折伏(しゃくぶく)とは、主に仏教で「真っ向から正法を説いて人々を導くこと」を指す言葉だが、仏教本来の意味の折伏と、ぁゃιぃ宗教団体が用いる折伏の使い方で印象がかなり違う言葉である。
仏教本来の「折伏」
世界大百科事典 第2版の解説によれば、折伏とは 『破折調伏の意で,摂受(しようじゆ)の対語。仏教における化導弘通(けどうぐづう)の方法で,摂受が相手の立場や考えを容認して争わず,おだやかに説得して漸次正法に導くことであるのに対して,折伏は相手の立場や考えを容認せず,その誤りを徹底的に破折して正法に導く厳しい方法で,摂受は母の愛に,折伏は厳しいながら子をおもう父のいましめにたとえられる。』
つまり、穏やかに相手を諭すのではなく、相手の主張を「はい論破ー」して自分の主張を相手に教え込む行為のことを言うのだが、引用文の通り、あくまでも言説のみをもって相手を導くのが本来の意味の折伏である。
広済寺ホームページ「折伏の本当の意味は?」によれば、「勝鬘師子吼一乘大方便方廣經」という文献に以下のような記述が現れる。
我得力時。於彼彼處見此衆生。應折伏者而折伏之。應攝受者而攝受之。何以故。以折伏攝受故令法久住。
(我れ力を得ん時、彼々の処に於て此の衆生を見ば、応に折伏すべき者は之を折伏し、応に摂受すべき者は之を摂受せん。何を以ての故に、折伏摂受を以ての故に法をして久しく住せしむ。)
つまり、「折伏(北風)と 摂受(太陽)を対象者によってケースバイケースで使い分け、旅人の上着を脱がせてやりなさい」と言うのが本来の教えであって、折伏(北風)のみの戦術で相手を落とすと最初から決めこんでどうにかするという話では本来ないはずなのである。
ぁゃιぃ宗教団体の「折伏」
ぁゃιぃ宗教団体の「折伏」は上記の破折“調”伏ではなく、破折“屈”伏の略であるとされる。
相手を屈服をさせるために、言説以外にもありとあらゆる手段を用いるのがぁゃιぃ宗教団体の折伏である。
- 【代表的な手段1】大人数で対象者を取り囲む
- 正しい意味の折伏が1対1で父親が子を諭すように行うものならば、ぁゃιぃ宗教団体の行う折伏は、数的優位の状況を作って行われることが多い。あるときはファミレスの4人がけボックスシートの奥の席に対象者を座らせ3人がそれを取り囲む形で対象者を逃げられない状況にして長時間折伏、あるときは対象者の家に大挙して押し寄せ、1人がしゃべり終えたと思ったら矢継ぎ早に次の1人が話しだして一向に終わらない地獄のような折伏。やがて対象者はその状況からなんとかして逃れたいと相手の主張を飲んで宗教屈服し、折伏が完了する。
- 【代表的な手段2】弱みを握る
- 対象者やその家族の病気や貧困などの困難を予め調査し(またはアンケート等でその情報を掴み)、そうした困難に陥っているのは現在の宗教やそれに基づいた悪い行いのせいであるが、私たちの宗教に入り考え方を改めさえすればそうした困難から救われる、と折伏する。
- 【代表的な手段3】将来の恐怖をイメージさせる
- 前述のような「現在の弱み」を握れなかった場合は「将来の弱み」をちらつかせて脅迫する。例えば、あなたはコレを信じなければ癌になって早死するとか、地獄に堕ちるとかの類である(まぁ、これは新興宗教に限らずほぼすべての宗教が共通して使っているテクニックではある)。
- 【代表的な手段4】実力行使
- 前述1~3の手段でも対象者が屈服しない場合、その日はいったん折伏が終わるが、翌日から対象者のまわりに悪い事を実力行使で起こす。例えば対象者やその家族の悪い噂を流すのに始まり、次第にその悪い噂から対象者をコミュニティから仲間はずれ(村八分)にし、ひどい場合は対象者の家や仕事場に嫌がらせをしたり、自営業の場合は仕事が急になくなるなんてこともある。こうした実力行使から逃れその地域で今の暮らしを続けるために、やむなく折伏を受け入れることになる人も多い。
以上が代表的な折伏の流れだが、ぁゃιぃ宗教団体に限らず、悪徳商法などの場合の勧誘テクニックも似たようなものが使われる。つまりこの流れは完成された洗脳テクニックなのである。
以上、かいつまんで説明したが、詳しく学びたい方は広済寺ホームページ「折伏の本当の意味は?」をご一読されることをオススメする。
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