日本の苗字分布(4)とは、関西(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)の苗字分布について解説した記事である。
関西
概況
山本、松本、中村、田中、吉田が多く分布し、古くから栄えていた関西地方は西日本の縮図のような印象を受ける。北部では西村、南部では岡本、全体では上田が多め。
東日本に比べると、苗字に使われる漢字の画数が少ないことに気付く。
滋賀県
一番多い苗字は田中。続いて山本、中村と近畿的。西村、北川、辻が多く見られる。北陸の影響を受け中川。東海の影響を受け奥村、大橋も多い。
藤居、中居、平居、松居など結び字に「居」を用いた苗字をよく見かける。
土着の苗字
- 押谷 (おしたに)
- 黄瀬 (きせ)
- 桐畑 (きりはた)
- 小梶 (こかじ)
- 国領 (こくりょう)
- 七里 (しちり)
- 田井中 (たいなか)
- 富江 (とみえ)
- 苗村 (なえむら)
- 夏原 (なつはら)
- 成宮 (なるみや)
- 平居 (ひらい)
- 藤居 (ふじい)
- 目片 (めかた)
- 万木 (ゆるぎ)
など
京都府
各地方で多数性がはっきりしており、亀岡市では八木姓を多く見かける。与謝郡与謝野町では糸井姓が非常に多い。大槻姓は綾部市、福知山市に多い。さらに綾部市では四方姓も多く、四方姓は市内で一番多い苗字となっている。旧天田郡夜久野町(現福知山市)で夜久姓が多かったのも印象に残る。福知山市は兵庫県側と分布が似ており、細見、芦田両姓が多く見られる。
土着の苗字
- 井尻 (いじり)
- 上羽 (うえば)
- 梅垣 (うめがき)
- 大八木 (おおやぎ)
- 川勝 (かわかつ)
- 河原林 (かわらばやし)
- 衣川 (きぬがわ)
- 桐村 (きりむら)
- 嵯峨根 (さがね)
- 塩貝 (しおがい)
- 塩見 (しおみ)
- 四方 (しかた)
- 白数 (しらす)
- 白波瀬 (しらはせ)
- 中大路 (なかおおじ)
- 中坊 (なかぼう)
- 鍋師 (なべし)
- 浪江 (なみえ)
- 並河 (なみかわ)
- 西小路 (にしこうじ)
- 野々口 (ののぐち)
- 俣野 (またの)
- 森津 (もりつ)
など
大阪府
関西地方の拠点のため人口の流入が激しく、特にこれといった特徴は見られない。ただ、土着の苗字の占有率が高い。
府名同様坂を阪とした苗字が多くみられる。辻、奥を用いた苗字も多数。
河内地方には野の代わりに古字の埜を用いる苗字が多い。泉南部では市場谷、日根野谷など○○谷という三、四文字の苗字が多く見られる。これらは、屋号を由来とする屋号姓と見られる。
土着の苗字
- 赤阪 (あかさか)
- 麻野 (あさの)
- 飯阪 (いいさか)
- 池側 (いけがわ)
- 井阪 (いさか)
- 泉本 (いずもと)
- 岩 (いわ)
- 艮 (うしとら)
- 内本 (うちもと)
- 馬野 (うまの)
- 大植 (おおうえ)
- 大仲 (おおなか)
- 岡市 (おかいち)
- 岡持 (おかじ・おかもち)
- 置田 (おきた)
- 奥尾 (おくお)
- 奥中 (おくなか)
- 柿花 (かきはな)
- 門林 (かどばやし)
- 烏野 (からすの)
- 木岡 (きおか)
- 北口 (きたぐち)
- 北辻 (きたつじ)
- 黒岡 (くろおか)
- 小北 (こきた)
- 金銅 (こんどう)
- 阪井 (さかい)
- 阪上 (さかがみ)
- 阪口 (さかぐち)
- 阪下 (さかした)
- 信貴 (しぎ)
- 七野 (しちの)
- 芝野 (しばの)
- 芝本 (しばもと)
- 下中 (しもなか)
- 田伏 (たぶし)
- 樽谷 (たるたに)
- 辻尾 (つじお)
- 辻中 (つじなか)
- 辻野 (つじの)
- 辻林 (つじばやし)
- 中辻 (なかつじ)
- 西辻 (にしつじ)
- 根来 (ねごろ)
- 東尾 (ひがしお)
- 東口 (ひがしぐち)
- 東野 (ひがしの)
- 日根野谷 (ひねのや)
- 樋上 (ひのうえ・ひがみ)
- 桝谷 (ますたに)
- 松阪 (まつざか)
- 松浪 (まつなみ)
- 溝端 (みぞはた)
- 南口 (みなみぐち)
- 南野 (みなみの)
- 矢倉 (やぐら)
- 薮野 (やぶの)
- 雪本 (ゆきもと)
- 若野 (わかの)
など
兵庫県
阪神間は田中、山本が多く大阪に、播州西部は藤井、藤原が多く山陽に苗字分布が近い。また、藤本が目立つ。
朝来市周辺では足立姓が多く見られ、市内で一番多い苗字となっている。加古川市を中心に本岡姓が多く見られる。明石市では西海姓をよく見る。西脇市で特徴的なのは笹倉姓か。姫路市を中心に丸尾姓をよく見かけるのも特徴。宍粟市では春名姓が多い。河西市付近に多く分布する高見姓も独特。
