日産・セドリックとは、日産自動車で1960年~2004年にかつて生産・販売されていた乗用車である。
オーナー仕様は生産はされていないが、2014年までタクシー用のセドリック営業車として細々と生産されていた。
オーナー仕様のモデルは45年の歴史を誇る。
概要
セドリックの車名の由来は、アメリカの小説『小公子』の主人公・セドリックの名前から当時の社長が命名をする。
姉妹車として販売店別の車種・グロリアがあり、1971年登場の三代目モデルから共通のボディとなる。
ライバルにはトヨタ・クラウンやマツダ・ルーチェ、ホンダ・レジェンドとなる。かつては、オーナー仕様の2ドア&4ドアハードトップ&4ドアセダンがあるが、4ドアセダンをベースにタクシー仕様、教習車仕様、パトカー仕様、ステーションワゴンやライトバン仕様も用意されていた。
日産自動車が広報活動の意味で、刑事ドラマ等のドラマにも多く車両を提供しており、刑事ドラマには定番の車種である。後継車種はFUGAとなる。
初代・30型(1960年~1965年)
1960年に登場。かつて、イギリスの自動車メーカーオースチンのノックダウン生産から、日産独自の車種として開発される。スタイリングは当時のアメリカ車にエンジンは当初は4気筒1500ccエンジンのみであった。すぐに4気筒の1900ccエンジン車も追加される。この時はヘッドライトが縦目となる。
1962年にマイナーチェンジ。ライトバンとステーションワゴン仕様が追加がされ、ヘッドライトが縦目から横目に変更される。1963年には直列6気筒2800ccエンジン搭載車が設定され、日本車で初の3ナンバー規格となる。この後にも2000ccのディーゼルエンジンも搭載される。
このモデルは1968年に発生した『三億円事件』の現金輸送車としても有名。
二代目・130型(1965年~1971年)
1965年に登場。ヨーロッパ風なデザインとなる。またこの型は、車体の前後が1966年~1969年の毎年10月になるとコロコロと変更をするという特徴があり、初期型と最終型では同じ車種とは思えない程にマイナーチェンジを繰り返していた。エンジンは4気筒と直列6気筒の2000ccが基本となるが、パトカー仕様の「パトロール」には直列6気筒3000ccとV8気筒4000ccのエンジンを搭載。
石原プロモーション制作の刑事ドラマ『大都会』シリーズ(日本テレビ)の『大都会PARTⅡ』で、カースタント用の車両としてこの130系が登場をしていた。
三代目・230型(1971年~1975年)
1971年に登場。この型からグロリアと共通のボディとなる。バリエーションも4ドアセダンを基本に2ドアハードトップ、5ドアのワゴン&バン仕様があるが、1972年に日本初の4ドアハードトップボディを登場させる。エンジンは4気筒&直列6気筒の2000cc、直列6気筒の2600cc、4気筒の2000ccディーゼルモデルが用意される。1973年にマイナーチェンジをして、2600ccにAT車の追加や前後のデザインが変更される。
この型はライバル・クラウンの販売台数を抜かしたモデルでもある。また刑事ドラマ『西部警察』シリーズ(テレビ朝日)では、230型=カースタントのイメージが強い。爆破や横転等の見せ場を作る番組の名脇役でもあった。
この型からイメージキャラクターに俳優・二谷英明を起用。6代目モデルのY30型のモデル末期までイメージキャラクターを担当するようになる。
四代目・330型(1975年~1979年)
1975年に登場。先代モデルの230型のデザインをアメリカンナイズなデザインとする。バリエーションも4ドアのセダン&ハードトップ、2ドアハードトップ、5ドアバンとなる。この型のみワゴン仕様が廃止となる。エンジンも先代と順ずるが、2600ccが2800ccへとパワーアップがされる。1977年にマイナーチェンジをし、最高級グレードのブロアムがこの型から登場。セダンのディーゼルエンジンが2200ccへとパワーアップがされる。このマイナーチェンジは当時の排ガス規制のために形式が331型となる。
この型も刑事ドラマで劇中でも多く使用されたモデルでもある。特に『西部警察』でも230型並みに爆破や横転等のカースタントが多かった。また、1977年に開始した刑事ドラマ『特捜最前線』(テレビ朝日)でも劇中車として登場。主人公が230型からイメージキャラクターである俳優・二谷英明であったため、新型が登場するたびにセドリックも変わるというのもあり宣伝効果が抜群であった。
五代目・430型(1979年~1983年)
1979年に登場。先代モデルと比較をしかなり直線的なデザインとなる。バリエーションも2ドアハードトップが廃止され、5ドアワゴンが復活する。登場をして半年後に世界初の直列6気筒2800ccディーゼルエンジンと日本発の直列6気筒2000ccのガソリンターボエンジンが搭載されたモデルが追加される。1981年にマイナーチェンジされ、1982年には上級グレードのATが4速化がされる。
デビューをしてすぐに『西部警察』も開始された年でもあったので、セダンが覆面パトカーとして劇中に登場をする。マイナーチェンジ型も劇中で登場。
六代目・Y30型(セダン&ハードトップのみ1983年~1987年 ワゴン&バンは1999年まで)
1983年に登場。この型よりセダン、ハードトップ、ワゴンともにそろってモデルチェンジをするのが最後のモデルとなる。また、長年にわたって使用してきた直列6気筒ガソリンエンジンは、V型6気筒へと進化。V型エンジンは形式がVGで2000cc、同ターボ3000cc、同ターボとなる。ディーゼルは先代と同型、4気筒の2000ccでバンとセダンとタクシー仕様のLPG車に搭載される。1985年にマイナーチェンジ。前後がフェイリストをされ、大型グリルが付いた。
