我田引鉄とは、鉄道路線の敷設にあたって地元住民や政治家の介入が行われたことにより、路線全体の価値に悪影響が出ることを揶揄した言葉である。
概要
「他人のことを無視して自分だけ良ければと行動する」という意味の四字熟語に我田引水というものがある。
これは「自分の田んぼにだけ水を引っ張る」という意味から来たものであり、それを鉄道に変えたのがこの「我田引鉄」という言葉である。
政治家が票を多く集められる地域のことを「票田」というため、地元政治家による工作活動とかけて「我が票田に鉄道を引く」と解釈されることも多い。
この種の「我田引鉄」とみられる活動は、鉄道の効用が広く知れ渡った明治～大正時代には既に現れ始めていたと考えられている。代表事例は大船渡線であり、陸中門崎-千厩間が政治家の路線誘致活動に振り回されて遠回りをする「鍋弦線」という線形になったことが広く知られている。
一方で中央本線辰野経由（大八廻り）のように、実際には地形や予算・技術など別の問題から生まれた線形が「我田引鉄」による産物と捉えられてしまう事例も存在する。これは逆の話である「鉄道忌避運動」（地元が鉄道敷設に反対したので路線が集落から離れたところを通るようになったという伝説）にも共通する。
現代では、ローカル線に代わり整備新幹線や中央リニア新幹線のルート問題で「我田引鉄」と揶揄される事象が発生している。また高速道路の敷設にあたっても似たような話が浮上することも有る。（ちなみに中央リニア新幹線のルートは静岡県知事がむしろウチのところにリニアを引くなとゴネた結果開業が延期している状態である。静岡地区以外は予定通り建設が進められているにも関わらず、である。リニアの計画ルートでやたらと迂回してるルートがあったのは長野・松本方面などに誘致があるからではなく静岡県知事が嫌がったためである）
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