文化大革命(ぶんかだいかくめい)とは、1966年から1977年まで続いた中華人民共和国の改革運動のこと。
正式名称、プロレタリア文化大革命。略称は、文革(ぶんかく)。
概要
名目は、中国で資本主義社会の復活を阻止するために行った社会運動とされる。そして封建主義的文化(文化・思想・社会などの古いもの)を批判し、新しい共産主義国家を建設することを目的とした。
しかし実質的には、毛沢東が権力保持のために起こした大規模な権力闘争である。
中国全土で粛清運動・破壊工作が執り行われた。
経過
文革前
高らかに建国宣言をした毛沢東は、大躍進政策(イギリスを5年で追い越すという経済政策、アメリカを15年で超えると宣言したソビエトに倣い、中国は世界第2位のイギリスを目標とした)を遂行した。しかし余りにも無理のある政策で、成功したとは言えない。それどころか、虚偽報告や餓死者を大量に出す結果に終わった。
指導者である毛沢東にはカリスマ性があり、しかも彼を批判すると反革命分子として迫害・左遷されたりしたため、だれも文句を言えずに被害が拡大した。流石に彼も自己批判を行う。責任を取り、一旦失脚してしまう。
しかし彼は諦めなかった。北京大学の学生に当時の司令部を批判する壁新聞を掲示させ、大規模な革命運動を起こす。無産階級(プロレタリア)を利用し、現政権を批判させる。そうすることで共産党中央部へ復権を図ることを目論んでいた。
文革期
革命運動の主張に感化された、原理主義的な毛沢東思想を信奉する大学生により、紅衛兵が誕生した。紅衛兵とは、毛沢東を守る私兵の存在である。良い出身身分とされる紅五類(革命を行う幹部や貧しい労働者や農民)で結成された。
(詳しくは、ニコニコ大百科・紅衛兵へ)
彼らはマルクス・レーニン主義や毛沢東主義に従い、従来の文化(孔子などの文化的遺産や宗教施設)を壊しまくる。代わりに、「文化大革命を成功させよう」といった紅歌やポスターなどの文化が溢れかえった。ミュージカル「東方紅」などに代表される。
また、革命の邪魔であるとした黒五類(知識人や資産階級〈ブルジョア〉、反革命分子、右翼分子)を迫害。具体的には、「農民に学べ」と田舎に強制移住させたり、自己批判をさせられ、権力者には首に罪名と名前にばってんを書いた看板を吊るし、三角帽子を被せて見世物にした。最悪なパターンではその場での即時処刑(虐殺)も行った。
毛沢東は再度、党中央部上り詰める。中華人民共和国では、毛沢東のお陰で中国が成立しているという認識が常識となった。神無き国で神の存在になった。そして彼は名実ともに、世界史に名を残すこととなる。
しかし中国全土を大混乱に陥れ、経済的停滞及び教育革新の遅延をもたらした。反革命分子として大学教授や学校の教職員を迫害した。そのため当時は学校など無いに等しかった。現代中国でも識字が出来ない高齢者が存在する。
大物も例外ではなく、劉少奇や鄧小平、朱徳、林彪といった共産党幹部も失脚・降格させられた。鄧小平は文革終了後に中央部へ上り詰め、改革開放政策・天安門事件を行うが、劉少奇は迫害を受け病死、林彪は暗殺容疑を掛けられ亡命する最中の航空機が墜落、謎の死を遂げる。
なお、実質的な文化大革命の指導は、四人組という権力集団が中国共産党中央政治局で取り仕切っていた。四人組とは、王洪文・張春橋・江青(毛沢東4人目の夫人)・姚文元による毛沢東の側近たちの総称。
文革終結
1976年毛沢東が死去し、首相が華国鋒に変わる。四人組は文革継続を主張したが、華国鋒により逮捕。これにより文化大革命は終結した。
1980年、中国共産党は「文化大革命は過ち」であったと公式に認めた。しかし毛沢東については「功績7分、過ち3分」という態度をとっている。毛沢東を完全に批判することは、中華人民共和国建国の父を批判することである。すなわち中国共産党を批判することに繋がるためである。天安門事件同様、文化大革命の弊害についても、中国の教科書には記載されていない。
ただし天安門事件とは異なり、明言することが全て禁止されているわけではない。毛沢東を標榜した政策を行った重慶市トップ・薄煕来の失脚時、当時の温家宝首相は「文化大革命という悲劇を二度と繰り返してはいけない」と発言した。
現在
現在は、文化大革命時代の面影を再現した「文革レストラン」なるものが中国各地に建設されている。文化大革命を知らない世代が売れる為のネタとして運営していると思われる。
文化大革命を経験した世代の大多数は毛嫌いすると思いきや、「文化大革命の時代が懐かしい」と評価する人も多数。若者は、「毛主席の功績と文革文化を学ぶ」という学習目的で訪れる場合も多いという。
また鄧小平による開放政策以降の経済格差も背景にあり、「文化大革命時代のほうが良かった」という中国人の不満を代弁している存在かもしれない。
ちなみに日本にも池袋に存在する。店名もそのまんま「東方紅」である。東北三省(いわゆる戦時下の満州国)出身の中国人が経営している。コンセプトは「食文化大革命」で、店内は文革・毛沢東グッズであふれている。紅衛兵に扮した店員が接客を行う。
現在の朝鮮民主主義人民共和国は、この文化大革命のような政治運動を永遠に続けていると見ることもできる。
各種表記
関連動画
関連商品
関連項目
- 中国共産党
- 中華人民共和国
- 紅衛兵
- 毛沢東
- 毛沢東語録
- 東方紅 - 毛沢東を讃える楽曲と演劇。楽曲は文革期に最盛した紅歌である。
- 天安門事件 - 中華人民共和国史上3番目の悲劇
- 紅歌 - 文化大革命期に盛んに歌われた革命歌。
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