日高本線とは、北海道苫小牧市の苫小牧駅から勇払郡むかわ町の鵡川駅までを結ぶJR北海道のローカル線である。
※厚賀駅~大狩部駅間での盛土流出の影響により、2021年4月1日に鵡川駅~様似駅間が廃止されました(後述)。
概要
1909年に三井物産が木材輸送のための馬車軌道を苫小牧-鵡川間に付設したのが始まりである。
その後、1927年に苫小牧-静内間が国有化されて日高線という名前になり、1937年には現在の終着駅である様似駅まで延伸された。1943年には鵡川駅から富内線が分岐するようになったため、現在の日高本線に名称を変えた。
日高本線は、今でこそその名に反して北海道日高地方を一切通らない路線と化してしまっているが、かつては日高地方を縦断する形で敷設された、日高地方唯一の鉄道路線であった。日高地方といえば競走馬ということで、車窓からは馬が飼育されている姿を見ることができるなど、ローカル線らしい情景を楽しめる路線であった。
計画上は様似駅から更に延伸して、襟裳岬を経由して広尾・帯広まで結ぶ構想があった。実際に帯広から広尾までを結ぶ広尾線が開業していたが、この路線は民営化直前の1987年2月に廃止。日高地方から帯広までを結ぶ計画は企画倒れという形になっている。またそんな事情から、様似駅-広尾駅の間のバスは国鉄バス(のちにジェイ・アール北海道バス)での運行となっている。
その他接続していた路線も苫小牧駅の室蘭本線を除き全て廃止となっており、鵡川駅以東廃止以前は全長140km以上にも及ぶ長大な盲腸線の様相を成していた。
日高本線には特急や快速などのいわゆる優等列車は設定されていない。臨時列車として運行される「優駿浪漫号」も、日高本線の区間内では各駅停車である。ただし、一部の駅は普通列車でも通過する場合がある。
盛土流出、そして復旧断念
2015年1月8日に厚賀駅~大狩部駅間で盛土が流出。これにより鵡川駅~様似駅間が不通となる。その後、乗客を乗せない車両を苫小牧運転所から回送する形で静内駅~様似駅間が1月27日に運転再開したが、盛土流出が進行し、回送運転すら困難となったことから、2月28日に再び不通となっている。
その後、4月28日に復旧工事に関してJR北海道から記者会見があり、抜本的に復旧した場合が約57億円、災害が多い区間を徐行運転した場合は約26億円となることを発表した。前者の方法は具体的な工期が定まらず、後者の方法でも工期が約30ヶ月(工事が不可能な11月~3月を含まない)必要で、最短でも復旧には2019年夏までかかる見通しであるとした。
しかし、JR北海道は経営難のため、26億円と言う復旧費用を出すことすら困難な状況であるため負担しない方針を示しており、国に対して支援を要請することとなった。この関係で着工時期不定のままの状態が続き、その間にも台風の影響などでさらに被害が拡大したことで、ますます復旧への道のりは遠くなっていった。
- 日高線 厚賀~大狩部間 67k506m 付近における盛土流出について(2015年1月13日)
- 日高線における今後の災害対策について(2015年3月11日)
- 日高線における災害対策の概算工事費と必要工期について(2015年4月28日)
だが、その後も全く議論は平行線となり、ついにJR北海道は鵡川駅~様似駅間の復旧断念とバス等への転換の協議開始を表明することになった。これにより、鵡川駅~様似駅間の廃止はほぼ確定的となった。なお、日高町より鵡川駅~日高門別駅間のみを復旧する要望があったため、これは別に回答するとした。
そして運休が始まって5年、2020年10月27日、鵡川駅から様似駅の間の鉄道事業廃止届が提出され、取り下げがない限り、2021年11月1日までに廃止になることが正式に決定した。その後、北海道運輸局による聴取の結果、12月28日に繰り上げが認められ2021年4月1日付で廃止された。これにより、日高本線という名称でありながら日高地方を一切通らない路線となってしまった。
その後も2023年3月18日には残存区間の途中駅であった浜田浦駅が利用者僅少のため廃止となり、本線と名乗るJR路線の中では最も駅数が少ない路線となった。
現在使用中の車両
駅一覧
グレー背景は2021年4月1日に廃止された区間の駅。
青背景はそれ以降に廃止された駅。
駅名 | 接続路線・備考 | 所在地 |
---|---|---|
苫小牧駅 | JR北海道:室蘭本線に接続。 千歳線の列車も乗り入れる。 |
苫小牧市 |
勇払駅 | ||
浜厚真駅 | 一部の列車は通過。牛山隆信氏による秘境駅ランキング111位。 | 勇払郡 厚真町 |
浜田浦駅 | 一部の列車は通過。牛山隆信氏による秘境駅ランキング110位。 2023年3月18日廃止。 |
勇払郡 むかわ町 |
鵡川駅 | かつて国鉄:富内線が接続していた(1986年に富内線廃止)。 むかわ町役場の最寄駅。 |
|
汐見駅 | 一部の列車は通過。 | |
富川駅 | かつて沙流鉄道が接続していた(1951年に沙流鉄道廃止)。 | 沙流郡 日高町 |
日高門別駅 | 日高町役場の最寄駅。 | |
豊郷駅 | 滋賀県に「けいおん!」の舞台モデルの最寄駅である同名の駅がある。 | |
清畠駅 | TVアニメ「Candy boy」にて駅舎が登場した。 | |
厚賀駅 | ||
大狩部駅 | 一部の列車は通過。牛山隆信氏による秘境駅ランキング83位。 | 新冠郡 新冠町 |
節婦駅 | ||
新冠駅 | 新冠町役場の最寄駅。 | |
静内駅 | 当駅と苫小牧駅、当駅と様似駅との間を運行する区間列車が存在した。 新ひだか町役場の最寄駅。 |
日高郡 新ひだか町 |
東静内駅 | ||
春立駅 | ||
日高東別駅 | ||
日高三石駅 | ||
蓬栄駅 | ||
本桐駅 | ||
荻伏駅 | 浦河郡 浦河町 |
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絵笛駅 | 牛山隆信氏による秘境駅ランキング52位。 | |
浦河駅 | 浦河町役場の最寄駅。 | |
東町駅 | ||
日高幌別駅 | ||
鵜苫駅 | 様似郡 様似町 |
|
西様似駅 | ||
様似駅 | 様似町役場の最寄駅。 |
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関連項目
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