支配とは、カードゲーム「ドミニオン」で使用されるカードの1つである。
カード概要
支配 |
---|
あなたの左隣のプレイヤーは、この後に追加の1ターンを得て、そのターンあなたはそのプレイヤーが見ることができるすべてのカードを見ることができ、すべての決定を行う。 そのターンのそのプレイヤーが獲得するカードは、代わりにあなたが獲得し、廃棄するカードは脇に置いてターンの終了時にそのプレイヤーの捨て札へ戻す。 |
⑥ポ アクション |
POSSESSION |
---|
The player to your left takes an extra turn after this one, in which you can see all cards they can and make all decisions for them. Any cards or tokens they would gain on that turn, you gain instead; any cards of theirs that are trashed are set aside and put in their discard pile at end of turn. |
⑥Po ACTION |
解説
ドミニオンの拡張セット第3弾、『ドミニオン:錬金術』に収録されているカード。
追加のターンに相手のデッキでプレイできるという強カード。しかしコストもそれだけ高く、6金+ポーションと入手にかなり手間がかかる。
支配を使用する上では支配を購入するためのデッキ構築、支配を効率よく使用するためのデッキ構築、支配する相手のデッキ構築の確認、相手に支配された場合に備えたデッキ構築、そもそも支配を買う必要があるのかの判断……等、色々と考えるべき内容が多く、プレイヤー間の実力差が出やすいカードと言われている。
複雑な支配のルールについて
支配に関するルールは複雑なものが多く、公式のルールブックですら丸々1ページを割くくらいである。実際にプレイを止めてルールブックやネットでルールを確認した人も多いのではないだろうか。
発売当初から前哨地との関わりが複雑で(ルールブックの分量の多さは大体こいつのせい)、その上新たなカードが出る度に複雑さは増す一方。しかし基本的なルールさえ覚えておけば処理にさほど苦労せずに済むので安心しよう……と言いたいところだが公式が何度もエラッタを出しているせいで事前にどの版を使用するのか合意をとらないとプレイに大きく影響を及ぼす可能性があるので注意しておきたい。
以下にいくつか例を示す。
(※以下、プレイヤーAが支配を使用し、直後に発生した左隣のプレイヤーBの支配による追加ターンについて考える。)
- Bが獲得しようとするカードは全てAが獲得し、Aの捨て札に置かれる。
- Bが廃棄するカードはBの脇に置かれ、ターン終了時(クリーンアップフェイズ終了後)に捨て札になる。
- カードの廃棄時効果は通常どおり得られるので、例えば狂信者を廃棄すればBはカードを3枚引くことができる。Bの手札から青空市場でリアクションを行うことも可能。
- 城塞を廃棄した場合、城塞を脇に置いても、Bの手札に加えてもよい(この選択はAが行う)。
- 脇に置かれたカードは廃棄置き場にはないので、墓暴きなどの効果で獲得することはできない。
- 脇に置かれたカードを捨て札にする際に坑道のリアクションを行うことはできない。
- Bがカードを引く途中でデッキにも捨て札にもカードがなくなった場合でも、脇に置いたカードはターン終了時まで移動しない。
- このことはBのカードにのみ作用するので、剣闘士やLurkerなどによってサプライから直接廃棄されたカードは通常どおり廃棄置き場に移動する。
- カードの獲得時効果はAが得る。
- Aが大使館を獲得した場合、A以外のプレイヤーが銀貨を獲得する。ただしBが獲得する銀貨はAが獲得するため、結果的にB以外のプレイヤーが銀貨を獲得する。不正利得と呪いも同様。
- Aが官吏を獲得しても、Bの財宝には何の影響も及ぼさない。
- 支配中のAの手札に望楼があれば、獲得したカードに対して望楼を公開し、そのカードを廃棄したりデッキの一番上に置いたりすることができる(Bの手札に望楼があっても何の意味もない)。
- 支配中のAまたはBの手札に交易人があれば、カードの獲得に対して公開して代わりに銀貨を獲得することができる。どちらの手札から公開された場合も銀貨はAが獲得する。
