拘禁刑とは、有期もしくは無期の期間において一定の場所に閉じ込める刑罰の種類である。
日本においては2025年6月1日から発生する事件において罪を犯した者に科せられる刑罰の種類である。
概要
拘禁刑とは、有期もしくは無期の期間において一定の場所に閉じ込める刑罰の種類である。
日本国においては、令和4年6月成立、令和7年6月1日施行の改正刑法により、令和7年6月1日より発生する事件において、懲役・禁錮に代わり罪を犯した者に科せられる刑罰の種類である。
懲役・禁錮との違い
旧刑法の懲役は、受刑者には刑務作業および矯正処遇が義務付けられており刑期中は原則免れられない。
禁錮は刑務作業および矯正処遇の義務は無い。
新刑法による拘禁刑では、刑務作業および矯正処遇を刑事施設の判断により受刑者の処罰・傾向および心身状態に応じて適時従事指導を行えるようになる。
背景
従来の刑法では、受刑者に一定の拘禁を科す刑罰として「懲役」「禁錮」が定められていた。このうち懲役においては刑務作業が受刑者の服役義務として定められており、この義務は受刑者に深刻な病気や障害があっても免れる事が出来ない。禁錮においては刑務作業は任意であり受刑者の申出と刑事施設の許可があれば従事できる。
ただ実態として禁錮受刑者の多くが進んで刑務作業に従事している。
これは禁錮であっても日中は自由が無く居室内で姿勢を崩すのも許されずただじっと耐えなければならないという、ある意味懲役以上に苦しい環境に置かれ精神的に耐えられない、それなら刑務作業やっていた方がいいと漏らす受刑者が多いからである。
また懲役の刑務作業においても受刑者の高齢化が進み作業が遂行できないなど深刻な支障が出ている。
身体障害や認知症を患う受刑者にも義務だからと居室や病室内で内職を無理やりやらせ商品の破損・汚損を起こし仕事にならない。また刑務作業そのものが釈放後の社会の実態に合わず、出所者の社会復帰を困難にし再犯を誘発する要因になっているとされている。
内容
拘禁刑では、刑務所・社会復帰促進センターに収容された受刑者は、受刑者の傾向、特性、そして本人の希望に応じ改善更生や円滑な社会復帰を図るために必要と認められる場合に限り刑務作業および矯正処遇を行わせるようになる。
刑務作業が義務ではなくなる事で、旧法下では難しかった薬物・ギャンブル依存症の改善指導や福祉支援に専念させたり、中卒認定・高卒認定取得を目指す教科指導、リハビリテーション等の身体機能向上訓練に施設の判断で実施でき、受刑者の社会復帰および施設の環境改善に繋がると期待されている。
海外法との均整化
拘禁刑導入には諸外国刑法との均整化も伴うという背景も含まれている。
アメリカやイギリス等のG7諸国を含む海外の刑法では、服役刑に必ずしも労働を伴う刑務作業を科さない事から、労働を伴う刑務作業を義務とする日本の旧刑法は中世的で人道に反するとの指摘もある。
諸外国では宗教的背景から労働そのものが原罪であるとし、服役に労働を伴う刑務作業を科さない国、刑務作業を定めていても労働を含まなくても良いとする国が大半である。
旧法受刑者
旧法による懲役、禁錮に科せられた受刑者は刑の変更は無く従来通りとなる。
ただし実態を顧み、恩赦による変更の可能性は残されている。
関連リンク
関連項目
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