憤青(ふんせい、フェンチン)とは、
本項では2.について解説する。
概要
「憤青」は中国の経済が急激に発展した1970年代以後に現れた過激派左翼の若者を指す俗語。政治活動に非常に積極的な集団であり、以下のような特徴を持つ。
- 民族主義や愛国主義に強い関心を持ち、日本、アメリカ、台湾との問題に対して強い意見を持つ。特に台湾に関しては中国の一部であるという認識が強く、急進派の中には台湾の独立を阻止するためならば戦争も辞さないという考えを持つ人が多い。
- 日本に対して否定的な感情を持ち、対日政策は強硬的な態度を取るべきという考えを持つ。第二次世界大戦については、日本は未だに公式に謝罪をしていないという認識が強く、靖国神社問題、尖閣諸島問題、歴史教科書問題などの日中間問題の責任は全て日本にあると主張している。また日本は再び軍国主義化すると信じてやまず、日本政府や日本軍に対して否定的な感情を持つ。
つまり「中国第一主義であり、かつ日本を筆頭とする他国に対して敵対的」な中国人の若者のことである。日本で例えるなら、程度は違うが過激な愛国者という意味では「ネット右翼」が近いかもしれない。テレビで見られる反日デモや日章旗の焼却、日本製品の不買運動などをしている中国人は、彼らかあるいは彼らに扇動された人が大半である。
「糞青」と揶揄されていることからもわかるように、所構わず反日に走る彼らは他の一般的な中国人からは鼻つまみ者扱いであり、侮蔑の対象である。日本対応の主軸を「政冷経熱」としている中国経済にとっても、日本人の対中感情を悪化させる彼らは害悪であり、悩みのタネとなっているようだ。特に最近は日本のサブカルチャーコンテンツに対して執拗に攻撃することがあり、それが原因で中国を撤退する事例が多くなってきている。
中国当局から見て
中国第一主義を叫び、日本やアメリカに対して敵愾心を見せる「憤青」だが、意外にも中国当局からの評判はよろしくない。何故ならこの「憤青」は当局が意図して生み出したものではなく、自然的に発生したものだからである。自然発生であるが故に制御が困難であり、当局にとって不都合な形で暴走する危険性を孕んでいる。
そして彼らの不満の矛先が当局そのものに向く可能性も当然ある。中国に対して弱腰な日本政府に不満を持つ日本のネット右翼がいるように、日本に対して強硬姿勢を取らない中国政府に対し不満を持つ「憤青」がいないとも限らない。愛国と政府批判は両立できるからだ。実際、ネット上では排斥されがちな「憤青」は独自のコミュニティを形成し、その思想と不満を更に過激化させる傾向にある。
もし「憤青」が暴走し「愛国心」を持って自主的な行動を起こしたとすれば、国の動きの全てを自らが管理したい当局にとっては非常に拙い事態と言えるだろう。大衆が自ら行動を起こすこと、それはすなわちポピュリズム(大衆主義)に他ならず、一党独裁に真っ向から対立する概念だからである。
中国当局は現在、行き過ぎた愛国者の信用スコアを下げたり、「憤青」にならないよう注意を促す広告を掲載したりと対応を取り始めている。果たして肥大し始めた反日感情を制御できるのか、今後の動向が注目される。
関連項目
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