新世紀エヴァンゲリオン 2nd Impressionとは、1997年3月7日にセガより発売されたセガサターン用ゲームソフトである。
概要
テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のゲームソフトであり、いわゆる「キャラゲー」。
セガサターンでは前作『新世紀エヴァンゲリオン』(アニメと同タイトル)に続く、2作目のエヴァンゲリオンゲーム。
タイトルの「2nd Impression」は「第一印象」という意味の英語「first impression」をもじったものと思われ、あえて訳するなら「第二印象」だろうか。
1995年から1996年にかけてテレビ放映されたアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は放映後も人気がなかなか衰えていなかった。そんな中で発売された本作もエヴァンゲリオンに熱中するファンの訴求に合致し、1997年中に39万本弱を売り上げるなど好調な売れ行きを記録した。
ストーリー面やデザイン面などでは、アニメ版の脚本家の一人「山口宏」が脚本を担当していたり、テレビアニメ版の第六使徒・第七使徒のデザインを担当した「前田真宏」がゲームオリジナル使徒をデザインしているなどの理由もあって、概ねアニメ本編と近い雰囲気が出ている。
山口宏が脚本を担当していたのはサターン版前作も同様であったが、基本的に明るい雰囲気だった前作とは違い、本作では自分に自信が持てない主人公・心理世界での自問自答・過去のトラウマ・人間関係の忌避などのやや暗い描写も含んでおり、原作アニメのもつ陰のあるテイストも再現している。
ゲームシステムなど
ゲームシステムは大きく分けるとアニメパートと戦闘パートで構成されている。
アニメパートはフルボイスのアニメーション映像で構成され、要所要所で表示される選択肢を選ぶことでアニメーションのストーリーが分岐していくというコマンド選択アドベンチャーゲームのような形式である。複数居るヒロインキャラのうち誰かの好感度を増すような選択肢をとっていけばそのヒロインを中心としたシナリオへと分岐するため、ギャルゲー的とも言えるかも。
分岐したシナリオによって、例えば「第X話 地球防衛バンド、ふたたび(EPISODE:X BEST FRIEND Ⅱ)」といったようにそれぞれのサブタイトルが決定する(テレビアニメ版本編のように、日本語の他に英語サブタイトルも添えられている)。そしてそれぞれのサブタイトルでの予告映像も準備されていたり、入力したプレイヤー名がエンディングで「総監督」として表示されるなどの仕掛けもある。つまり「テレビ版の外伝的な第X話を、プレイヤーが自らの手で総監督として形作っていく」というコンセプトである。
ただし、「既に一定の回数のプレイを終えている」「使徒との戦闘パートで特定の行動をとった」などの条件をそろえなければ登場しない選択肢も混じっているので、最初のうちは狙ったシナリオに進めるとは限らない。
一方戦闘パートでは、ポリゴンで描かれた味方の巨大人型兵器「エヴァンゲリオン」や、敵である謎の巨大怪獣「使徒」の立体モデルが登場する。そして画面に表示されるインジケーターのタイミングに合わせて攻撃・回避などのボタンを押すことで、戦闘を有利に進めていくことができる。
また、攻略の達成度によってミニゲームやイラストライブラリーなどが徐々に利用できるようになるという、おまけ要素も用意されている。
難点
本ゲーム発売当時の1997年にプレイしていたならばかなり問題であっただろうと予想される、重大な難点もある。
シナリオが多数あり、その分岐条件はゲーム中にヒントが無い。よって外部の攻略情報に頼らなければ手探りで探していくしかない。また、プレイ回数が出現条件となっている選択肢もある。ということは必然的に何度も周回プレイをすることを強いられるわけだが、通常の手段では一度見たアニメーションムービーをスキップすることができないので何回も同じムービーを見せられる羽目になる。
前作(セガサターンソフト『新世紀エヴァンゲリオン』)のセーブデータが存在すれば、5回目プレイからはスタートボタンでムービーをスキップできる。またコマンド入力式の裏技を使えば前作セーブデータすらも不要である。しかしゲームを快適にプレイするには必須と言っていいムービースキップをこういった「隠し要素」にしてしまったことで、無駄に苦労をさせられたユーザーは少なくなかったと想像できる。
