抗日ドラマとは、中華人民共和国で放映されているドラマである。
概要
こちらも参考→抗日神劇
中国では、1937年から1945年にかけて行われた抗日戦争を題材としたドラマが盛んに制作されている。悪辣非道な日本軍を、中国共産党軍(八路軍)や抗日レジスタンスの中国人が蹴散らすのが主な流れ。作中の日本兵はとにかく悪辣非道に描かれており、女性を見かけると強姦、醜悪な顔で奇声を上げながら襲い掛かる、市民を虐げるなど悪事の限りを尽くす。それを超人的な力を持った中国人が懲らしめるという勧善懲悪なストーリーで、高齢者を中心に人気がある。東南アジアや北アメリカなど、中国語を話す人間が多い地域にも衛星放送されている。
中国国内では中共の規制が厳しく、製作陣の作りたい物が作れない環境にあるのだが、抗日ドラマの体であれば規制が緩くなる傾向にある。このため今なおも続々と新たな抗日ドラマが作られているのだが、あまりに荒唐無稽すぎてギャグコメディと化しているものは「抗日神劇」と揶揄されて中国国内からもネタにされる。
中国の雑誌「南方週末」によると、1949年から2004年にかけて放映された抗日ドラマは150本程度に過ぎなかった。しかし2005年以降から急増し始め、2010年頃から空前の抗日ブームが到来。わずか2年の間で180本作られるようになった。中国にいる日本人俳優だけでは補い切れなくなり、日本語が出来ない中国人が日本兵役を演じるようになった。当初日本軍は単なるやられ役に過ぎなかったのだが、徐々に変化が生じてきた。2010年に製作された「抗日奇侠」では土肥原連隊長という悪辣な人物にヘイトを集めさせ、それ以外の日本軍将兵は常識人にするという珍しい製作体制が取られた。抗日ドラマにも関わらず美人将校の杉木少佐と高島少佐とのラブロマンスを入れるなど、やられ役以上の役割を与えられた。
インパクト優先で娯楽化が進んでいた抗日ドラマにネット上では非難が殺到。これを受けて2013年5月、中国政府は「過度な描写は制限する」と発表。変化が促された。時代の流れとともに、視聴率を稼ぐため日本軍もカッコよく見せなければならなくなったようで、イケメン俳優を起用して中国の女性工作員と恋に落ちるものも作られた。その影響か女性人気が出始め、歴史の勉強と称して日本兵のコスプレをしてしまい、当局に逮捕される事態に発展した事も。
今も抗日ドラマは作られ続けており、その勢いは留まるところを知らない。
関連項目
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