持ち運び可能な小型サイズの電話機能を中心とした
移動体通信システムの総称である。
「携帯」「ケータイ」と略される。
変遷
2010年代以降においては単純にスマホと呼ばれたり、従来の物をガラケー/ガラホと呼び分けられる場合もある[1]。(それぞれ項目参照)
概要
1990年代以降においては様々な機能が付与され、必ずしも電話が主役とは言えなくなっている部分もある。現在は検索から動画配信、SNS・ネトゲから目覚ましまで書ききれないほど多機能に用いられるが、起因したトラブルも多い。
形状も様々で、ボタンしかないもの、申し訳程度の液晶程度がついているもの、折り畳み可能なもの、スライドするもの、画面を横にできるもの、現在のようにボタンがほとんどなくタッチパネルで操作するスマホまで多岐にわたる。アンテナを伸ばしたり光らせるといった機能があった時代もある。
スマホなどはボタンがなく押した感触がしない、画面がむき出しで傷がつきやすいといった意見もあるなど最新型のケータイが何もかも優れているとは限らない。
歴史
日本では、自動車の車内に備え付けられた自動車電話(1979年にNTTがサービス開始)を、小型化して気軽に持ち運びできる形で誕生した。
当初は約3kgの重量がある端末を肩に背負い、通話するという「ショルダーホン」という形でNTTが1985年にサービスを開始した。1987年にはハンディ型の端末が登場する。だがこの頃の端末はまだすべてリース方式であり、維持費や通話料が非常に高額だったため、ほぼ業務用の用途にしか使用されていなかった。企業の重役・公務員の他、一部の裕福な家庭で使用する者が居るか居ないかという程度の普及率だった。
万博への展示
1970年の大阪万博においては携帯電話が展示され、実際に体験でき好評であった。
(見た目はどう見ても電話の子機、コードレス電話サイズであるが…)
独占から競合へ
1988~1989年、auの前身となるIDO/DDIセルラーが携帯電話事業に参入。これにより携帯電話事業はNTTの独占から競合時代に突入し、端末・料金ともに次第に利用しやすいものへ変遷していった。
1994年には更なる新規参入事業者として、デジタルホン(ソフトバンクモバイル→ソフトバンクの前身)・ツーカーがサービスを開始。更にこの年には端末がリース方式から買取方式に変更され、初期費用や維持費が大幅に安くなり、同時に驚異的スピードで端末の小型化が進んだ。
なお、1995年には「コードレスホンの延長」を元に考案されたPHSもサービスを開始し、1997年頃まで携帯電話会社とも競いあう形で爆発的に普及したが、そのユーザーの多くは現在では携帯電話に移行し、現在残るサービス事業者はワイモバイルのみとなっている。
普及
1990年代後半には、携帯電話は子供からお年寄りまで幅広い層に普及した。一方で、それまで情報端末として広く使われていたポケットベルや、かつては街中のいたるところに設置されていた公衆電話、更には各家庭に設置されていた固定電話までもが衰退し、音声通信には携帯電話を用いるのが常識となる時代が到来した。
携帯電話とは別にノートPCの購入やネット接続契約をせずとも、あらゆる場所でインターネットを簡単に利用できる[2]など、その敷居や新規参入を大きく下げることにも貢献している。
また、公共交通機関内や車両運転中における利用(→ながらスマホ)、サービスの利用過剰による高額料金請求(いわゆるパケ死など)、携帯電話やその機能を利用した犯罪(売春、詐欺、盗撮、詐欺など)が問題視されるようになり、行政や通信事業者が対応や法整備を迫られることにもなった。
現在
今日、携帯電話はインターネットの閲覧機能やメールの送受信、GPS、デジタルカメラ、テレビ受信機(ワンセグ)、電子マネー(おサイフケータイ)などといった機能も兼ね備えるようになり、多機能通信端末として我々の生活から切っても放せない重要な存在となった。
2000年代末からは、iPhone・Androidなどといったスマートフォンの普及が日本でも急速に進んでおり、「電話も備えた総合情報端末」への進化は止まる様子を見せていない。
