日産・シビリアンとは、かつて日産自動車が製造・販売していたマイクロバスである。
概要
車名の由来は「市民」「文民」などの意味を持つ英語から。元々警察や自衛隊などで導入されていた車種であるが、一般向けでもホテル・幼稚園・企業などの送迎車や、特別養護施設の特装車・キャンピングカーのベースとして用いられる。運転免許は大型が必須となるが、キャンピングカーなどの場合は普通免許でも運転が可能である。駆動方式はFRが基本であるが、3代目には4WD車も用意された。
前身は1959年登場の「キャブオール・マイクロバス」で、のち「キャブオール・エコー」→「エコー」と改称を重ねた。しかし、1966年登場の2代目(GC240系)がプロペラシャフト脱落による死傷事故を二度起こし、著しく印象を悪化させた。そのためマイナーチェンジに際し名称を「シビリアン」へ改めた。ちなみにこの事故が1969年に自動車の「リコール制度」を法制化するきっかけとなった。
なお初代モデルは、石原プロモーション制作のテレビドラマ『大都会』シリーズや『西部警察』において護送車に使用されることが多く、逮捕された仲間を乗せた護送車が襲われるというシチュエーションでよく破壊されていたようである。
3代目モデルは、通販会社・ジャパネットたかたが2007年より導入をした中継車のベースとなっている。
初代/GC240系(1971年~1982年)
1971年に登場。前述の理由で名称を変更したが、形式は変わっていない。エンジンは直列4気筒でガソリンの2000㏄とディーゼルの2200㏄の二種類となる。
- 1973年にディーゼルの排気量が3000㏄にアップされる。
- 1976年にマイナーチェンジ。旧プリンス自動車が開発・製造し、合併後も併売されていたマイクロバス「ライトコーチ」と統合。
- 1980年、ディーゼル車に3300㏄が追加。全席左側に内輪差の巻き込み防止のセーフティウインドーを設置。
2代目/W40系(1982年~1999年)
1982年に初のモデルチェンジ。先代よりもボディサイズを大きくした。エンジンは直4のガソリンの2200㏄とディーゼルの3300㏄が用意され、上級グレードには直6の3300㏄のディーゼル車も用意された。またミッションはコラムシフトからフロアシフトとなる。
- 1984年にライバルに対抗するために、直4の3300㏄のディーゼルにターボ仕様が追加される。
- 1988年にマイナーチェンジ。ガソリン仕様が廃止され、直4の3300㏄ディーゼルターボから、直6の4200㏄ディーゼルに変更される。
- 1990年に直4の3300㏄ディーゼルが3500㏄に排気量アップ。
- 1993年に一部改良。インパネデザインを変更し、いすゞ自動車へ「ジャーニー」としてOEM供給が開始される。
- 1994年にバリエーションにレトロ調の「クラシックバス」が登場する。
- 1995年にマイナーチェンジ。内外装を大幅に変更し、小回り性能をアップ。4200㏄ディーゼルはターボ付きとなる。また、バリエーションにAT仕様も追加された。
3代目/W41系(1999年~2021年)
1999年に登場。バリエーションに4WD車が初登場。エンジンを含むメカをいすゞ製としており、直4の4600㏄のディーゼルが組み合わされた。FR車は直6の4200㏄のディーゼルターボが搭載される。また全グレードに運転席エアバックがメーカーオプション設定がされる。同年には「クラシックバス」もモデルチェンジ。
- 2003年に一部改良と、天然圧縮ガスエンジンのCNG仕様が登場。排気量は4500㏄。
- 2004年にマイナーチェンジ。バリエーションに直6の4500㏄ガソリンエンジンが追加。また数ヶ月後にはディーゼル車もマイナーチェンジ。三菱ふそう製の4900㏄のディーゼルターボに換装し、ミッションもMT車&AT車共に6速化がされる。
- 2007年に一部改良。排ガス規制のためにディーゼル車が廃止。
- 2008年にディーゼル車が復活。排気量は3000㏄。同時に最廉価バージョンが廃止となる。ミッションも5速MT&4速ATとなる。
- 2010年、排ガス規制に適合不可となったため、再びディーゼル車が廃止となった。
2021年に生産終了。直接の後継モデルはなく、日産のマイクロバスはNV350キャラバンのみとなった。
余談
- JR北海道が実用化を目指した「DMV(デュアル・モード・ビークル)」の種車として2代目・3代目が提供された。ただ徳島県の阿佐海岸鉄道に本格導入されたDMVは、シビリアンの製造終了のためトヨタ・コースターベースとなってしまっている。
関連動画
関連項目
関連リンク
シビリアン公式サイト</p
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