平位、市位、吉位、竹位、森位のように、「位」を結び字とする苗字を良く見かける。「垣」を結び字にする苗字も多い。
土着の苗字
- 阿江 (あえ)
- 安積 (あづみ)
- 五百蔵 (いおろい)
- 井垣 (いがき)
- 稲岡 (いなおか)
- 稲継 (いなつぐ)
- 今北 (いまきた)
- 上垣 (うえがき)
- 内橋 (うちはし)
- 戎 (えびす)
- 大路 (おおじ)
- 太田垣 (おおたがき)
- 納 (おさめ)
- 押部 (おしべ)
- 小田垣 (おだがき)
- 篭谷 (かごたに)
- 鎌谷 (かまたに)
- 神吉 (かんき)
- 河南 (かんなん)
- 来田 (きた)
- 北垣 (きたがき)
- 衣笠 (きぬがさ)
- 清瀬 (きよせ)
- 栗岡 (くりおか)
- 上月 (こうづき)
- 肥塚 (こえづか)
- 小東 (こひがし)
- 小紫 (こむらさき)
- 嵯峨山 (さがやま)
- 笹倉 (ささくら)
- 志方 (しかた)
- 谷垣 (たにがき)
- 常深 (つねみ)
- 椿野 (つばきの)
- 田路 (とうじ)
- 都倉・十倉 (とくら)
- 栃尾 (とちお)
- 中安 (なかやす)
- 名田 (なだ)
- 名村 (なむら)
- 西海 (にしうみ)
- 花畑 (はなばた)
- 春名 (はるな)
- 東根 (ひがしね)
- 藤尾 (ふじお)
- 船曳・船引 (ふなびき)
- 蓬莱 (ほうらい)
- 細見 (ほそみ)
- 前中 (まえなか)
- 正井 (まさい)
- 真殿 (まどの)
- 円尾 (まるお)
- 宮垣 (みやがき)
- 森垣 (もりがき)
- 守本 (もりもと)
- 安福 (やすふく)
- 余田 (よでん)
- 依藤 (よりふじ)
など
奈良県
人口流出激しく、土着の苗字が少ない。吉村、奥田、辻本、中谷、植田が多いことと、辰己、喜多、乾などの方位姓が特徴。土着の苗字は、県北部に多い矢追などが目立つか。
米田も多い。米田は県中南部では多く「こめだ」と読む。その他は「よねだ」が主流。
土着の苗字
- 芦高 (あしたか)
- 新子 (あたらし)
- 戌亥 (いぬい)
- 岡橋 (おかはし)
- 貝本 (かいもと)
- 加護 (かご)
- 胡内 (こうち)
- 小走 (こばしり)
- 佐々岡 (ささおか)
- 田合 (たごう)
- 辰己 (たつみ)
- 熨斗 (のし)
- 丸瀬 (まるせ)
- 南浦 (みなみうら)
- 矢追 (やおい)
など
和歌山県
鈴木の発祥地であるためか、関西にしては鈴木が多く見られる。玉置が非常に多いのが特徴。榎本も多い。
「さこ」は硲、廻を用いることが多い。和歌山市周辺には岩橋姓が多く見られる。有田市は上野山、江川両姓が多く、苗字の分布が独特である。太地町も独特で、漁野(りょうの)、背古(せこ)などの珍しい苗字が目立つ。同町での最多姓は漁野姓である。
土着の苗字
- 朝本 (あさもと)
- 上野山 (うえのやま)
- 宇治田 (うじた)
- 貴志 (きし)
- 楠山 (くすやま)
- 山東 (さんとう)
- 塩路 (しおじ)
- 硯 (すずり)
- 曽和 (そわ)
- 田ノ岡 (たのおか)
- 得津 (とくつ)
- 中芝 (なかしば)
- 硲 (はざま)
- 筈谷 (はずたに)
- 畑下 (はたした)
- 古久保 (ふるくぼ)
- 前地 (まえじ)
- 三栖 (みす)
- 南方 (みなかた)
- 龍神 (りゅうじん)
など
関連項目
1 | 北海道・東北(青森県・岩手県・宮城県・福島県・秋田県・山形県)・新潟県 |
2 | 関東(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県) |
3 | 甲信(山梨県・長野県)・北陸(富山県・石川県・福井県)・東海(静岡県・愛知県・岐阜県・三重県) |
4 | 関西(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県) |
5 | 中国(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県) |
6 | 四国(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)・九州北部(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県) |
7 | 九州南部(宮崎県・鹿児島県・奄美群島)・沖縄県 |
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