また、戦闘は基本的に「タイミングに合わせてボタンを押す」だけの単調なもので簡単に慣れることができ、そのうち殆ど失敗しなくなる。そのため、プレイし始めたころ以外は戦闘自体を楽しむのは難しく、ただの作業となりがち。それにも関わらず「戦闘である程度ダメージを負うなど、苦戦する事」が分岐条件になっているシナリオもあり、その分岐条件に気づいてわざと負けなければどうやってもそのシナリオに入ることはできず、延々とプレイし続けることになる。
ただしインターネットの普及がまだまだ途上だった1997年には上記のような難点は凶悪なものだったかもしれないが、現在はムービースキップの裏技コマンドも各シナリオの攻略方法も詳しく掲載しているウェブサイトが複数あり、インターネットの閲覧手段も普及しきっている。そのため、現在ではこれらの難点が与えるストレスもかなり軽減されていると言っていいだろう。
第XX使徒
前作の使徒が「第X使徒」であり、その次に襲来したという意味で「第XX」と冠されている。襲来する使徒が予言されているという「死海文書」に記載されていない「イレギュラー」な存在であるために通常のナンバリングがされていないという設定。この使徒との戦闘自体も単なる演習として秘匿される。
前述のように、デザインはテレビアニメ版で第六使徒・第七使徒を担当した前田真宏が手掛けている。ゲーム中の最初の戦闘で対決する形態は円盤の集合のような姿だが、次に相対する際には繭のような形態を経て、全く様相の異なる成体へと変貌する。
戦いを通して学習し、成体となる際にその内容を利用するという性質を持っており、「最初の戦闘でどのように戦ったか」によって成体の持つ特殊能力が変化する。
山岸マユミ
本ゲームオリジナルのヒロイン。黒髪ロングの眼鏡っ子。声優は氷上恭子。キャラクターデザインは髙木弘樹。養父の仕事の都合でしばらくの期間のみ物語の舞台である第三新東京市に滞在することになり、主人公である碇シンジらが通う第壱中学校2年A組に転入してくる。
両親に関する過去のトラウマ、人間関係に臆病、という諸々の要素に主人公の碇シンジの共通点が多い。それがキャラクターとしてのキーにもなっているようで、劇中でシンジが彼女を評して「あの子、僕に似ているのかも知れない」と言うシーンがある。またマユミが「私たち、似ているのかもしれませんね」とシンジに語るシーンもある。
使徒との最初の戦闘での展開によっては、第XX使徒が彼女の体内に本体を隠すという形態に進化することがある。それを悲観して彼女が自殺を図る展開となることも。
詳細は「山岸マユミ」の記事を参照。
ゲームオリジナル曲
ゲーム内では第壱中学校は文化発表会を控えており、「碇シンジが友人の鈴原トウジや相田ケンスケとともに音楽バンド「地球防衛バンド」を結成し、発表に向けて練習する」という展開となることがある。
その際、選択肢次第で色々な女性にボーカルを頼むことができるが、引き受けてくれる可能性があるのはテレビアニメ版のヒロインの一人「惣流・アスカ・ラングレー」と、ゲームオリジナルヒロイン「山岸マユミ」の二名のみ。
この2人がバンドで歌う以下のそれぞれの曲はゲームオリジナル楽曲であり、ヒロインらを担当する声優が歌っている。
ゲームパッケージ内には、8cmCDとしてこれらの楽曲の音楽CDも収録されていた。
また、2005年に発売された「セガサターンヒストリーVOCALコレクション~セガサターン発売10周年記念盤~」というセガサターンのゲームに使用されたボーカル楽曲を集めたオムニバスCDにも、これら2曲が収録されている。
青葉シゲル
文化発表会に向けて練習している「地球防衛バンド」の面々の元に、アニメ本編でも登場していたキャラクター「青葉シゲル」が訪れ、主人公の碇シンジによって「青葉さん!」と呼ばれるシーンがある。
そしてギターを教えてくれることを告げ、シンジらに感謝されつつ「俺の特訓は厳しいぜ!」と楽しそうに語ったのである。
……「それがどうしたの?」と思うかもしれない。
だがこの青葉シゲルは、テレビアニメのオープニングにも最終話の最終シーンにも登場するというレギュラー級のキャラでありながら、本編中では一度も誰からも名前が呼ばれなかった上に見せ場もほぼなかったというキャラクターであった。
その彼が、やっと主人公にボイス付きで名前を呼ばれ、しかもなんだかカッコよくギターテクを教える役柄をやっていたのだ。これには当時の青葉シゲルファンも胸を熱くせざるをえなかったという。
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