「真のエンターティナーは、どんな時も笑顔でいなければならない」
或真敷一座(あるまじきいちざ)とは、CAPCOMのゲーム『逆転裁判』シリーズに登場する大魔術集団である。
なお、ゲーム内BGMにも同名の曲が存在し、彼等のテーマ曲として使用される。
概要
初めて存在が言及されたのは逆転裁判4。
時系列的には逆転裁判3以前からショービズ界を席巻していた大魔術集団。
『2』で登場したマックス・ギャラクティカと対決したこともあるようだ。
或真敷一座の長である『或真敷天斎(あるまじきてんさい)』を筆頭に、彼の弟子達も一流のマジシャン。
時には豪華客船を消し、遊園地を爆破し、銀行の金庫から金塊を消し、閉じ込められた刑務所から脱走してみたりと、その誤解を生みそうなマジックを次々と披露していった。
その人気はすさまじく、全盛期はテレビに出ない日は無いと言われ、記念切手まで売られる程だった。
逆転裁判4の時点では、或真敷天斎を始め多くのマジシャンが舞台から去っている。
かつての勢いは無いが或真敷の名は絶大であり、未だに一座の「伝説」や「奇跡」のファンも多い。
現在は或真敷天斎の孫である成歩堂みぬきが唯一の後継者であり、一座の技と魂を引き継いでいる。
メンバー
基本的に衣装は「シルクハット」と「マント」は共通で、いかにも魔術師といった出で立ち。
また、大半はどこかにトランプの意匠が施されているのも特徴。
♠或真敷天斎
一座の長であり、「奇跡」の体現者。
衣装は黒でマークはスペード。
奇妙な形の白髭を蓄える。(髪型と合わせるとスペードの形なのだが帽子でわからない)
誰よりもマジックに対して並々ならぬ情熱を持ち、誰よりも厳しい人。
記事冒頭の言葉は天斎のもので、一座のポリシー。
『4』の7年前に死去。
♣或真敷ザック/奈々伏影郎(ななふしかげろう)
一座を支える弟子の一人であり、後継者の筆頭だった。バランの兄弟子。
衣装はピンクに近い赤でマークはクラブ。
大柄な体格と髭が特徴で、よく笑う男。
勝負事が好きで、負けず嫌いな性格。ポーカーで相手の人間性を見抜くことができるという。
みぬきの実の父親。
『4』の時点で消息不明。
♥或真敷バラン
ザックと同じく一座を支える弟子の一人であり、後継者の筆頭。ザックの弟弟子。
衣装は黄色でマークはハート。
長髪にステッキを携帯しやたらクルクル回す、何もかも大げさな男。
退場するときはマントをひるがえし、フツーにドアから出ていく。
ザックとバランのコンビは、全盛期を知る者にとっては一般常識。
『4』の時点でも現役で活躍しており、とあるイベントのイリュージョンにも関わっていた。
♦ユーミ(※)/或真敷優海(あるまじきゆうみ)
全盛期時代の一座の紅一点。
衣装は青でマークはダイヤ。
首に赤いスカーフを巻いており、栗色の長い髪を左右で二束に編んでいる美女。
かつてはザックとバランとチームを組み、早撃ちショーのアシスタントを担当。
自身が魔術師であったかどうかは不明。
天斎の実の娘でザックの妻、そしてみぬきの母親。
『4』本編以前に死亡したが公表はされていない。
※ユーミはバランによる呼称であり正式な芸名かどうかは不明
♦成歩堂みぬき
現在唯一の後継者。
成歩堂なんでも事務所の所長(4)→影の所長(5以降)で芸能業務(マジックショー)を担当。
衣装は幼少時は赤、現在は青でマークはダイヤ。ちなみにどちらも父親の色。赤いスカーフは母譲り。
自他ともに認める(?)美少女魔術師。
『4』ではまだまだ魔術師の卵だったが、『5』ではプロのマジシャンと紹介され、
『6』にて「或真敷一座」としての公演を開催するにまで成長した。
上記の通り肉親は全員死亡or蒸発しており、訳と縁あって成歩堂龍一の養女となる。
詳しくは該当項目参照。→「成歩堂みぬき」
Mr.メンヨー
『6』にて登場。炎を操るマジックが得意。
衣装は右半身が紫、左半身とマントや襟の裏が緑で、他のメンバーと違いマークはなく、代わりに「面」の漢字の飾りをつけている。彼の衣装はジョーカーがモチーフだろうか。
