愛・地球博とは、2005年3月25日~9月25日の185日間に、愛知青少年公園・海上の森で開催された国際博覧会である。正式名称は「2005年日本国際博覧会」、略称は「愛知万博」。
概要
地球上の総ての「いのち」の持続可能な共生を、全地球的視野で追求することが、21世紀における地球社会の構成員総ての課題となった。
この課題を解決するために、私たちは愛・地球博のテーマである“自然の叡智”を縦糸に、豊かな交流を横糸にして、地球社会を包む、柔らかく、豊かさと美しさにあふれる織物を織り上げようと思う。それは地球社会の新しく、美しい装いになるだろう。
「自然のもつすばらしい仕組みと、いのちの力」に感動し、世界各地での自然とのさまざまなつき合い方、知恵に学びながら、多彩な文化・文明の共存する地球社会を創ろうではないか。
1990年の国際花と緑の博覧会(花の万博)以来15年ぶり、総合的な博覧会としては1970年の日本万国博覧会(大阪万博)以来35年ぶりに日本で開催された国際博覧会(万博)であった。
151か国と4つの国際機関が出展したほか、30のNPO・NGO、多くの市民団体が参加した。
メインテーマは「自然の叡智」、サブテーマは「宇宙、生命と情報」「人生の“わざ”と智恵」「循環型社会」であり、環境保護のための技術や自然からの知恵を生かしたものが数多く展示されていた。
会場
長久手会場
名古屋市の東に隣接する長久手町(現:長久手市)にある愛知青少年公園を改装し、メイン会場となった。北・東・西の3つのゲートがある。会場内は「グローバル・ループ」という環状遊歩道でつながれている。会場内ではグローバルループ上をグローバルトラム(電気自動車)と自転車タクシーが運行されており、ほかにもキッコロ・ゴンドラ(ロープウェイ)とIMTS(自動走行するトヨタ製バス)が運行されていた。万博終了後再び改装され「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」となった。
- センターゾーン
- グローバル・ハウス(テーマ館)…今回の目玉である、ロシア・サハ共和国で発掘されたユカギルマンモスの頭部や、NHK開発のスーパーハイビジョンシアター、ソニー開発の2005インチレーザードリームシアターなどが展示されていた。青少年公園時代に温水プール・アイススケート場として使われた建物であり、閉幕後は温水プール・アイススケート場に戻された。
- 愛・地球広場…石井竜也がプロデュースしたショー「The Forest Fairy's Ball ~精霊たちの森林舞踏会~」が毎日公演された。壁面緑化の壁「バイオ・ラング」も設置された。
- こいの池…ロバート・ウィルソン演出のナイトショー「こいの池のイヴニング」が上演された。
- ロータリー記念館…貸しホールなど。モリゾー・キッコロのからくりが展示されていた。
- 迎賓館・レセプションホール…海外の要人をもてなすための建物。一般人の立ち入りはできなかったが、閉幕後「愛・地球博記念館」に改装されて一般公開された。
- グローバル・コモン1~6…外国館の地域別集合体である。
- 日本ゾーン
- 企業パビリオンゾーンA
- 企業パビリオンゾーンB
- 森林体感ゾーン…会場南東部に広がる森林に遊歩道が整備されたエリア。
- 遊びと参加ゾーン
- わんパク宝島…食と遊びをテーマにしたパビリオン。青少年公園時代に愛知県児童総合センターとして使用された建物であり、閉幕後児童総合センターに戻された。
- ロボットステーション…わんパク宝島と同じ建物にあった展示。会場内で働くロボットが展示された。
- 地球市民村…NPO・NGOが月替わりで展示した。青少年公園時代に愛知児童年記念館として使用された建物であり、閉幕後児童年記念館に戻されたのち2011年3月21日に閉館した。
- ファミリー愛ランド・ときめき愛ランド…遊園地。大観覧車は東海地方最大、高さ88mのものである。閉幕後も残されている。
- グローイングヴィレッジ・自然体感遊具…木登り体験ができるグローイングヴィレッジと、水の広場・風の広場・散策の森で構成されている。子供連れが多く集まった。閉幕後も残されている(グローイングヴィレッジのみ「森の広場」に改称された)。
- モリゾーキッコロメッセ…会期中14の展示が交代で行われていた。
- EXPOホール…中~小規模なステージイベントが行われた。
瀬戸会場
瀬戸市に広がる広大な海上(かいしょ)の森内に位置するサブ会場。もともとはこちらをメイン会場とする予定であったが、絶滅危惧種であるオオタカの生息地であったことから反対運動が起き、サブ会場となった。ゲートは瀬戸ゲートのみで、長久手会場とは燃料電池バス(トヨタ・FCHV-BUS)とモリゾー・ゴンドラで結ばれた。
- 瀬戸愛知県館…「森の鼓動と呼吸」がテーマ。館内にコナラの木が移植された。万博終了後里山遊歩ゾーンとともに「あいち海上の森センター(ムーアカデミー)」となった。
- 瀬戸日本館…群読叙事詩劇「一粒の種」が毎日上演された。
- 市民パビリオン・海上広場…全国から集結した多くの市民団体がイベントを開いた。
- 天水皿n(てんすいさら えぬじょう)…3万枚の皿と54万枚のモザイクタイルでできたやきもののモニュメント。閉幕後、この周辺に「瀬戸万博記念公園(愛・パーク)」が整備された。
- ウェルカムハウス…市民放送局とケーブルテレビのスタジオが設置された。
- 里山遊歩ゾーン…日本独特の「里山」の風景をめぐる「里の自然学校」。
ささしまサテライト会場「デ・ラ・ファンタジア」
名古屋駅の南に広がる、旧笹島操車場跡地「ささしまライブ24地区」に位置する、入場無料のサテライト会場。名古屋市が主体となって建設された。
- ポケモン・ザ・パーク・2005(ポケパーク)…ポケモンをテーマにした遊園地。2006年に期間限定で台湾に移設された。
- 手塚治虫のCOSMO ZONE THEATER…手塚治虫の世界を味わえるプラネタリウム。
- ささしまミュージアム…会期中を2回に分け、以下の展示が行われた。
- ラ・バーモささしま…複合商業施設。館内の109シネマズ名古屋では、3D映画「ミュウを探せ!」が上映された。閉幕後も営業している(2011年にマーケットスクエアささしまに名称変更)。
- Zeep Nagoya…1800人収容のライブハウス。ラ・バーモと同じく2013年現在も営業している。
入場者数
以下に月別の入場者数を示す。
月 | 入場者数(人) | 備考 |
3月 | 426,089 | 5日間 1日あたりの最低入場者数・43,023人(3/25) |
4月 | 2,293,765 | 30日間 |
5月 | 3,302,533 | 31日間 ゴールデンウイークの入場者数合計:979,892人(4/29~5/8) 500万人達成(5/23) |
6月 | 3,577,008 | 30日間 |
7月 | 3,287,635 | 31日間 1,000万人達成(7/4) |
8月 | 4,035,794 | 31日間 1,500万人達成(8/18) |
9月 | 5,126,720 | 25日間 2,000万人達成(9/16) 1日あたりの最多入場者数・281,441人(9/18) |
総計 | 22,049,544 | 目標総計:1,500万人 |
開幕直後は予想を大きく下回る来場者数であったが、夏休み頃から閉幕が近づくにつれて多くの人が押し寄せるようになり、最終的には開幕前の予想を700万人以上上回る2204万人が来場した。
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関連項目
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