指九九(ゆびくく)とは、掛け算九九の一部を指で行う計算法である。
概要
算数のできない子が指で足し算や引き算を行うことはよくあるが、それとは異なる。
10本の指を折ることで、大きな数の九九を計算できるとするものである。
ただし、81項すべての九九を網羅していない上、計算の一部に小さい数の掛け算が含まれる(すなわち、それに使う分は暗記しなければならない)。
したがって、日本では普通に九九を覚えたほうが早いと考えられ、知っていても活用する人は少ない。
しかし、指を折るだけで計算できる不思議さから、一部の教科書や児童向けの学習図鑑では、算数トリビアとして、コラムなどで紹介されている。
このとき、「欧米では」一般的、などと言われていることが多いが、その信憑性についてはこれ以降の項を参照されたい。
方法
因数(かけられる数)がともに5以上の場合と、9の段に存在する。
9の段については特殊なため、以下は因数が5以上の掛け算について説明する。
9の段
9の段にだけ、特殊な計算方法がある。「9の段」の記事を参照せよ。
因数が5以上の掛け算
10本の指を広げ、それぞれ5を超える分だけ指を折る。
折った指の和が十の位、立っている指の積が一の位である。後者が10を超える場合は繰り上げる。
例えば、7×8を計算するには、左手の指を2本、右手の指を3本折る。立っている指はそれぞれ3本・2本となる。十の位は2+3=5、一の位は3×2=6なので、積は56となる。
7×6では、左手を2本、右手を1本折るので、十の位は2+1=3、一の位は3×4=12となる。一の位を繰り上げて、答えは42である。
因数のどちらかがちょうど5である場合も、折る指を0本とすることで同じアルゴリズムで計算できる。
しかし、5×5の場合は、十の位が0+0、一の位が5×5となり、「5×5を求める計算の中に5×5が登場する」という無意味な結果となる。
証明
折る指の本数をm,nと置けば、立っている指の本数はそれぞれ5-m、5-nである。
求める積は、(5+m)(5+n)と表せる。
上式を変形すれば、
(5+m)(5+n)
=25+5m+5n+mn
=25+10m-5m+10n-5n+mn
=(10m+10n)+(25-5m-5n+mn)
=10(m+n)+(5-m)(5-n)
「欧米では」使われているか?
一部しか使えない上に、普通に九九を覚えるより難解に見えるこの計算法だが、日本でこの計算が紹介されるときは「欧米では九九を覚えず、指を使って計算する」などの文言を伴う。
しかし、欧米の小中学校で上記の指九九が使われている、という証拠は見つからず、信憑性に乏しい。
英語の教育系サイトでは、初学者向けの掛け算としてmuitiplication tablesやtimes tables、すなわち日本の九九表と同じものを覚えるものが多く引っかかる。
指九九も紹介されてはいるが、あくまでトリビアか、忘れたとき用としての紹介である。
関連動画
関連リンク
関連項目
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