顔の右側を覆う仮面を付けていて、手袋はメンバーの中で唯一指が出るデザイン。
ステージ以外でも「魔術師」のキャラを崩さず、「魔力が足りない」といった言葉を使うことも。
『6』の10年前に一座から離れ、最近になって再び活動を開始した。
厳密にいえば現在は一座の人間ではない。
或真敷の縁で『6』の第2話にてみぬきのショーに出演することになった。
ゲーム内での活躍
※ ネタバレ(特に『4』『6』)の為、タネを明かされても問題ない方のみスクロールしてください。
単刀直入に書こう。
或真敷一座の人間は大半が犯罪を犯しており、内外関わらず多くの人間を不幸にしたいわくつきの集団である。
行き過ぎと揶揄されるマジックへの情熱のせいか。はたまた一座という特異な環境が産み落としたのか。
控えめにいっても性格に難がある人達と言わざるを得ない。
正に「有るまじき一座」である。
法廷で明らかになった一座の歪みや各々の末路も「自業自得」と切り捨てられたり、「せいせいした」とプレイヤーにも同情されない場合が多い。
以下、各人の所業。
なお、所業に対する感想や意見は編集者の独自解釈が含まれている点に注意。
- 或真敷天斎
- ある時、一人娘である優海が弟子であるザックとバランとの練習中の事故で死亡。
後継者を決めるという一座にとって大事な時期だったため天斎の手によって事故の真実ははもみ消されたが、事故に怒る天斎は娘の命を奪った二人をずっと脅迫し続け、二人を自分の望むように働かせていた。
しかも実は優海は生きており、その事を隠してなお二人を脅迫し続けた。
死期を悟り、後継者を決める際も「自分の病室に来て、用意してある銃で額を撃ち抜け」という無茶苦茶な脅迫をしている。(一応誰の額かは書いておらず、”正しいもの”を撃ち抜けば誰も殺さずに済む仕様、この脅迫が後継者を決める試験だった様だ)
結果として二人とも天斎の額を撃ち抜かなかったため生存するも、後継者を決めて心残りが無くなった天斎はその拳銃を用いて自殺。
他者により細工されていたとはいえ、自殺の状況が弟子に殺人容疑がかかるようなものだったため、結果的に一座凋落の原因になり、関係者以外にも遺恨を残してしまう。
後にこの事件が法の暗黒時代到来の原因の一つになっている。
脅迫の件は死の間際に一応「いろいろ、すまなかった」と謝罪はしている。
しかし、娘の死や弟子を利用したことは、親として師として有るまじき行為である。 - 或真敷ザック
- 勝負に対して異常なこだわりを持ち、すぐに手が出る性格。
こだわりについて成歩堂には「キケンなオトコだ」と評され、すぐに手が出ることに関しては長い付き合いの友人が「5発、パンチは食らいました」と証言している。 - 上記の天斎の死亡状況により、天斎殺害の容疑で逮捕、起訴される。
裁判の前日に担当弁護士を急に変えたことで前任者の恨みを買い、成歩堂は偽の証拠品を掴まされ、ザックの有罪は避けられなくなってしまう。
本物の証拠品はザックが所持していたのだが、後述するように成歩堂を信用せず隠し持ったままだったため、出所不明の偽物の方を提出せざるを得なかった。
天斎の最後の脅迫の際に後継者の証である興行権を得ていたが、有罪判決を受けてしまえば娘のみぬきに興行権を相続できなくなってしまうと考え、判決直前に姿をくらました。
この行動により裁判は判決の出ないまま中断。成歩堂は弁護士バッジをはく奪され、みぬきは親を失ってしまう。(しかも言動からして最初から成歩堂にみぬきの養育を押し付けるつもりだった可能性が高い)
その後7年間、完全に消息不明。みぬきは彼が迎えに来るまで成歩堂の元で暮らすことを選んだ。
死亡扱いになる直前に再び成歩堂の前に登場。みぬきに興行権の相続と、共犯や真犯人である疑いのかかった弟弟子のバランを気遣って天斎の事件の証言をし、嘘の自白書を書いた。
