「司令官、アタシ凄かったでしょ、ね?
あ、いや・・・ま、どうでもいいんだけどさ・・・」
敷波とは、ブラウザゲーム「艦隊これくしょん~艦これ~」に登場する、大日本帝国海軍の特II型(綾波型)駆逐艦2番艦「敷波」をモデルにした艦娘である。
担当声優は東山奈央、キャラクターデザインはしばふ。図鑑番号はNo.018→427(改二)。
概要だよ。ちゃーんと見とけよー
綾波型(特Ⅱ型)の次女。綾波型の妹である「朧」「曙」「漣」「潮」と絵師・声優が異なるのは、朧以降の4艦は煙突の高さが若干違うため、特ⅡA型として区別されることもあるかららしい。例によって細かい設定である。
外見的には黒いリボンを結んだ短めのポニーテールが特徴と言えば特徴だが、艦これの中でははっきり言ってかなり地味な部類に入るデザインの上、序盤から手に入りやすいコモン艦、性能的にも特筆すべきものはない普通の駆逐艦であり、史実(後述)においても歴戦の駆逐艦ではあるものの、屈指の武勲艦である姉の綾波と比べてしまうとさほど目立たず・・・と目立てそうな要素が見当たらないため、「ノーマル綾波と同じポーズの子」という程度の認識しかしていない提督もいるかもしれない。ちなみに綾波とのポーズの違いは、左手でピースをしていること。特Ⅱ型の2番艦という彼女なりのアピールだろうか。どこぞの1番艦さんと違って随分と控えめである。
そんなどうにも目立たないポジションにあることはキャラ付けにも反映されているのか、ややツンデレっぽいところがあるが目立つほどではなく、控えめで自己評価が低そうなところもあるが名取や羽黒ほど極端なわけでもなく・・・とたいへん微妙なラインの性格付けが為されている。が、そういった微妙なラインをつく台詞が意外な破壊力を発揮し、実際に使っている提督の間でひそかに「実はすごくかわいい照れ屋さん」として知られている。
たとえば、近代化改修などで強化すると「なんだよー、アタシとかに投資しちゃってさ・・・。い、いいけどね」と照れる。秘書艦にしてつついていると、「用がないならいちいち呼び出さないでよー。・・・別に、い、嫌じゃないけどさ」と照れる。戦闘でMVPを獲ると「司令官、アタシ凄かったでしょ、ね?」と珍しくはしゃいだあと、我に返ったように「あ、いや・・・ま、どうでもいいんだけどさ・・・」と照れる。そう、敷波は全艦娘中でも屈指の照れ隠しキャラなのである。
さらに特筆すべきは、秘書艦時に新造艦を建造したときの台詞であろう。建造完了時の台詞はほぼ全ての艦娘が、事務的な報告か、新しい仲間の歓迎の台詞に留まる中、敷波はなんと「新しい艦ができましたよー。きっと可愛い子でしょうね。ふん!」と提督に対して拗ねる。この拗ね方がとにかくかわいい。是非秘書艦に設定して聞いていただきたいところである。
他にも、戦績表示時の「手紙だよ。ちゃーんと見とけよー」や、出撃時の珍しくテンションの高い「じゃ、いっきまーす!しゅっつげーき!」、小破時の「おわぁ!びっくりしたー」など、普段の何気ない台詞もまたいちいちかわいい。特に戦績表示の「ちゃーんと見とけよー」が可愛すぎて意味もなく戦績確認を繰り返す提督も少なくない。
2014年2月26日のメンテナンスでは、新たに補給、放置ボイスと、ケッコンカッコカリ後専用母港ボイスが追加された(改造後のみ)。特に放置ボイスは敷波好き提督が揃って悶絶し、敷波の魅力を知らぬ提督をもこちら側に引きずり込む絶大なる破壊力であった。
2017年7月には夏期限定の【浴衣mode】が実装された。中破姿でもおしとやかに体の前で手を合わせているが、浴衣がずれて左肩が見えてしまっているのが扇情的である。
そんなわけで、「敷波?ああ、綾波と区別のつかない子・・・」とか思っている提督諸氏には、是非一度敷波を秘書艦として設定し、そのかわいい台詞の数々を堪能していただきたい。
十九駆、撃ち方、始め!(改二)
2019年末発売の『「艦これ」運営鎮守府公式カレンダー2020』表紙に特Ⅱ型駆逐艦艤装が、また、しばふ氏担当月の描き下ろしに綾波&敷波が改二の長袖で登場したことから、2019年秋イベ(とはいえ、実際には12月)に「敷波改二か?」という憶測が流れた。実際、当該イベントでは敷波が活躍したバタビア沖海戦がモチーフとなるステージも登場しており、特効も確認されていたが、当該イベントでの改二実装は間に合わなかった。
2020年最初の改二は先に告知があった夕張改二&夕張改二特&夕張改二丁であったことから一部提督には落胆の声もあったようだが、節分mode終了を控えた時期に運営鎮守府から以下の電文が発せられた。(なぜか、運営鎮守府アカウントではなくC2機関のアカウントからではあったが)
