情けは人の為ならずとは、「他人に情けをかけるとその人の為にならない」という意味のことわざではない。
概要
情けは人の為ならずとは、「他人に情けをかけることで、他人の益のみならず巡り巡って自分に益が来るから、情けは他人の為だけではなく「いずれくる自分の為」も思ってかけなさい(利他的であると同時に利己的な期待として情けをかける)」という意味のことわざである。
古語の「情け」には、「思いやり」や「情愛」などの意味合いがある。また、「ならず」は「~ではない」という打ち消しの意味である。
誤用
誤用がとても多い言葉の一つとして知られており、文化庁の2001年の調査では正答が47.2%に対し誤答が48.2%と誤答が正答を上回っていた。
2010年の調査では正答が45.8%に対し誤答が45.7%と多少持ち直していたが2人に1人が間違っているという状況にさほど変わりはない。
「情けは人の為(に)ならず」と脳が勝手に「に」を補って読んでしまうことが誤用の主な要因として上げられることが多い。
正しい意味が「利己的」なものであるのに対して、誤用は「利他的」(その人を思ってやる、の否定)なものなのも誤解を招きやすい理由の一つか。
なお、誤用で表現するなら『情けは人の為なるべからず』(その人の為になることをしてはならない)。
文法を正しく読み解くと、「為」(名詞)+「なら」(断定を意味する助動詞「なり」の連体形)+「ず」(否定)となる(他人に情けはかける。だがそれは他人の為じゃなく自分の為)。あるいは「に非ず」が訛って「ならず」になったという認識でも良い。「情けは人の為に非ず」(情けを他人にかけることは、その人の為だけとは限らない)と考えると理解しやすい。
どちらにせよ「に」を補う必要はないことがわかる。
このような誤用が広まった背景には、現代日本語文法が広まったことにより、中世日本語の意味が薄れてしまったことが要因と考えられる。実際、ことわざや慣用句には、古語表現が化石化しているものも多く見受けられ、現代日本語の認識で解釈しようとすると原義と異なる解釈をしてしまうこともありえる。
更に、『情けが仇』などのことわざや慣用句の存在も誤用を広める一因となったともいわれる。
ゴチャついて分からない人の為に 人の為ならず(ドヤァ)
「あ、あんたの為を思って親切にしてるんじゃないんだからね!」
分かりやすい用法はこれである。
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関連項目
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