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感覚過敏とは、なんらかの感覚(触覚、視覚などのいわゆる「五感」以外のものも含まれる)が通常の人の範囲を大きく超えて過敏である状態、症状の事を言う。
概要
多くは発達障害者に起こるとされ、何らかの感覚が非常に過敏であるため、それによって引き起こされる不快感が通常の人の想像を絶するほど強く感じられることにより、標準的な感覚を持つ人には理解できない反応を示す場合がある。
また、その結果として、「普通の人」がなんでもないような環境に不快感・忌避感を示したり、「普通の人」が十分に耐えられる程度の「ちょっとした不快感」が「耐え難い苦痛」になってしまい、社会的に広く求められている行動を取ることが非常に困難だったりする。
特に、いわゆる「コロナ禍」の状況下におけるマスク着用について、主に触覚過敏を持つ人が困難を訴える記事がインターネット上で話題になった。
以下に、感覚過敏の一例を挙げる。当然ながら記述のない感覚にも過敏が現れることがあることに注意。
触覚過敏
服のタグや服そのものの素材による肌触り、腕時計や帽子、マフラーなど、身につけるものから来る不快感を非常に強く感じ、特定の物を身に着けられない、もしくは特定の物「しか」身に付けられない場合がある。
また、他人に体を触られることが極端に苦手だったり、反応が極端だったりする。
この場合、作業中に後ろから肩を叩かれて極端に驚き、持っていたものを落とすなどの危険につながる可能性がある。
体の一部分が特に過敏な場合もあり、例えば首周りが過敏な人の場合、衣服の制限はほとんどない一方、マフラーやネクタイなどが身に着けられなかったり、ワイシャツの一番上、首元のボタンを留めた状態に耐えられないなどの可能性がある。
視覚過敏
多くの場合、同じ明るさから感じる眩しさが強く、普通の人が支障を感じない環境で眩しく感じてしまい、結果的に集団行動に支障をきたすことがある。
自宅ではカーテンを閉めたままにして常に調光できる照明で生活していたり、スマホやパソコンの画面輝度を暗くしていたりする。
また、一人での外出時は、晴天時に太陽光が眩しく目をまともに開けていられなかったり、商業施設の照明が眩しく、買い物に支障をきたしたりする事がある。
触覚過敏もある人の場合、サングラス等を使うことができない場合も少なくなく、対処が困難なこともある。
聴覚過敏
普通の人が気にならないような音が耳に入ってしまい、目の前のことに集中できない場合や、あらゆる音が耳に入ってしまうため目の前の人との会話がかき消されてしまうような状態になる事がある。
教室の中で対角線の位置にいる子が消しゴムを落とした音に反応してそっちに意識が行ってしまったり、換気のため開けられた窓から聞こえる救急車の音にかなり遠くから反応し、本人に聞こえている間中そちらに意識を持っていかれたりすることがある。
また、環境音(空調設備の作動音など)を強く感じてしまう場合、他の人が支障を感じない環境下でもうるさくて耐えられないように感じることがあるなどの可能性もある。
感覚鈍麻
逆に、何らかの感覚が「普通の人」に比べ鈍い場合がある。
例えば、暑い寒いの感覚が鈍い場合、服装が気温や室温と合っていないのにその場その時は平気な顔をしていて、最終的には低体温や熱中症につながる危険がある。
鈍麻の場合、どちらかといえば「極端な環境・状況下で本人だけがケロッとしている」事が多いため、本人にだけ気をつければ良いケースが多く、過敏よりは対処がしやすい事が多い。
対応について
感覚過敏の人と関わっていく場合、行動の目的を第一に考えることが最も重要である。
あえて感覚過敏を他のものに例えるとすれば、高所恐怖症の人を強引に高層ビルの展望台に連れ出した上、その人を下が覗けるガラスの上に立たせるようなものである。周りの人がいくら平気だとしても、当の本人からしてみれば恐ろしくてたまらないだろうし、そんな事をした周囲の人にも不信感を抱きかねないだろう。
他の人と同じ手段を取ることを拒否した場合、周囲の人にしてみれば「そんなことで」「私達だって少なからず我慢してやってる」等と感じるようなことだとしても、当事者にしてみれば耐えられる範囲を大きく超えているからこそそれを拒否しようとしている。
そうした時必要なのは、「まずその行動の目的・本質を考える」ことである。
例えばコロナ禍でのマスク着用の本質は、「マスクをつけること」ではなく、「飛沫が飛ぶのを抑え、かつ他人の飛沫を吸い込むことを防ぐ」ことである。
仮にもし本人が不織布マスクの触感に耐えられない場合は、「他の素材のマスクを試してみる」「(他のマスクがつけられる場合)二重マスクを試す」「内部に空間を作るグッズを試す」などの方法がある。
短絡的に相手を批判せず、「なぜできないのか」を考え、「どうやったら目的を果たす行動が取れるか」につなげていくことが重要である。
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