その後、七年間ポーカー無敗の成歩堂との対決に挑む。
しかしこのポーカー対決、ただの真剣勝負ではなく、イカサマ師を雇って成歩堂のイカサマを捏造し無敗伝説をぶち壊そうという計画に基づいたものであった。
(ピアニストポーカープレイヤーをやめて弁護士に復帰してもらいたかったのではという考察もあるが、公式では理由は語られていないままである)
計画に感づいた成歩堂はその罠を回避、激高したザックはイカサマ師をインチキ呼ばわりし瓶で殴る。
成歩堂が警察を呼びにその場(地下室)を離れている間に今度は自分が瓶で殴り殺された。 - 以上の7年間の行動ははっきり言ってしまえば支離滅裂以外の何物でもなく、娘の為を思うならもっといいやり方があり、利用するだけ利用してフォローは一切なし。いたずらに様々な人の人生を狂わせてしまっている。
一番批判されるべきなのは、前任はともかく、担当弁護士である成歩堂を信用しなかったことだろう。
確かに実際の裁判がバランに疑いがかかる方向で進んでいたとはいえ、成歩堂の場合ここから真相に迫っていく可能性も十分あった。
自分に疑いがかかった状態で失踪することでバランを疑いの目から守ろうとしたらしいが、皮肉にも、被告人消息不明で裁判が中断されたままになった影響でバランはずっと世間から疑わることになってしまった。
成歩堂を信頼して全てを任せてくれていれば、バランが殺人者扱いされることも、娘と離れ離れになることも、こんな逃亡生活をすることも無かったかもしれない。
暴力的であることも含めて、被害者の立場にして一座で一番罪深い存在とよく言われる。
死後もみぬきに尊敬されている分まだマシだろうか。 - 或真敷バラン
- 天斎の自殺現場に細工をし、兄弟子のザックに罪を擦り付けた張本人。
元々は(先に試験を受けたザックが天斎を殺さなかった場合)自分が天斎を撃ち殺し、ザックに罪を擦り付ける計画を立てていたが、いざ天斎と対面すると実行に移せず、天斎には「トリックを譲ることにしたザックを支えてやってくれ(要約)」と言われ病室を後にする。彼はこのときのことについて「私の中の悪魔は去った」と語っている。
しかし、天斎が自殺するときの発砲音を聞くと悪魔は再び蘇り、計画を途中から実行してしまう。
興行権も、優海も、バランが欲しかったものをことごとく得ていったザックに対する逆恨みに近い復讐である。
その結果自分の首を絞めることとなる。
ザックが逃げたことで上述した通り疑いの目は彼にも及び、更には興行権が無いため或真敷を名乗りながら或真敷の技を使えなかったのである。
7年後のザックがそれほど変わっていなかったのに対し、彼はおおよそ7年とは思えない程老けてしまっている。
マジックの腕も衰え、ゴシップ記事にも耐えたのは、ザックがずっと行方不明なら7年後に法的に死亡し興行権を得ることができるから。それを糧に或真敷の名を捨てず辛酸を舐める7年間を過ごす。
その目論見も期限ギリギリでザックがみぬきに興行権を相続したことでご破算。
最終的には工作の罪を認め出頭、逮捕されたものと思われる。
苦労した分まだ同情される部類ではあるが、自業自得以外の何物でもない。
- 或真敷優海
- 事故で死亡とされていたが、実は上述した通り生きていた。
しかし、記憶と視力を失っており、更には天斎がその事実を隠したことで第二の人生を歩まざるを得なくなったと思われる。
異国の歌姫、ラミロアとして第二の人生を送ってしていた最中に殺人事件に巻き込まれる。
真犯人ではなかったが、証言台に立てば隠し事や契約で証言できないことが多く、特に盲目を隠していたのでいたずらに状況を混乱させてしまっている。
しかし、罪と言われそうなことはこれくらい。
一時期は前夫が亡くなった時に息子を捨てただとか息子を外国に置き去りにした疑いもあった。
実際は夫と息子は一国家を揺るがす大事件に巻き込まれており、夫は荷物やパスポートを含めて全て焼失し名前もわからない身元不明の被害者として処理された。
