携帯電話とは、持ち運び可能な小型サイズの電話機能を中心とした移動体通信システムの総称である。「携帯」「ケータイ」と略される。
概要
日本では、自動車の車内に備え付けられた自動車電話(1979年にNTTがサービス開始)を、小型化して気軽に持ち運びできる形で誕生した。
当初は約3kgの重量がある端末を肩に背負い、通話するという「ショルダーホン」という形でNTTが1985年にサービスを開始した。1987年にはハンディ型の端末が登場する。だがこの頃の端末はまだすべてリース方式であり、維持費や通話料が非常に高額だったため、ほぼ業務用の用途にしか使用されていなかった。企業の重役・公務員の他、一部の裕福な家庭で使用する者が居るか居ないかという程度の普及率だった。
1988~1989年、auの前身となるIDO/DDIセルラーが携帯電話事業に参入。これにより携帯電話事業はNTTの独占から競合時代に突入し、端末・料金ともに次第に利用しやすいものへ変遷していった。
1994年には更なる新規参入事業者として、デジタルホン(ソフトバンクモバイル→ソフトバンクの前身)・ツーカーがサービスを開始。更にこの年には端末がリース方式から買取方式に変更され、初期費用や維持費が大幅に安くなり、同時に驚異的スピードで端末の小型化が進んだ。
なお、1995年には「コードレスホンの延長」を元に考案されたPHSもサービスを開始し、1997年頃まで携帯電話会社とも競いあう形で爆発的に普及したが、そのユーザーの多くは現在では携帯電話に移行し、現在残るサービス事業者はワイモバイルのみとなっている。
1990年代後半には、携帯電話は子供からお年寄りまで幅広い層に普及した。一方で、それまで情報端末として広く使われていたポケットベルや、かつては街中のいたるところに設置されていた公衆電話、更には各家庭に設置されていた固定電話までもが衰退し、音声通信には携帯電話を用いるのが常識となる時代が到来した。また、公共交通機関内や車両運転中における利用、サービスの利用過剰による高額料金請求(いわゆるパケ死など)、携帯電話を利用した犯罪(売春、詐欺など)などが問題視されるようになり、行政や通信事業者が対応を迫られることにもなった。
今日、携帯電話はインターネットの閲覧機能やメールの送受信、GPS、デジタルカメラ、テレビ受信機(ワンセグ)、電子マネー(おサイフケータイ)などといった機能も兼ね備えるようになり、多機能通信端末として我々の生活から切っても放せない重要な存在となった。
2000年代末からは、iPhone・Androidなどといったスマートフォンの普及が日本でも急速に進んでおり、「電話も備えた総合情報端末」への進化は止まる様子を見せていない。
2015年4月、携帯電話の各メーカーが2017年以降の生産を終了することが日本経済新聞によって報じられた。これにより日本独自のOSで作られてきた従来型の携帯電話はなくなり、今後のOSはAndroidを中心に展開されていくものと思われる。
携帯電話の通信規格[1]
- 1G(アナログ方式)…1979年、日本の日本電信電話公社(当時)が世界で初めて携帯電話のネットワークを東京で開始し、全国的に拡大した。これにより移動しながらの電話が可能になった。
- 2G(デジタル方式、データ転送速度9.6~30キロバイト/秒)…価格低下と小型化により、誰でも携帯電話を持てるようになり、テキスト情報を送信することが可能になった。
- 3G(384キロ~14メガバイト/秒)…インターネットへの接続が可能になった。※3Gの進化版である3.9G(LTE方式を使用)ではデータ転送速度最大100メガバイト/秒を実現。
- 4G(100メガ~1ギガバイト/秒)…動画をストリーミングで視聴できるようになった。
- 5G…今までよりも高い周波数の電波を使うことで高速化を実現するが、引き換えに建物や雨などで通信が遮断されやすくなり、電波の到達距離も短くなる。5Gでは「超低遅延」(タイムラグ1ミリ秒以下)や「多接続」(1平方キロ当たり100万台の機器接続が可能)も実現される。
関連動画
関連項目
関連リンク
脚注
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