2015年4月、携帯電話の各メーカーが2017年以降の生産を終了することが日本経済新聞によって報じられた。これにより日本独自のOSで作られてきた従来型の携帯電話はなくなり、今後の国内メーカーが生産する携帯電話のOSはAndroidを中心に展開されていくものと思われる。
現代以降を舞台としたフィクションにおいても、仲間内のコミュニケーションから連携・トリックまで便利な道具として利用される。
携帯電話の通信規格[3]
- 1G(アナログ方式)…1979年、日本の日本電信電話公社(当時)が世界で初めて携帯電話のネットワークを東京で開始し、全国的に拡大した。これにより移動しながらの電話が可能になった。
- 2G(デジタル方式、データ転送速度9.6~30キロバイト/秒)…価格低下と小型化により、誰でも携帯電話を持てるようになり、テキスト情報を送信することが可能になった。
- 3G(384キロ~14メガバイト/秒)…インターネットへの接続が可能になった。※3Gの進化版である3.9G(LTE方式を使用)ではデータ転送速度最大100メガバイト/秒を実現。
- 4G(100メガ~1ギガバイト/秒)…動画をストリーミングで視聴できるようになった。
- 5G…今までよりも高い周波数の電波を使うことで高速化を実現するが、引き換えに建物や雨などで通信が遮断されやすくなり、電波の到達距離も短くなる。5Gでは「超低遅延」(タイムラグ1ミリ秒以下)や「多接続」(1平方キロ当たり100万台の機器接続が可能)も実現される。
欠点
落下によって画面にヒビが入ったり、水没による故障、バッテリー切れといった定番のトラブルもあれば、紛失した場合に内部の個人情報を奪われるといったリスクもある。
現在はあちこちに基地局があるため障害物だらけの市街地や地下鉄構内でも通じやすく無線機(トランシーバー)のように電波が遮断されて届かないということはあまりない…とはいえ、災害時など、基地局が破損・使用不能になると途端に圏外になる可能性がある。(被災地においては通信車両が派遣される場合もある)
※無線機はそれ自体が基地局であるため、高所など電波さえ届けば結構届く。電波の中継も可能。
- 無線機(インカム・トランシーバー)と携帯電話の違い - レンタル無線機ドットコム (rental-musenki.com)
- 無線機と携帯電話は何が違う?具体的な違い7項目 | 無線機・トランシーバー・インカムのジャパンエニックス (jenix.co.jp)
炎上や特定、ながらスマホ、既読がどうのといったリスク・トラブルはそれぞれ項目参照。
画面が小さい
多機能化の弊害
単純にスマホが多機能化・高性能化によって、デジタルカメラやラジカセといったその他電子機器などの売り上げが減っているというのも一種の弊害と見る場合もある。
セキュリティという視点で見るとスマホひとつあれば高画質の隠し撮りから録音まで一通りできてしまうため、高度な機密情報を取り扱う現場への持ち込みを禁止されている場合も珍しくない。
契約上のトラブル
「調べるのが面倒だしどの携帯会社も同じだろ(笑)」「何も知らなくても店員さんに従って全部任せれば安心」…と油断せず、事前に必要な内容を検索してから契約する、契約書をよく読むといった自衛策も必要である。特に低品質であっても解約金・違約金に限ってはガッツリ取ろうとする。
油断したツケは毎月支払わされることになるため、既に契約している人もプランを今一度見直してみるのも良いだろう。
某携帯会社はCM広告通りの速度が出ないため要注意。
※それしか使っていなければ「激遅」と気づけないし「これが普通」と錯覚してしまうため。
関連動画
関連項目
関連リンク
脚注
- *それぞれスマートフォン、ガラパゴスケータイ(フィーチャーフォンとも)の略。
- *音声認識で文字を入力できれば、キーボードを持ち歩いて叩く必要もない。
- *「5Gが導く第4次産業革命の波」山田敏弘 ニューズウィーク日本版 2019年3月26日号
- *画面の拡大は容易だが、情報表示量が減ってしまうため本末転倒である。
子記事
兄弟記事
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