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/C2_STAFF/status/1221991935440642050
「戦いの後半期まで苦しい戦局を支え続けたある【特Ⅱ型駆逐艦】」との文面で、史実1944年まで生き残った綾波型駆逐艦「漣(1月)・天霧(4月)・敷波(9月)・曙(11月)」(( )は戦没した月)のうち、誰に改二が来るか久々に絞り込めないままメンテ入り。
そして、2020年2月7日、節分任務&節分mode終了とバレンタインmode実装と同時に・・・
特型一門としては7人目、綾波型姉妹3人めの改二として実装された彼女を改二に改装するためにはLv80が必要。駆逐艦改二としては(コンバート改装の朝潮改二丁(Lv85)霞改二乙(Lv88)を除いて)海風改二(Lv82+戦闘詳報)に次ぐ高練度が必要だが、特型駆逐艦であることからか、改装設計図や戦闘詳報は不要。ただし、開発素材が20必要。その代わり、白露型以降の改二駆逐艦が持てる特殊装備は一切載らない。
綾波改二同様の衣装・艤装で、綾波改二が12.7cm連装砲B型を両手に構えているのに対し、敷波改二は左手側は肩掛けにし、敷波ピースサインがばっちり決まっている。また、彼女の右側に綾波改二を並べるとちょうど背中合わせの構図になる。
能力的には火力・対空は控えめで魚雷・対潜・運の伸びが大きい。パラメーターに反映される装備ボーナスとして、「12.7cm連装砲B型改二」に+1、「12.7cm連装砲B型改四(戦時改修)+高射装置」に火力+3・雷装+1が適用される。
なお、冒頭に挙げた「1944年に戦没した綾波型」のうち、2021年3月に曙改二、2022年1月に天霧改二・天霧改二丁がそれぞれ実装された。初期艦の一人漣の改二はまだですか…?
うわっ、ビックリしたぁ・・・って主人公!?
2019年末発売の週刊ファミ通2020年新春合同号にて『海色のアルトサックス』が連載開始。柚木ガオ氏執筆。主人公として彼女が抜擢された。気が強いが、不器用で寂しがり屋な彼女の周りに多くの仲間が集うハートフルドラマである。
史実見ゆってか?ふん
1928年7月6日、舞鶴工作部で起工、建造され、1929年12月24日に就役。ちなみに就役は姉の「綾波」よりも4ヶ月ほど早い。呉鎮守府籍に編入され「磯波」「浦波」「綾波」とともに第19駆逐隊(第2艦隊第2水雷戦隊)に編成された。
1935年2月28日、有明湾で妹の「狭霧」と衝突事故を起こし艦首を損傷する[1]。1937年、日中戦争において上海、杭州湾上陸作戦に参加。
1941年に太平洋戦争が開戦すると、第19駆逐隊は「川内」を旗艦とする第3水雷戦隊に編成され、開戦当初はマレー、ビルマなど南方攻略作戦の輸送船団の護衛を担った。1942年3月1日、敷波は「最上」「三隈」の護衛としてバタビア沖海戦に参加。米重巡洋艦「ヒューストン」にとどめの魚雷を放ち撃沈するという戦果を挙げる[2]。これは敷波唯一の大きな戦果であり、殊勲甲として感謝状を授与されている。
6月5日のミッドウェー海戦では「大和」「長門」「陸奥」らの護衛を担った。
その後、ガダルカナル島輸送作戦(鼠輸送)に10回従事。11月14日、第三次ソロモン海戦の第二夜戦で「川内」「綾波」「浦波」とヘンダーソン飛行場へ向かう部隊の掃討隊を担う。ここでの「綾波」無双には敷波も関わっているが、詳しくは綾波の記事を参照。その後は船団護衛を主に務める。
1943年2月28日、「白雪」「浦波」「朝雲」「朝潮」「荒潮」「雪風」「時津風」とともに、給炭艦「野島」ら輸送船8隻を護衛する第八十一号作戦(ラエ輸送作戦)に参加、ラバウルを出港しラエに向かう。この輸送作戦は米軍に制空権を完全に奪われた状況下での無謀な作戦であり、事前に全滅が予測される中で強行されたものであった。
3月3日、ダンピール海峡にて連合軍機の襲撃を受ける。これがビスマルク海海戦、またの名を「ダンピールの悲劇」である。連合軍機の反跳爆撃で次々と輸送船が沈められる中、敷波は航行不能になった旗艦「白雪」から木村昌福司令官と幕僚らを託され艦隊の指揮をとり、生存者の救助にあたったが、第二波の襲撃を受け救助活動を断念し撤退。[3]その後敷波は一度収容した生存者2700名あまりを「浦波」と駆けつけた「初雪」に預け[4]、「雪風」「朝雲」とともに再び救助に戻ったが、ここでの救助は難航し、漂流していた「荒潮」の残存員170名などを救助するに留まった。結局、輸送船8隻全てと「白雪」「朝潮」「荒潮」「時津風」の駆逐艦4隻が失われるという修羅場の中を敷波は生き延び、ラバウルへと帰投する。
