日本女子サッカーリーグとは、日本の女子サッカーの全国リーグ(プロ・アマチュア混合リーグ)である。1部・2部のディビジョン制となっている。(後述)
リーグの冠スポンサーは、「ほっともっと」や「やよい軒」でおなじみの株式会社プレナスである。
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概要
リーグ設立~全盛期その1
1989年により開始。平成時代に入って初めて出来た全国リーグでもある。
開始当時、男子の日本サッカーリーグ(JSL)を模して「JLSL」というリーグ呼称がつけられた(「JLSL」の2番目の「L」はLady'sを意味していると思われる)。
男子と違って、女子にはそれまで全国リーグが存在しなかったものの、第11回アジア競技大会にて女子サッカーが正式種目として決まった事で、女子リーグ設立の機運が高まっていたのが誕生の起因である。ちなみに、日本代表や男子の天皇杯に値するオープントーナメントは、このリーグよりも早くから誕生している。
なお、2年後には下位カテゴリとして「JLSLチャレンジリーグ」を開始し、また、1993年には事実上のオールスター戦である「JLSL東西対抗戦」を開始した。
1994年、男子のJリーグを模して、呼称を「L・リーグ」に変更する。
この頃にはクラブ体制から実業団体制に衣替えしたチームが既に多くなっており、ほとんどのチームが専用のクラブハウスやグラウンドを所有していた。それと同時にプロ契約選手も増えていき、さらには世界中から有力選手が集まっていたことから、代表の成績とは反比例するものの、「世界最高の女子リーグ」と言われた。
暗黒時代
しかし、そんな時代もつかの間、日本代表がアトランタ・オリンピックでグループリーグ3戦全敗し、さらには第3回の世界選手権(後のワールドカップ(W杯))でのグループリーグ敗退によりシドニー・オリンピック出場を逃したことで観客が激減する。
アジア通貨危機による更なる不景気により、解散するチームも出た(フジタSCマーキュリー、日興証券ドリームレディースがコレにあたる)。
逆に、解散せず、元々のクラブ体制に戻ったチームもある(松下電器パナソニックバンビーナ⇒スペランツァF.C.高槻、プリマハムFCくノ一⇒伊賀FCくノ一、旭国際バニーズ⇒宝塚バニーズ(現:バニーズ京都SC)がコレにあたる)。
ただ、その他の理由によって解散したチームも相次いだことにより、チーム数は激減。1996年を以ってJLSL東西対抗戦が終了した他(入れ替わる形でリーグカップ戦である「L・リーグカップ」が開催されたが、1999年を以って終了している)、もはや下位カテゴリとして機能していなかったJLSLチャレンジリーグを廃止したり(1996年から即に、L・リーグ最下位チームとL・リーグ参入希望チームの入替戦を行う大会となっており、「JLSLチャレンジマッチ」と名称を変更していた)、新たに試験的な試みではあるが大学チーム(日本体育大学女子サッカー部)を参加させるなどして、チーム数を一定数に揃えた。
とはいえ、支えた多くの企業の撤退は相当響いており、リーグのレベルの低下だけは免れなかった。ちなみに初めて大学チームとして参戦した日本体育大学女子サッカー部は、「レベルが違いすぎる」という理由で、わずか1シーズンでリーグを脱退した(後にこのチームは、2010年度よりチャレンジリーグEASTに参戦する形で、リーグに再所属している)。
2000年代に入ると、L・リーグはリーグを東西に分ける。東西に分かれて出た成績によってさらに上位リーグと下位リーグに分けて、最終成績を決めることにした(詳細:PDFファイル)。その上で、経費削減として、入場料を無料としたが、その影響で、リーグ戦の使用スタジアムにはスタンドや得点表示の無い所での試合も見られた。
リーグ復興への道
2003年、W杯(W杯はこの年からオリンピック予選を兼ねなくなった)での注目やJリーグの試合の前座としてL・リーグの試合が行われるなど、リーグ復興への模索が本格的に図られることになる。
2004年、L・リーグはディビジョン制を施行し(L1とL2)、JLSLチャレンジリーグ以来のトップカテゴリ直属の下位カテゴリを設けることとなる。ただJリーグとは異なり、L・リーグ自体を上下に分割することでディビジョン制を開始した。また、当時の上田栄治監督率いる日本代表がアテネ・オリンピックにてベスト8の成績を残したこともあって、女子サッカーへの注目度も上がる。これを機に日本代表に「なでしこジャパン」の愛称が付けられるようになり、その影響で呼称も「L・リーグ」から「なでしこリーグ」に変更していった。
2005年に入ると、なでしこリーグ1部覇者と全日本選手権大会覇者がリーグ開幕前に対戦する「なでしこスーパーカップ」が開始される。もちろん元ネタは男子サッカーで行われているスーパーカップであるが、2007年度大会を最後に終了してしまった。2007年にはL・リーグカップ以来のリーグカップ戦である「なでしこリーグカップ」が開始される。こちらの大会は2008年度大会と2009年度大会は中止されていたが、2010年度から復活した。この二大会と共に、2006年からはリーグ初の冠スポンサーとしてイベント会社のモックと3年契約を交わしたが、後にモック自体の破産が影響し、契約は途中打ち切りとなっている。スーパーカップの終了も、リーグカップの二大会連続中止も、この契約打ち切りが原因である。
