日本百名山とは、深田久弥の随筆である。また、氏が選定した百ヶ所の名山のリストについても指す。
概要
1964年刊行。氏が登った日本列島の山から百座選び、それぞれの山を主題として百の随筆を記したものである。要するに、著者が自身の主観で選んだ「ぼくのかんがえた最強のやま100」である。無論、主観的であることは深田自身も承知していたようで「私の眼は神の如く公平ではない」としながらも、選定基準として次のものを挙げている。
百名山の選定基準
①山の品格:誰が見ても立派な山だと感嘆し、厳しさ、強さ、美しさなど人の心を打つもの
②山の歴史:昔から人間と深い関わりを持ち、人々が朝夕仰いで敬い、その頂に祠を祀るような山
③個性のある山:芸術作品のように、その山だけがそなえている独自の個性を持つもの
これらの条件に加えて、標高およそ1,500m以上という線引を行った。新潟県の弥彦山、京都の比叡山、福岡の英彦山などは古くから歴史のある名山であるが、標高が低いためにリストから除外されている。ただし例外もあり、筑波山、開聞岳のように標高1,500m未満であるがリスト入りしている山もある。
また、百名山候補に入っていたものの、執筆当時において深田自身が未登頂のために削られた山も多く、氏は「それらの山に対して甚だ申し訳ない」と語り、また機会があれば若干の差し替えをするつもりであることも述べている。
その他、個々の山については、ニコニコ動画に記事のある山を中心に日本国:山一覧にまとめられているのでそちらを参照してほしい。
「日本百名山」の功罪
深田は執筆当時までの50余年の間に、とにかく多くの山に足を運び、その経験からくる自信でもって百名山を選定した。そのためか、これとは独立に百名山を選定した団体・個人もいたものの、本著は事実上の決定版として多くの登山客に愛される結果となった。そればかりか、百名山のリストだけが存在感を増し、一人歩きをはじめてしまうことにもつながった。確かに、百名山に選定された山はどれも歴史的、文化的価値の高い山ばかりである。しかしながら、リストから漏れた山についても決して山としての資格が失われたわけではないし、価値がなくなってしまったわけでもない。事実、深田は百名山以外の山についても多くの文章を残している。登山をする人には、「百名山」という単語に縛られずにさまざまな山に登り、山の魅力を存分に味わっていただきたい。
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