概要
- 針が常に北を指し示す構造になっている。ただし偏角(後述)の誤差はある。
- 天秤のようにバランスを取るため、針が南北に伸びている場合がほとんど。
- 方位の数値や干支が刻まれている場合も多い。
- アウトドア・サバイバル・測量・航行まで用途は幅広い。
- 磁気を乱すものが近隣にあると指し示す方向が狂う。
- 数値で表示したり、数値化することもできる。(後述)
羅針盤という場合は、船に設置されているものを指すことが多い。
人生や進むべき進路の比喩としても用いられる。
英語ではコンパス(Compass)だが、円を描く道具も含めるため少し広義。
その他、羅針儀、羅経盤、磁石盤といった様々な類語がある。
惑星は巨大な磁石であり、現代の地球ではS極が北極付近にある。
これを利用し、水平方向に回転できるようにした磁石のN極が指す方向を北とするものが基本的である。
数値化もできる
厳密には北は0、東は90、南は180、西は270といった方位を数値化することもできる。
(右回りに数字が増えていく) その辺りは 方位 の項目を参照して頂きたい。
必要性
道路や市街地・住宅街など、目印になるようなものがある場合は地図だけで進むことができるし、太陽の位置から大まかに東西南北を予測することもできる。広い室内面積を持つ施設や地下街は迷いやすいが案内板などの現在地表示も多く設置されており、人も多く致命的な迷子になることは少ない。
ただし、茂みや背丈以上の樹木など、周囲や遠くの目標物が見えない山中・ジャングル・草原といった大自然、視界不良や悪天候下(暗闇・霧中・雲中・吹雪)といった状況下で行動・航行する際には必須の道具。道なき道を行くサバイバルの必需品。
航空機・船舶などにも搭載されており、必要に応じて進路[1]を変更したり現在地・目的地を計算し最短距離を探す…といった際にも用いられる。
ただし、後述の偏角の問題や、磁気を帯びた鉱石があるような場所では針が狂ってしまうため、方位磁針の特性をよく理解した上で利用するようにしたい。
構造
小学校の理科で使うようなものは、針の上にステンレスでできた磁石を置いているだけのものがほとんどだが、高価なものでは、中を油で満たし、針のブレを押さえるようにするのが一般的である。
登山やオリエンテーリングで用いられるものは、ルーペつきの透明な板が下に貼り付いているものが用いられる。マッピングコンパス - Google 検索
これは、下記にあるような偏角の修正に使うためである。
- スマートフォンには、地磁気センサーを利用した電子コンパスが使われる。
- カーナビ・GPSなど、地図・コンパスを見なくともそれらを同時に現在地を知る便利な手段もある。
- 軍用コンパスなど、銃の照準のように向けた先の方角がピンポイントで見やすくなるものも。
- むしろ現在位置の把握や砲兵用に目盛りが6400等分されているなど、割と細かい。
- レンザティックコンパス - Google 検索
- 針と盤面に夜光塗料が付与され、夜間・暗闇においても使用できる。
- 腕時計なの機能のひとつとして用いられることもある。
- アウトドア用品に小型の方位磁針が付与された製品もある。
- コンパスを内蔵した双眼鏡など、覗くと同時に方位数値が見えるようになっているものもある。
- 民間・軍用の航空機など、透明な板(HUD)やバイザー(HMD)に方位ほか各種情報を映し出せるものもある。
- 視界が狭く独立して回転する戦車の砲塔など、方角が分かるよう内部に付属している場合もある。
- 100円ショップなどで買える安価・小型なものもある。
- 方向音痴な人などは持っておいても良いかもしれない。
以上の説明は磁気コンパスのものだが、ジャイロモーメントを利用したジャイロコンパスや、GPSと連動したコンパスなども存在する(これらはもはや方位「磁」針ではない)。
偏角
方位磁針は、実は真の北を指すものではない。
これは、真北(しんぽく)の定義と、方位磁石のN極が指す方向である磁北(じほく)の定義が異なるためであるため。もちろん不良品という意味ではない。
磁北と真北の差を偏角(磁気偏角)という。
現在、北磁極はカナダの北の方にある。
偏角は、当然地球上の位置によって異なる。
また、地球の磁場は少しずつ動いているため、偏角もそれに伴って変化する。
東京の場合は西に約7度ずれている。
したがって、方位磁針を見る際は、東に7度ずらして修正する必要がある。
誤差をそのままにすると…
たった7度、と思うかも知れないが、山道などを歩く場合はこの差が致命的になる。
例えば、磁北の方向にまっすぐ10km歩いたとすると、真の北に10km歩いた場合とで1220mもずれが出てしまう。[2]山歩きの際は、地形図の上に東に7度傾いた平行線を数本引いておくとよい。その方向に磁石の北を合わせれば、地図の上方向が真北になる。
実は、地球において真北と磁北が近い位置にあるのは、偶然に過ぎない。
- 例えば天王星では、地軸と磁場の極に60度のずれがある。
- 地球においても、磁極は常に移動しており、地質学的時間の中では何度も逆転を起こしている。
- 前述の「西に7度ずれている」という点も遥か遠い未来ではさらにズレたり、ピッタリだったり、逆になる可能性もある。もちろん今日明日明後日来年で突然変わるものではない
伏角
方位磁針は、地球という磁石の磁力線の方向を向くため、上下方向にも傾く。これを伏角(ふくかく)という。
東京の場合、N極が約49度下を向く。
針が傾いてしまうため、市販の方位磁針では(北半球の場合)S極側を重くすることでバランスを取っている。そのため、外国で使う場合は現地で方位磁針を買い求めた方がよい。
関連動画
関連商品
関連項目
脚注
- 2
- 0pt