日進(水上機母艦)とは、かつて旧日本海軍が保有した軍艦である。
この名を持つ艦としては、1869年就役の帆船、1904年就役の装甲巡洋艦に続く3代目。
概要
第三次海軍軍備補充計画(マル3計画)で大和・武蔵・瑞鶴・翔鶴に続く5号艦として計画。
大和と同時期に呉海軍工廠で建造された。
起工は大和のほうが早く、進水は日進のほうが早い。
当初は「機雷敷設艦」として計画されたが、建造中に「水上機母艦」、「甲標的母艦」と立て続けに艦種が変更されている。
実際の運用では水上機母艦や甲標的母艦として活躍する機会はなく、もっぱら輸送艦として大活躍するというなんだかよくわからない艦歴を持つ。
日本で水上機母艦として建造された艦は4隻のみで、日進は千歳、千代田、瑞穂に続く4隻目。[1]
千歳型の準同型艦だが、瑞穂と同様、タービンとの併用を廃し主機をディーゼルエンジンのみとしているため、巨大な煙突がなく、すっきりしたシルエットになっている。
また燃費も良く、高速輸送艦向きの機関だった。
主砲は14cm連装砲3基。単独行動を想定し、千歳型や瑞穂より強化されている。
千歳型 (千歳・千代田) |
瑞穂 | 日進 | |
主機 | 艦本式タービン 2基 11号10型ディーゼル 2基 |
11号8型ディーゼル 4基 | 13号10型ディーゼル 4基 13号2型ディーゼル 2基 |
出力 | 56,800馬力 | 15,200馬力 | 47,000馬力 |
最大速力 | 29ノット | 22ノット | 28ノット |
主砲 | 12.7cm連装高角砲 | 14cm連装砲 | |
2基4門 | 3基6門 | ||
対空機銃 | 25mm連装機銃 | 25mm3連装機銃 | |
6基12門 | 10基20門 | 8基24門 | |
カタパルト | 呉式2号5型 | 1式2号11型 | |
4基[2] | 2基 | ||
艦影 | 上部天蓋あり | 上部天蓋なし | |
大型煙突あり | 大型煙突なし |
経歴
年 | 月 | 出来事 |
1938年 | 11月 | 起工 |
1939年 | 11月 | 進水 |
1942年 | 2月 | 竣工 |
4月 | 甲標的をペナンに運ぶ | |
5月 | 魚雷艇をミッドウェーに運ぶ | |
9月 | 戦車・重火器等をラバウルに運ぶ | |
10月 | 陸軍部隊・戦車・重火器・糧食等をガダルカナルに運ぶ(3回) | |
11月 | 海軍設営隊をショートランドに運ぶ | |
12月 | 海軍陸戦隊をラバウルに運ぶ | |
1943年 | 1月 | 大発動艇・特型運貨筒等をトラックに運ぶ |
2月 | 入渠 | |
4月 | 魚雷艇をラバウルに運ぶ | |
5月 | 運貨筒を幌筵に運ぶ | |
7月 | 陸軍部隊・戦車・重火器・糧食等をブインに運ぶ途中、空襲を受け沈没 | |
9月 | 除籍 |
関連する主な作戦
- マダガスカルの戦い - 作戦に使用する甲標的を輸送。
- ミッドウェー海戦(ミッドウェー作戦) - 戦艦「大和」の戦列に特務隊として参加。
- ガダルカナル島の戦い - 輸送艦として支援を行う。
- サボ島沖夜戦 - 重巡「青葉」が敵艦隊を日進輸送隊と誤認。
- キスカ島撤退作戦 - 作戦に使用する運貨筒を輸送。(作戦変更のため最終的には使用されず)
関連動画
関連静画
関連商品
関連項目
脚注
- *「特設水上機母艦」など、建造後に艦種変更や改装を受けた艦を除く。また、後に水上機母艦として「秋津洲」が建造されているが、書類上そう類別されただけで実際は別艦種の「飛行艇母艦」なのでこちらも除く。
- *千代田のみ、甲標的母艦化改装で後に2基に減っている。
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