- Aが属州を獲得したときにBの手札に愚者の黄金があれば、それを廃棄して(脇に移動する)AはBの代わりに金貨を獲得して捨て札に置くことができる(Aの手札に愚者の黄金があってもリアクションできない)。
- カードの購入時効果はBが得る。
- アタックの効果は通常どおり(Aを含む)B以外のプレイヤーが受ける。
- クリーンアップフェイズ中も支配の効果は及んでいる。
- カード以外の獲得や、獲得・廃棄以外のカードの動きは通常どおり行う。
- 勝利点トークン・コイントークンの獲得先は過去に複数回エラッタが出ているため後述。
- 丸トークン(+1カードトークンなど)の効果はBのものを受ける。トークンを動かす場合も同様。
- 借入を購入した場合、Bのー1カードトークンをBのデッキの上に置く。
- 仮面舞踏会でのカード交換は通常どおり行う。Aが渡すカードもBが渡すカードもAが決定する。
- 大使でサプライに戻したカードや、使用した狂人や略奪品は脇に置かれずそのまま山札に戻る。
- 原住民の村や島やリザーブカードによるマットへのカードの移動はBのマットを使用する。Aは支配のターン中、Bの原住民の村マットに置かれているカードを自由に見ることができる。
- トラベラーカードの交換は通常どおり行う。
エラッタについて
2016年6月(日本では2017年2月)に発売された『ドミニオン:帝国』のルールブックには、「支配中にBが得る各種トークン(コイントークン、勝利点トークン、-1コイントークン、負債トークン)はBの代わりにAが得る」という旨のエラッタが記載されている。
また、2018年3月に海外で発売された『ドミニオン:錬金術』の再販版では「支配中はカードと負債トークンのみ支配者AがBの代わりに獲得する」と再度修正された。
本記事では、古いものから順に「初版」「修正版」「最新版」と表記している。版による各種トークンの獲得先はまとめると下の表のようになる。
コイントークン | 勝利点トークン | -1コイントークン | 負債トークン | 海賊船トークン | |
---|---|---|---|---|---|
初版 | 被支配者B | 被支配者B | 被支配者B | 被支配者B | 被支配者B |
修正版 | 支配者A | 支配者A | 支配者A | 支配者A | 被支配者B |
最新版 | 被支配者B | 被支配者B | 被支配者B | 支配者A | 被支配者B |
- 例外として、海賊船で得られるコイントークンはいずれの版でもBがそのまま得る。これは海賊船がトークンを獲得するのではなく、「海賊船マットにコイントークンを加える」という効果のため。
- 修正版でBが舞踏会を購入したとき、AはBの-1コイントークンを得る。
追加ターンについて
※注意※ 2017年に海外で再販された『ドミニオン:海辺』において、前哨地のルールは変更されています。(詳細) 日本国内ではまだほとんど浸透していないので本記事では変更前の旧ルールに基づいて記述しています。 |
A、B、Cの3人がこの順で並んでプレイしているとする。
- 同一ターンに支配を複数枚使用した場合、そのターンの終了後その枚数と同じ数だけ支配による追加ターンが発生する。
- 玉座の間で支配を使用することと支配を2枚使用することはほとんど同義である。
- 支配による追加ターン中に支配を使用した場合、そのターンの直後に「支配を使用したプレイヤーの隣のプレイヤーによる支配の追加ターン」が発生する。
- 前哨地や使節団など他の追加ターンを得るカードと処理が被った場合、追加ターンを得るプレイヤーのターン順で処理する順番を決定する。同じプレイヤーによる場合、処理する順番を選択できる。
- Aが同一ターンに前哨地と支配を使用した場合、ターン順の関係から前哨地の処理を先に行う。(前哨地の追加ターンはAが、支配の追加ターンはBが得るため)
- 例えば、「Aの通常ターン(支配を2枚使用)→Bの追加ターン(前哨地を使用)」ときた場合、残った支配と前哨地のどちらを先に処理するか(Aではなく)Bが選ぶことができる。
- 前哨地は「処理しようとしたタイミングで直前の連続した2ターンが両方とも自分のものだった場合」、使節団は「(処理しようとしたタイミングではなく)使節団を購入したターンの直前のターンが自分のターンだった場合」、追加ターンを得られないので注意。
- 前哨地と違い、支配は持続カードではないので使用したターンのクリーンアップフェイズに必ず捨て札になる。
例1
【Aの通常ターン】支配(1)を使用する。
【(AとBの)ターンの間】Bは支配(1)の効果で追加ターンを得る。
