。一部のイベントや扉は朝・昼か夜でなければ発生しないイベントや扉も用意されている為、待たなくてはいけないのだが、道中にある「太陽のカード」・「月のカード」というアイテムを使用すると瞬時に午前6時・午後6時になるアイテムも存在しているのでこれらを活用して進んでいく。
必要な時にカードが無くとも、お金があれば契約書から買う事が出来る為補充しておくと探索がより楽になる。
吸血鬼やヴァンパイアのメイドに噛まれ続けると異常ステータス「VAMP」となり、吸血鬼になりかけている姿にされてしまう。こうなるとBボタンによるメイン攻撃が不可能となり、回復アイテムも利用出来なくなってしまう。
道中や契約書から入手出来る「浄化石」で汚染された血を封じ込めるか、契約書でのみ入手出来る「万能治療キット」で吸血鬼化を防ぐ事が出来るのだが、半吸血鬼姿のまま午前0時の夜まで過ごしてしまうと、操作キャラが断末魔の後に人間の生き血を欲する吸血鬼の姿へと変身してしまい、ゲームオーバーとなってしまう。
悪魔城ドラキュラ黙示録外伝
黙示録と同じ年のうちに『悪魔城ドラキュラ黙示録外伝 -LEGEND OF CORNELL-』という作品が発売された。海外版タイトルは『Castlevania Legacy of Darkness』。
前作の8年前、獣人族の戦士コーネルが主人公。故郷を失ったコーネルは妹のエイダを探し、単身悪魔城に突入する。
前作の流用を中心に作られ、やはりSASUKE感ある内容となるが、ステージの追加、マップの変更なども行われている。
さらにカメラの改善、難易度の微妙な低下、イージーでもエンディングに行ける、難しいステージが(コーネル編では)削除など多くの調整が行われ、全体的にやりやすくなっている。
しかし何より特筆すべき点があり前作のリメイクが丸ごと入っている。
最初はコーネルとヘンリーの2人が使えるが、ヘンリーのクリア状況によってラインハルトとキャリーも使えるようになる。
開放に条件があるとはいえ、前作の内容改善版がそのまま入っているのだから大変なことだ。
現在はそのことが広まっているためか『黙示録外伝』のほうが入手しにくい上に少しプレミアソフトになりつつある。
※ただし容量の都合か一部BGM、音声、コスチュームが削除されているのは見過ごせない。ステージ構成そのものが変わっている場所もあり、前作の存在意義を消し飛ばしてはいない。
『黙示録』『黙示録外伝』とも移植は全く行われておらず、現在ではマイナー感が強くなってしまっているが、プレイできる環境があれば挑戦してみたい一本。
主人公
本作は主人公によってステージもストーリーも異なるため、キャラごとの難易度は単純な性能差だけで決まらない。
しかし、性能差も確かにある。
ラインハルト・シュナイダー
ベルモンド家の子孫。荒々しい外見に反して高潔さと優しさを持った人物。姓は変わっているが正統なベルモンドとして扱われている。
ムチでの中距離戦を主に戦うが、正直キャリーと比べて苦しい場面は多い。
実は黙示録と黙示録外伝でレベルアップ時のムチのエフェクトが変更されている。
キャリー・ヴェルナンデス
『悪魔城伝説』以来の登場となるヴェルナンデス家の末裔。陰があるが正義感の強い少女。
エネボールという誘導弾を使う。これは悪魔城シリーズでも珍しいタメ攻撃であり、うまく使えば敵を封殺できるが、連射性には難がある。また、タメ攻撃が溜まった際に近接攻撃をすると「エネスマッシュ」という隠し技が使える。
声やスライディングなどの動き等が可愛らしく、吸血鬼に変身してしまったキャリーも不気味な可愛さのある姿となっている。
コーネル
黙示録外伝で登場する主人公。ドラキュラの勢力から離反した獣人族の戦士。彼らは既に変身能力を封じていたのだが、コーネルは修業で制御できるようになった。
通常攻撃の真空波が中距離・高威力・広範囲で圧倒的に使いやすい。
Lボタンで人狼に変身。攻撃力が激増するが一度人狼になるとレッドジュエルが0になるまで人間には戻れない。
また、コーネルはVAMP状態にはなるものの、吸血鬼化によるゲームオーバーは発生しない。浄化石や万能治療キットが無くとも人狼になるだけで通常のステータスに戻るようになっている。
外伝のメインキャラだけあり、ステージも他のキャラクターより多い。
その分制限時間によるEND分岐が存在せず、悪魔城中心部(マジカルニトロのステージ)が無い等ステージ自体にも難易度を抑える調整がされている。
ただし「太陽のカード」や「月のカード」を多く使うステージやヘンリーをガーデンキーパーから守り抜かなければいけないイベント等が存在する。
さらにコーネル編ではメガドライブで発売された「VAMPIRE KILLER」の「The Sinking Old Sanctuary」のアレンジを聞く事が出来るステージがある。
ヘンリー
ラインハルト・キャリーが戦っていた頃と同じくして、教会が派遣した兵士。
番外編的なキャラクターで、セリフが非常に少なく、キャラクター性が薄い。
コーネル編に登場する同名キャラクターの成長した姿だが、ゲーム中でちゃんと説明がない。
なおキャラクターイラストでは素顔が描かれており、中々のイケメンに成長していた事が判明する。
そんな彼の目的はドラキュラ討伐ではなく、7日間以内にステージ各地のわかりにくい場所に隠れている子供達の救出。子供を救出する度にシモンのテーマが流れる。
各ステージのボスとも戦えるが、ルート上にいないものはスルーしてかまわない。
だが、彼も普通の兵士ではなく、重装備での崖つかまりにはベルモンドにも匹敵する身体能力が感じられる。
