日本道路公団(Japan Highway Public Corporation)とはかつて存在した特殊法人である。1956年4月16日に設立された。2005年10月1日に東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)・中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)・西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)へと分割・民営化され、同公団は事実上解散した。愛称は「道路公団」または「JH」。
概要
1956年に日本道路公団法によって設立された特殊法人。主に高速道路を作るために設立された。
戦後の貧しい日本に高度なインフラを整備するため、高規格な高速道路を作る目的で開発が進められてきたが、1990年代頃から、いわゆる「天下り」や、談合・道路族議員による利権誘導疑惑が浮かび上がるようになり、特殊法人としての真価が問われるようになった。そのため、2001年に小泉内閣発足と共に民営化の計画が始まり、2004年に「道路関係四公団」(これには首都高を管理する「首都高速道路公団」、阪神高速を管理する「阪神高速道路公団」、本州四国連絡橋を管理する「本州四国連絡橋公団」も含まれる)民営化関連法案が可決・成立し、2005年9月30日をもって、約49年という長い歴史に終止符が打たれた。
高速道路(高速自動車国道)の建設は日本道路公団しか作れないような法律であったため、非常に巨額な公共事業が建設されるが故に建設後の償還問題(いわゆる「赤字路線の建設」)も民営化議論の際に盛んに議論されていた。
これとは別に、一般国道のバイパスにおける一般有料道路事業や、トラックターミナル・駐車場、さらには海上国道におけるフェリー事業なども行っていた(初期の頃のみ。後に民間に払い下げられ、事業からは撤退している)。
そうした日本道路公団時代のマイナスイメージを払拭するため、民営化した後のNEXCO各社はサービスエリア・パーキングエリアの改良や入札制度の透明化など積極的に進めているが、今でも一部の人(年配者・公共事業に批判的な人など)からは高速道路=日本道路公団と思っている人も多い。
なお、民営化した後も高速道路における道路施設は独立行政法人・日本高速道路保有・債務返済機構(即ち、「国」)が持ち、民営化したNEXCO各社はその施設を借り入れる形をとることから、NEXCO各社が自己判断で高速道路の改良工事や新規建設を行う事が出来ない(高速道路機構や国土交通省・各自治体の許可が必要になる)。このため、JRと違い、NEXCOは自由化の範囲が厳しく決められている(俗に言う「無駄な高速道路」の乱暴な開発を防ぐ為)。
日本道路公団の名残
民営化からしばらくの間はパトロールカーや高速道路脇の警告看板などを中心に「JH」のロゴが残されていたが、徐々にそうした「JHマーク」はNEXCOロゴに上書きされるなどして姿を消しつつある。
また、高速道路の標識に描かれた独自のフォント(通称「高速道路ゴシック」)は日本道路公団が名神高速道路の建設にあたり、独自の研究を積み重ねて作り上げた、究極の角ゴシック体でもある(100km/h程度の走行でも可読できるように工夫されている)。そうしたフォントも、2010年からは徐々に「ヒラギノ角ゴシック」(Mac OS Xにおける標準フォント)に置き換わりつつある。
道路公団の時は下成佐登子が歌うイメージソング「風のいるナビシート」がハイウェイラジオのジングルとして一部採用されていたが、民営化によって自然消滅している。
関連動画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 4
- 0pt