1987年にはハードトップとセダンがモデルチェンジをし、バン&ワゴンは継続生産。細かなマイナーチェンジが続けられたが、1995年にはワゴンにエアバック等の装備が追加をされた。このワゴン&バンは、直線的なデザインで若者に人気があった。1999年にワゴンとバンは廃止となった。
この型は『西部警察』の番組末期に前期型の4ドアハードトップのターボ車が覆面車として起用されたが、後継番組の『私鉄沿線97分署』や同じテレビ朝日の『特捜最前線』や『あぶない刑事』(日本テレビ)でも覆面パトカーとして継続して起用されていた。
七代目・Y31型(ハードトップのみ1987年~1991年 セダンはタクシー仕様のみセドリック営業車の名称であった。1987年~2014年)
1987年にモデルチェンジ。ハードトップとセダンのみがモデルチェンジ。スタイリングが今までのクラウン的な「高級路線」から「スポーティー路線」へと変更される。この代からスポーティーグレードの”グランツーリスモ”シリーズが登場し、人気を博す。ガソリンエンジン仕様が全グレードV型6気筒化がされる。ディーゼルは先代のマイナーチェンジで搭載された直列6気筒のRD(排気量は2800cc)となる。4気筒はLPG仕様のみとなる。また、サスペンションも四輪独立懸架化がされる。タクシー仕様のみ耐久性を重視して先代モデルのサスペンションを踏襲する。1989年にマイナーチェンジをし世界初の5速オートマチックがV6の2000ccターボエンジン車に搭載される。
1991年にハードトップのみモデルチェンジをされるが、セダンはルーフを30mm上げ大幅な改良がされる。
ターボエンジンは廃止され、V6気筒の2000ccと3000cc、直列6気筒の2800ccディーゼル、直6&直4気筒のLPGエンジンのみとなる。
1995年に自家用を中心に内装を大幅に変更。当時のハードトップのY33型を思わせるインテリアになる。
2002年に自家用のガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、教習車仕様、パトカー仕様が廃止となり、タクシー専用となる。
2009年にフェンダーミラー仕様が廃止され、全グレードドアミラー化がされ、運転席エアバックを標準化がされる。
2010年にエンジンをキャブレターから電子制御噴射式に変更をしてパワーアップがされ、タイヤも14インチから15インチ化がされる。
2014年3月 日産自動車は2014年9月にセドリック営業車の生産を終了すると発表した。
2014年9月 生産終了
これによって49年に渡って続いたセドリック営業車の歴史を幕を閉じ、
同時にタクシー仕様を残して続いていたセドリックは54年に渡る歴史に完全に幕を閉じることとなった
さらにこれによって日産でのセダンタイプのタクシー車両が完全消滅することとなった。
後継車種はワゴンタイプのNV200バネットタクシーとなる。
八代目・Y32型(1991年~1995年)
1991年に登場。4ドアハードトップボディのみとなり、Bピラー部分に柱を入れた”ピラードハードトップ”となる。これは衝突安全性の重視とボディ剛性を上げるためである。またサスペンションからシャーシが新設計となり、ボディもこの代より3ナンバーボディ化がされる。エンジンバリエーションは、V6気筒の2000ccも存在するが、メインはV6気筒の3000ccがメインとなる。NA仕様が2種類用意され、最高峰のターボエンジン仕様が用意される。ラグジュアリー仕様のブロアム&クラシックシリーズとスポーティーなグランツーリスモシリーズの二本立てとなる。特にこの代で売れたのが、グランツーリスモシリーズである。ライバルのクラウンが低迷をしたので、このクラスでの売り上げトップとなる。1993年にマイナーチェンジをし、ブロアムシリーズのフロント部が変更される。クラシックシリーズはブロアムJの名称となる。バブル期に開発されたモデルなので、室内の間接照明がある等の贅の限りを尽くしたモデルとなった。
この代も刑事ドラマにも登場をし『はぐれ刑事純情派』や『さすらい刑事旅情編』の劇中でも登場するようになる。
九代目・Y33型(1995年~1999年)
1995年に登場。大ヒットしたY32型のデザインを踏襲をし、エンジンも従来のVG型は一部を残し、主力エンジンをVQ型に変更される。また全グレードに両席エアバックが標準化がされる。1997年にマイナーチェンジをし、V6気筒2500ccエンジンが搭載される。同時に初の4WD仕様も登場。エンジンは直6気筒2500ccのターボエンジンを搭載をする。
十代目・Y34型(1999年~2004年)
1999年に登場。セドリックとグロリアの個性をはっきりさせるために、セドリックはラグジュアリー路線のみになる。エンジンはV6気筒は2500ccと3000ccのNA仕様は、直噴エンジン化がされる。ターボ仕様には世界初の無段変速機の「エクストロイドCVT」を搭載。4WD仕様は先代と同一のメカニズムとなる。2001年にマイナーチェンジ。デジタルメーターは設定廃止となった。
2004年10月に10代45年の歴史に幕を下ろす。後継車種はFUGAとなる。
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