剣も持っているが主武装は拳銃。巨大な怪物をアウトレンジからハンドガンでチクチク削る戦術を来須蒼真の180年以上も前に完成させており、歴史上注目すべき人物である。
黙示録・黙示録外伝あれこれ
- 開発段階では『黙示録』の時点でコーネル編に加えて『コーラー』という片腕チェーンソーにショットガンを扱う男主人公も出す予定だったが開発の難航により、『黙示録』の主人公はラインハルト・キャリーのみとなった。コーラーは外伝でも登場出来なかったが、ガーデンキーパーのデザイン元となった。
- 『黙示録』から一部BGM、音声が削除されている。
- ヘンリー編で条件を満たし、クリアデータを引継ぎプレイすることでラインハルト、キャリー使用可能など特典がある。これらはヘンリー編のクリアデータ経由でしか使えない仕様になっており、まずヘンリーをやり込むことになる。クリアした後にファイルコピーを使えば全てのデータをヘンリー編クリア済みの状態に出来る。
- 外伝の最初の追加ステージのボスはコーネルとの相性が良く、変身するとあっという間に倒せるのだが、ラインハルトとキャリーでは作中屈指の強敵である。この2人は本作のメインではないので、あえてハードルを高くしているようだ。
- ラインハルトとキャリーのコスチュームが変更されている。条件を満たすと前作のコスチュームも使える。
- 黙示録外伝では前作での隠し要素であるラインハルトとキャリーの特殊コスチュームは容量の都合の為なのか削除されている。ラインハルトは悪魔城ドラキュラの初代主人公シモン・ベルモンド、キャリーは「悪魔城ドラキュラ 血の輪廻」のマリア・ラーネッドを思わせるコスチュームとなっていた。
- メモリー拡張パックがあると高解像度モードにできるが、さほど印象が変わらないうえに処理落ちが強くなるため非推奨。
- 黙示録外伝のプレイデモ画面のラインハルトとキャリーは本来通常プレイでは行けないステージを進んでいる。
- 黙示録外伝からLボタン(コーネルの変身)と十字ボタン(カメラ操作)が追加され、本作はN64コントローラーのボタンを全て使う珍しいゲームとなった。
- 悪魔城中心部にいるマジカルニトロとマンドラゴンについて話してくれる元人間のリザードマンには黙示録外伝のみに攻撃判定がある。攻撃すると部屋中を逃げ回るのだが倒す事は出来ず、台詞も変わらない。
- ゲーム中のオプションには記載されていないが、プレイ中にN64コントローラーの右側にある十字ボタンの上ボタン(▲)を長押しすると一人称視点で周りを見渡す事が出来る。
- 何故かラインハルトの吸血鬼姿は一瞬でしか見れずに画面が暗くなってしまうのに対して、キャリーの吸血鬼姿は少し長めに見れるようになっている。
- 黙示録ではVAMP状態の吸血鬼に変身してしまう深夜12時になっても崖捕まりを数分行っていれば吸血鬼化を回避出来るバグが存在していたが、黙示録外伝では崖捕まり状態でも吸血鬼に変身するように修正された。
- 異常ステータスの1つとして「V+P」というのも存在している。このステータスは半吸血鬼状態と毒状態である事を示す非常に危険なステータスだが、このステータスになるのは悪魔城中心部位となっている。
- 今作はその後、2002年頃に公式で行われたシリーズ作品の整理に伴い、残念ながらシリーズの正史から外されてしまった。このため、現在における今作はシリーズのパラレルワールド的な立ち位置にある。
だが、その後に発売された対戦格闘ゲーム『悪魔城ドラキュラ ジャッジメント』では、非正史作品である今作からコーネルがまさかの参戦。同作でのコーネルのストーリーは今作の前日譚を描く物になっている。 - 黙示録外伝発売から25年が経過しようとしている2024年4月16日に海外で最初からラインハルト・キャリーと前作コスチューム、HARDモードを遊ぶ事が出来る隠しコマンドに加えて、さらに全アイテム10個所持・レッドジュエル99個入手する隠しコマンドまでもが発見された。後に発売された3Dドラキュラである「キャッスルヴァニア」のアイテム増殖の裏技と同じくデバッグやテストプレイなどで使われたコマンドがそのまま製品版に削除されずに引き継がれた物だと思われる。
関連動画
Speedrun.comでコーネル編の世界記録と認定されている(2021年3月時点)動画が投稿されている。
実機でも十分使える無茶なショートカットやバグによる壁抜けなどを使用している。解説つきバージョンもあり。
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- キャッスルヴァニア
- Vampire Killer
- 悪魔城伝説
- マリア・ラーネッド
- ドラキュラⅡ 呪いの封印
- 悪魔城ドラキュラX 血の輪廻
- 悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲
- ユリウス・ベルモンド
- 悪魔城ドラキュラ ギャラリーオブラビリンス
- キャッスルヴァニア 暁月の円舞曲
- 悪魔城ドラキュラ 蒼月の十字架
- ドラキュラ三大名曲
- 悪魔城ドラキュラ 奪われた刻印
- 悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん
- ドラキュラ伝説
- キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲
- リヒター・ベルモンド
- 悪魔城ドラキュラ サークルオブザムーン
- 悪魔城ドラキュラ 闇の呪印
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