なお、この数日後には同じくダンピールを生き延びた「浦波」とともにコロンバンガラ島への輸送作戦に参加、ビラ・スタンモーア夜戦で撃沈された「村雨」「峯雲」の生存者をブインまで輸送。その後も敷波は船団護衛に従事した。
1944年には「大井」「鬼怒」「浦波」「天霧」(1944年3月戦線復帰・19駆編入。翌4月23日戦没)とともに、通商破壊任務にあたっていた「利根」「筑摩」「青葉」の護衛を務めた。
6月8日、渾作戦の第二次輸送作戦で敷波は旗艦を任され、「浦波」「白露」「時雨」「五月雨」「春雨」とともに陸兵を乗せビアク島へ向かう。しかし空襲で「春雨」が沈められ、さらに米海軍の迎撃を受け、ビアク島に辿り着けず撤退。輸送作戦は失敗に終わった(ビアク島沖海戦)。
7月18日、敷波は「大井」とともにシンガポールへ向かってマニラを出港。[5]翌19日、「大井」が米潜水艦「フラッシャー」に攻撃され大破する。敷波は「大井」を曳航しようとしたが、結局「大井」は沈没してしまい、敷波は艦長ほか生存者368名を救助した。[6]
1944年9月12日、シンガポールから門司へ向かうヒ72船団の護衛中、海南島東方で潜水艦の襲撃を受ける。海防艦「平戸」が撃沈され輸送船「南海丸」が炎上する中、午前6時55分、敷波は救助のため「南海丸」に接近したところを、米潜水艦「グロウラー」の雷撃を受け一瞬にして轟沈。高橋達彦艦長以下乗組員200名以上が戦死し、生存者67名が海防艦「御蔵」に救助された。[7]同年10月10日除籍。
呉市の長迫公園にある海軍墓地には、敷波の戦没者の慰霊碑がある。同墓地では隣接するように磯波・浦波の慰霊碑が、彼女らの慰霊碑から若干離れた場所(とはいえ同じ敷地内)に綾波の慰霊碑が祀られている。
なお、開戦前からバタビア沖海戦まで敷波に乗艦していた柴田芳三氏の手記がネット上で無料公開されているので、あわせて一読をお勧めしたい。
戦後、敷波の名前は海上自衛隊の護衛艦「しきなみ」(1958年就役、1987年除籍)に受け継がれた。現在は神戸海上保安部の巡視艇「しきなみ」が活動している。
ちなみに、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』に登場する式波・アスカ・ラングレーの「式波」は敷波が元ネタである。
え?いいのかよ、アタシの関連動画とかさ・・・なんも出ないよ?
なんだよー、アタシとかの関連静画描いちゃってさ・・・。い、いいけどね
関連項目ができましたよ。きっと可愛い子でしょうね。ふん!
綾波型姉妹 / 吹雪型駆逐艦 (特II型:11~20番艦) |
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1.綾波 - 2.敷波 - 3.朝霧 - 4.夕霧 - 5.天霧 - 6.狭霧 - 7.朧 - 8.曙 - 9.漣 - 10.潮 特I型: 吹雪型姉妹 - 特III型:暁型姉妹(第六駆逐隊) |
脚注
- *ちなみに同日、「電」も「旗風」と衝突事故を起こしている。
- *これは海戦中、敷波はなかなか魚雷を発射する機会がなく、あとは「ヒューストン」にとどめを刺すだけというところで「三隈」の崎山釈夫艦長の計らいで与えられた攻撃機会だった。
- *このとき敷波からの撤退の指示を振り切って、「野島」と「荒潮」の救助に向かい撃沈された「朝潮」に座乗していた第八駆逐隊司令・佐藤康夫大佐は、敷波の元艦長でもある。
- *このとき「雪風」に収容された陸軍参謀が敷波に出向いて輸送作戦の続行を求めたが、木村少将ら司令部はこれを拒絶し、第八十一号作戦は打ち切りになった。
- *全くの余談だが、まるゆが「木曾」から「汝潜水可能ナルヤ」と言われたとされる出来事はこの日のマニラでのことであり、記録では「木曾」はこのとき横須賀で修理していたため、実際にまるゆと交信したのは「大井」であった可能性が高い。
- *図鑑で敷波と大井が隣合っているのは、この縁もあるのかもしれない。「大井」沈没時の状況は木俣滋郎『日本軽巡戦史』に詳しく記載されているのでそちらも参照されたい。
- *なお「南海丸」もその後沈没したが、生き残った「南海丸」乗員・池川信次郎氏が敷波の最期の様子を『戦時艦船喪失史』という本の前書きに記しているので、興味のある提督は図書館などで探してみるといいだろう。また敷波の護衛していたヒ72船団のその後は大内建二『悲劇の輸送船』に詳しい。
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