【Bの追加ターン(Aが支配)】支配(2)を使用する。
【(AとBの)ターンの間】Cは支配(2)の効果で追加ターンを得る。
【Cの追加ターン(Bが支配)】
【(AとBの)ターンの間】特になし。
【Bの通常ターン】
例2
【Aの通常ターン】支配と前哨地(1)と前哨地(2)を使用する。クリーンアップでカードを3枚引く。
【ターンの間】Aは前哨地、Bは支配による追加ターンの獲得が予約されているが、ターン順によりAが先に解決される。Aは前哨地(1)の効果で追加ターンを得る。
【Aの追加ターン(前哨地)】クリーンアップで前哨地(1)を捨て札にする。
【ターンの間】前哨地(2)を処理する。直前の2ターンは両方ともAのターンなので追加ターンを得るのに失敗する。Bは支配の効果で追加ターンを得る。
【Bの追加ターン(Aが支配)】クリーンアップでAは前哨地(2)を捨て札にする。
【Bの通常ターン】
例3
【Aの通常ターン】支配(1)を使用する。
【ターンの間】Bは支配(1)の効果で追加ターンを得る。
【Bの追加ターン(Aが支配)】前哨地(1)を使用する。クリーンアップでカードを3枚引く。
【ターンの間】前哨地(1)を処理する。直前のターンはBのターンだが2つ前のターンはBのターンではないので追加ターンを得るのに成功する。
【Bの追加ターン(前哨地)】支配(2)を使用する。クリーンアップでBは前哨地(1)を捨て札にする。
【ターンの間】Cは支配(2)の効果で追加ターンを得る。
【Cの追加ターン(Bが支配)】
【Bの通常ターン】前哨地(2)を使用する。クリーンアップでカードを3枚引く。
【ターンの間】前哨地(2)を処理する。直前のターンはBのターンだが2つ前のターンはBのターンではないので追加ターンを得るのに成功する。
【Bの追加ターン(前哨地)】クリーンアップでBは前哨地(2)を捨て札にする。
【Cの通常ターン】
例4
【Aの通常ターン】支配(1)と支配(2)を使用する。
【ターンの間】Bは支配(1)の効果で追加ターンを得る。
【Bの追加ターン(Aが支配)】前哨地を使用する。クリーンアップでカードを3枚引く。
【ターンの間】Bは支配(2)による追加ターンと前哨地による追加ターンが予約されている。(Aではなく)Bが好きな順番で処理することができる。
支配(2)を先に処理した場合【ターンの間】支配(2)を処理。追加ターンを得る。 |
前哨地を先に処理した場合【ターンの間】前哨地を処理。直前のターンはBのターンだが2つ前のターンはBのターンではないので追加ターンを得るのに成功する。 |
例5
【Aの通常ターン】支配を使用する。
【ターンの間】Bは支配の効果で追加ターンを得る。
【Bの追加ターン(Aが支配)】使節団を購入する。直前のターンはBのターンではないので追加ターンを得るのに成功する。
【Bの追加ターン(使節団)】
【Bの通常ターン】
例6
【Aの通常ターン】支配を使用する。
【ターンの間】Bは支配の効果で追加ターンを得る。
【Bの追加ターン(Aが支配)】
【Bの通常ターン】使節団を購入する。直前のターンはBのターン(支配による追加ターン)なので追加ターンを得るのに失敗する。
【Cの通常ターン】
- 追加ターンは同点時の順位判定で用いる経過ターン数にはカウントされない。
- 追加ターンの終了時も属州枯れや三山枯れによるゲーム終了判定は行う。そのため追加ターンがそのゲームの最終ターンになることもありうる。
- 間にいくら追加ターンが挟まっていた場合でも、密輸人が参照するのは「右隣のプレイヤー自身の最後のターン」である。
ターン終了時の処理について
厳密には、ターン終了時の処理の流れは以下のようになっている。
- (デッキから5枚引いて次の手札を作り、クリーンアップフェイズを終了する)
- 「ターン終了時(ターンを終了するとき)」の効果の処理(例:保存、浴場)
- 「この(その)ターン」の効果の終了(例:橋のコストダウン効果、支配の相手を支配する効果)
- ターンとターンの間に行う処理
- 三山枯れや属州枯れによるゲーム終了判定
- 「この(その)ターンの後に」発生する効果の処理(例:寄付、峠、追加ターンの開始)
- 浴場があるゲームでBが支配(修正版)の追加ターンを終了した場合、(Bはカードを獲得していないはずなので)Aが浴場から勝利点トークンを獲得できる。
- 寄付の効果によるカード廃棄や峠の効果による入札はB自身が行う。ただしゲーム終了判定をすでに満たしていた場合、これらの効果は発生しない。
関連動画
関連商品
関連項目
外部リンク
- 2
- 0pt