新見薫とは、宇宙戦艦ヤマト2199において新規デザインされた、女性キャラクターの一人である。
京都府出身の27歳、眼鏡の似合う知的な容貌とけしからんボディライン、茶目っ気のある言動が特徴。真田さんと同じく技術科の士官で、情報長として各種データの解析に当たる。階級は1尉。担当声優は久川綾。
概要
端的に言えば真田さんの後輩にして頼れる右腕、技術面に長けた才媛である。カウンセラーの資格も有している。
第一章では島兄弟のやり取りを優しく眺めるだけで台詞はなく、第二章からクローズアップされ始める。最初の台詞は次元波動爆縮放射器、つまり波動砲の構造説明であった。
「簡単にいえば」と図解を交えて説明を行なっているが、かなり複雑な内容である。
なお、担当声優の久川綾女史も「何を言っているか全然わかりませんでした」とのこと。
それ以降も反射衛星砲のシステム解析、航海状況の検証など、技術面でヤマトを大きく助けている。
但し上官の真田さんと同様、その才能は技術面に集中しており、同時にかなりの自信家であることが、UX-01を相手とした対潜戦闘で裏目に出てしまってもいる。亜空間ソナーの着眼点は妥当だったが、運用を誤ってしまった。
なお9話でアナライザーが、ガミロイドオルタから「この艦の女神に出会った」と言われた際、雪とともに連想。
しかし「森船務長…?(一拍躊躇) ソレトモ新見女史、マサカ(即断)」と、割と酷い言われようである。アナライザーの主な話し相手が真田さんであり、新見さんと余り会話しないことが彼を初期化から遠ざけたのかもしれない。
因みに当初、デザイナーの結城信輝氏は「ハイジのロッテンマイヤーさんをイメージした40代」としてデザイン。
そのことに出渕裕監督が「流石に女性陣メインに40代は…」と難色を示し、現在の年齢と容貌に落ち着いた模様。40代となると真田さんよりも一回りも年長になり、補佐役としてはややアンバランスだったかもしれない。
イズモ計画の申し子
以上のように頼れる茶目っ気のあるお姉さんキャラであるが、意外な一面も有している。
第7話、第8話で明らかになったように、元はイズモ計画スタッフで(マグカップも同計画関係者用)、現在でも人類脱出計画のイズモ計画に、どこか拘泥してしまっており、ヤマト計画に確証を持てないでいる。
更に言えばイズモ計画をやはり推進している芹沢軍務局長からも、何らかの密命を受けている模様。
第8話ではグリーゼ581近隣の人類居住可能惑星探査を、沖田艦長に直談判してもいる。すでに破棄された計画に拘泥するあたりに、彼女の同計画への思い入れの強さが伺える。
理論的には彼女の「人類生存のためには手段は多いほどよい」という意見は、けして間違ってはいない。
しかし人類滅亡までの猶予が一年と見積もられ、地球に残る人類を脱出させるだけの宇宙船もない。そういった現状を考えてしまえば現実味に乏しく、様々な側面から懊悩している部分も持ち合わせている。
そしてその懊悩は、やはり芹沢軍務局長の息のかかった伊東保安部長に利用されることになる。
第7話の太陽系赤道祭の段階からして、新見さん当人はクルーの疲労軽減も兼ねてと考えていたが、保安部長はさらに狡猾なことに、ここで自らの手を汚さずに、里心の着いた反乱分子予備軍情勢を意図。
更には第16話で「副長には相談しない方がいいでしょう」と、あえて煽るような発言に乗せられてしまう。
結果としてビーメラ4の自然環境に魅入られた迂闊な発言も相まって、真田さんへ直談判することになり、それにより彼を伊東の手により拘束される事態を呼び込み、最終的に犠牲者発生寸前まで事態を悪化させてしまった。
クーデター鎮圧後は、その際に痛めた肩の治療を受けた上で、軍規違反者拘禁区画に拘束されている。
ここで時間をかけて頭を冷やしたことが、後々の劇場先行放映第六章相当での任務復帰、本来の職責における活躍へとつながることにもなっている。2199でドリルミサイルを解除したのは新見さんだったりする。
若かりし頃は
現在でも27歳なので若干語弊があるが、宇宙防衛大学校の学生時代は、現在とはかなり容貌が異なっている。
垢抜けない、若干幼く天然な部分の強い、勉強一筋な様子であり、また、当時から真田さんを「先生」と慕っていた。このギャップにハマってしまった紳士も相当数に昇る模様である。
また、古代守と恋仲であったことが17話で描かれている。彼女から見た守は「遠慮の無い人」とのこと。
但しこの関係はメ号作戦直前、恐らくは自らの生還が難しいと薄々悟った守の側から、別れ話となっている。立場上、彼女も作戦が陽動で、第一艦隊が囮であることを知っており、「ユキカゼ」を見送る顔は、どこか悲しげであった。
アプローチ方法が異なるとはいえ、女タラシであることは古代兄弟の共通事項のようである。
深い縁のあるキャスティング
久川綾女史といえば、中堅からベテランとして高い演技力で定評があるのは、周知の事実である。
加えて「さらば宇宙戦艦ヤマト」を見て、声優になったことでも有名である。
学生時代の美術の時間は夕日に眠るヤマトを描くなど、古参のヤマトファンであり、「この作品がなければ、声優にならなかった」と断言。鈴村健一氏曰く、アフレコ現場では「そんなに知らないと言ってるけど物凄く詳しい」とのこと。
2199の予定はかなり前から入っていたが、まさか宇宙戦艦の方のヤマトとは全く予想外だったと驚愕した模様。
劇場先行放映のパンフレットでは、「23年間の夢がかなった」「現場入りより2時間早く入り、練習している」など、喜びと熱意をあらわにしている。BD/DVD第5章のコメンタリーでは、監督顔負けの知識も披露していたりする。
演技力、作品への理解、愛情と3種類揃った上で、新見さんは命を吹き込まれているのである。
劇場先行放映、地上波放送全てが終了したため追記すると、沖田艦長の最期の場面の直後、新見さんの出番があるにもかかわらず、久川さんが出てこなかったので周りが様子をうかがうと、半泣きで立ち尽くしていたとか。小野大輔氏いわく「絶対にああいうことをしない人なのに、ヤマトで初めて見た」と(第7章26話オーディオコメンタリーより)。
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