その後、2008年からは現在の冠スポンサーであるプレナスと契約する。この頃から「なでしこリーグオールスター」が開始される。だが、この年を持って、長年リーグを支えてきた名門・TASAKIペルーレFCが親会社の経営危機により解散を発表する。TASAKIは同じく神戸をホームとするヴィッセル神戸と移管交渉を行っていたが、折り合いが付かずに解散へと至った。
2009年には、浦和レッズレディースがさいたまレイナスFC時代以来2回目の優勝を成し遂げた。
日本代表のW杯優勝による女子サッカーブーム~全盛期その2
2010年には、1部10チーム、2部12チームのリーグ体制となる。それに伴ってJリーグに倣って「なでしこリーグ準加盟制度」を開始し、1部リーグのなでしこリーグへの昇格には、準加盟した2部リーグのチャレンジリーグ所属チームだけ可能となった。また、お隣韓国で女子リーグが開催されたことを受け、「日韓女子リーグチャンピオンシップ」も開始される。今のところ法則発動は無い。
そして2011年、ついに日本代表はW杯優勝を成し遂げた。マスコミにも大きく取り上げられたこともあって、なでしこリーグの観客動員にも大きく影響し、空前の女子サッカーブームを築くこととなる。
一度は挫折と苦しみを味わいながらも見事に復興した日本女子サッカーリーグだが、2011年現在のブームを「女子サッカーの国民的定着」へとどう変わらせていくか、また、東日本大震災の影響などで休部(のち廃部)した東京電力TEPCOマリーゼがベガルタ仙台レディースとしてクラブチーム化したことで、ついに2012年度では実業団チームが1チームも所属しなくなる状況がどう影響するのか、今後に注目である。
リーグ再編
2014年になでしこリーグカップが廃止、代わりにレギュラーシーズン上位6チームと下位4チームに分かれて順位決定リーグであるエキサイティングシリーズを開催するようになった。
2015年に2部のチーム数を10に減らし、新たに12チームからなる3部を新設した。チャレンジリーグという名称は新設された3部のことを指すようになった。3部は東西制となる。また、1部リーグにはJリーグを参考にして「サッカーに専念できる選手を3人以上」「U-15チームの保有」という条件が義務付けられた。また、2部も1部を目指すチームでのみ構成されるようになった。準加盟していないチームは2部には参加できず、3部相当の新チャレンジリーグが上限となる。
2021年にプロリーグである「日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)」が発足することが決定。これに伴い、なでしこリーグ1部となでしこリーグ2部の2部制に再編された。
リーグについて
日本の女子サッカーのリーグピラミッド | |||
1部 | 日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ) | ||
---|---|---|---|
2部 | 日本女子サッカーリーグ1部(なでしこリーグ1部) | ←イマココ | |
3部 | 日本女子サッカーリーグ2部(なでしこリーグ2部) |
←イマココ | |
ここから上が全国リーグ/ここから下が各地のリーグ | |||
4部 (4/5部 又は 4/5/6部) |
地域リーグ |
||
5部以下 (6部以下 又は 7部以下) |
都道府県リーグ (都府県リーグ/北海道地区リーグ) |
||
最下部 | 市区町村リーグ (都道府県によっては「地区リーグ」や「支部リーグ」になっている) |
1部リーグと2部リーグに分かれている。
2010年・2011年の2部、2015年~2020年の3部は東西に分かれて実施されていた。
日本のサッカーチームの登録制度においては、女子は男子とは異なり登録区分(年齢による区分)が決まっていないが、本リーグは小学生以下の参加は認められない。
1部リーグ(プレナスなでしこリーグ1部)
1部⇔2部 での入替制度
まず、なでしこリーグ1部への参入を希望するチームは、リーグが定めた加盟条件を満たす必要がある。
そのうえで、レギュレーション上は以下のように定められている。
- 1部の12位が自動降格、2部の1位が自動昇格する。1部の11位と2部の2位とで入れ替え戦を行う。
- 2部の1位が1部の加盟基準を満たさない場合、1部の12位と2部の2位とで入れ替え戦を行う。
- 2部の2位が1部の加盟条件を満たさない場合、入れ替え戦を行わない。
2部リーグ(プレナスなでしこリーグ2部)
2021年は、8チームによる2回戦総当り(各チーム14試合)で実施される。
規約上は12チームと定められている1部と異なり、1部以外のチームとされているため、今後拡張されることを考慮されており、実際2021年の入れ替えでは2チーム拡張される要項となっている。
2部⇔リーグ外 での入替制度
2021年は2部の8位となでしこリーグ2部入れ替え戦予選大会上位3チームの計4チームで1回戦総当たりの入れ替え戦を行い、上位3チームが2部に残留または参入する。予選大会に参加するチームは2部の加盟条件を満たす必要がある。
リーグピラミッド上、チャレンジリーグの直下のカテゴリは地域リーグになるものの、そんなことは関係無しにどのカテゴリに所属しているクラブでもリーグからの審査を受けられる。高校チームの常盤木学園高校サッカー部や大学チームの日本体育大学女子サッカー部、加盟するまで東京都リーグ1部に所属していたスフィーダ世田谷FCが、その主な例である。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
リーグ公式サイト
関連サイト
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