排除アート とは、融和の形をした拒絶である。
英語で排除アートに該当する表現には「Hostile architecture(敵対的な建築)」や「Defensive urban design(防御的な都市デザイン)」などが使われているという。
名称には賛否が別れているが便宜上この呼称で記述する。
概要
排除アートとは、街中の広場や公共スペース、軒下などのちょっとしたスペースにたまにみられる構造物である。現代アートのように何か抽象的なものを表現している構造物に見えて、その実「その周辺などに人が留まりにくくする仕掛け」である。
近年、公園に行くと二人以上が座れるベンチの中央に肘掛けが増設されているのを見た事がないだろうか?
あれも排除アートの観点から見ると「意地悪ベンチ」と呼ばれるその一つであり、その中でも肘掛けでは無く動物をかたどった焼き物などのアート作品の様な物が中央に置かれている物も同類とみなされている。
他には以下の様な物が排除アートと認識されている。
- 座るスペースが1人用のベンチ
- 足先が付かない様な背の高いベンチ
- 尻を乗せる部分が半分程のベンチ
- 夜間は利用出来ない様にできるベンチ
- 座る面を上げるて鍵をかけられる。
- 座面が丸太を倒したような座りにくい長椅子や斜めに切られた切り株の様なベンチ
- ちょっと休憩する程度なら問題ないが、寝転がることができないので寝泊まりすることはできない。
- 金属製のベンチ
- 歩行に支障が出ない範囲が凸凹になった地面
- 寝転がったときに体に刺さるので長時間座り込むことができない。
- 軒下や高架下にオブジェや不揃いの岩
- ほぼ立ち入らない様な形
- 不法滞在させない工夫がされたトイレ
- 無造作に設置された花壇
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また不正利用やホームレスの排除に大きく力を発揮する監視カメラもこれらの一部と見なされる(ていた)事もある。
良い点
何と言っても公的機関や土地の所有者・管理者が見張ったり(=人件費)バリケードを張ったりせず効率的に迷惑な人や不法占拠を排除でき、それでいて、進入禁止にしないまま短時間の利用なら可能なデザインにすることができる。
人目のつくところや便利なところであからさまなバリケードや進入禁止の看板を立てると印象が悪くなるがあと活動家に目をつけられるが、アートだと主張すれば印象がよくなる。人を排除するという市街にそぐわないような構造物を、街の景観を損ねることなくうまく融和させることができる。
また不法投棄やスケートボードに代表されるストリートスポーツによる被害などの目的外使用から守る効果もある。
上記の様に設置理由は金銭的・防犯的な側面も強く、そういった所有者・管理者の苦労や不利益を半ば無視して「排除アート」「意地悪」と呼ぶことには賛否が分かれている。
悪い点
排除される人は単に過激な行動や迷惑行為や不正利用をする厄介者だけではなく、一般的利用者も含まれる。
バリアフリーとは真逆の構造になっている事が多く、商業的にも「使いづらい」とマイナス評価にもつながり、安全性も落ちる。
またホームレスが目立つところからいなくなったとしてもホームレスという存在が消え貧困が解消されるわけではない。
ただ排除アートの撤去により「ホームレスを続けられる環境」の構築は根本的な解決になっておらずホームレス支援のあり方として賛否が分かれている。
区別の仕方
本物のアート(芸術作品)には必ず作品名とアーティスト名が記銘されている。一見して現代アート風に見えたとしても、排除アートにはそれがない。
関連項目
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