夫と共にいた息子はとある人物により救出され生きていたものの、事件の混乱で警察が機能せず消息不明。生き別れてしまっていた。(ある人物の考察によると、息子のほうも死んでしまったと思い込んだ)
彼女自身はそこまで悪い人とは言えないし、不幸な人というほうがしっくり来るだろう。
『4』終了時点で記憶と視力が戻り、息子の居場所も判明した。
『6』で立派に成長した子供二人に全てを打ち明けるその時が彼女の真の幸せとなるのだろう。 - 成歩堂みぬき
- とうとう『6』で被告人となってしまうが、もちろん無実である。(一応本編以外も含めば5のボイスドラマでも被告人になっていた)
彼女も上記の通りかなり不幸な目に遭っているが、成歩堂に養子として迎えられて愛情(親バカ気味)を注がれたのは幸いといえる。
犯罪に問われそうなのは、実父の逃亡の幇助や(4)、とある人物に頼まれた偽造した証拠品の受け渡し(4)、重要証人を引き留めるための投げナイフでセグウェイ(?)のタイヤ破損(5)、養父達について行きたいが故の密入国まがい(6)だろうか。 - Mr.メンヨー
- 実は或真敷一座時代の一代目・本名:志乃山金成(しのやまかねなり)と、
最近活動を開始した二代目・本名:伏樹直人(ふしぎなおひと)の二人が存在していた。
一代目が練習中の事故で怪我をしたことが全ての始まり。
天斎に未熟と判断され、公演の出演を止められる。それでも無理して出ようとしたため破門される。
その後はTV業界に入り、名物プロデューサーのヤマシノPとして活躍していた。
そして『6』の数年前に番組の企画でMr.メンヨーの大ファン・伏樹直人と出会い、彼に自分の正体を教えて弟子にした。全てのマジックを教えた志乃山は伏樹に「Mr.メンヨー」を襲名させ、プロデューサーの立場を利用して活躍させた。(世間的にはMr.メンヨー本人が数年ぶりに復活したように見えた)
ヤマシノPとしてTV業界で活躍を収めてきた志乃山だったが、破門されてからの10年間、或真敷への恨みを忘れた事は無かった。彼は或真敷への復讐のため、弟子の死を利用した復讐計画を立てたのである。そしてその計画は彼の破門なんてあずかり知らないみぬきに対し、成歩堂不在のタイミングを狙って実行されることになる。
その復讐はマジシャンのトリックを用いて殺人容疑をかけるものと、プロデューサーの権力を用いた偏向報道とバッシング、更には不正な書類を用いた3億円もの賠償金請求によるものであり、もし完全に成功していたらみぬきが殺人者として逮捕されるだけでなく成歩堂なんでも事務所は差し押さえられ事務所メンバーも膨大な借金を背負い社会的に抹殺されてしまうというえげつないにも程があるものだった。
しかもある人物の”ミス”とそれに対するみぬきのとっさの”フォロー”がなければ成功していたというのだから恐ろしい。
極め付けが上記の二代目Mr.メンヨーを復讐の為だけに利用し殺害していること。自分を純粋に慕ってくれた、弟子である二代目をである。 - 或真敷のやりすぎた実力至上主義により幼少期から夢見たマジシャンへの道を閉ざされた被害者と言えなくもないが、だからといってここまでやっていいわけではない。
悪事が全て暴かれ有罪が決定した後も被害者面をし、みぬきが自分のトリックを見抜けなかったことを指摘して「或真敷はこのMr.メンヨーに敗れたのだ!」と自己満足をして高笑いとともに退廷した。
因みに、彼のトリックを全て見破った弁護士も或真敷の血をひいているため、最後の負け惜しみの捨て台詞すらも最大の皮肉になっている。
ここまで問題を起こしながらも或真敷の名を使ってショーができるあたり、今なお続くマジシャンとしての或真敷の人気ぶり、そしてみぬきの覚悟が見て取れる。
これからの彼女と或真敷が素晴らしくなることを祈るばかりである。
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