「晦-つきこもり」とは、1996年に発売されたスーパーファミコン用サウンドノベルホラーゲームである。
開発元は飯島多紀哉(当時は飯島健男名義)率いるパンドラボックス、発売元はバンプレスト。
2012年6月5日よりWiiのバーチャルコンソールで配信。
また2016年9月7日よりWiiUのバーチャルコンソールでも配信されている(いずれもCERO:D)。
概要
選択肢によってシナリオが変化する、オードソックスなサウンドノベル。
前作「学校であった怖い話」並のシナリオ数とゲームボリューム、グラフィックパターンやバッドエンド数の増加によるゲーム性向上により、サウンドノベルゲームブームの最中に生まれたゲームの中では高い評価を得ている。
タイトルを踏襲し、「ゲームの本編」とも言われた和子六話目~七話目と、「学校であった怖い話」にも登場した風間が絡む、通称「風間シナリオ」などが高い人気を誇っている。
オーソドックスな霊体験もあるのだが、一番怖いのが語り部を含む人間だったりするシナリオが顕著なのも特徴。さらにはサウンドノベルゲームとしては珍しく探索ゲーム要素を含んだシナリオの他、語り部を選ぶ順番で派生する特別シナリオ2編が存在。
また一部の親戚が繰り広げる軋轢や過去など、かなり個性的なゲームとなっている。
シナリオは前作とは違い、飯島以外のメンバーが本編シナリオを担当。飯島はオープニングとプロデュースのみにとどまった。シナリオライターの中には前作にキャストとして参加したメンバーや分岐シナリオを手がけたスタッフも含まれている。
作中に登場する人物は基本的にスタッフや家族などの関係者。その為よーく見ると、前作で出たあの人があんな役で出ていたりする。キモヲタの新堂さんとか。
あらすじ
春休みを迎えた主人公の前田葉子(名前変更可)は、祖母の七回忌のために田舎の本家である前田家を訪れていた。法事を終えた親戚一同は思い思いのグループに集まり、昔話に花を咲かせては宴会は盛り上がっていった。
両親をよそに、葉子は憧れの人である真田泰明らのグループに混ざり、親しい親戚達と雑談をしていた。が、真田は不意に神妙な顔をしてこう語る。
同席する藤村正美が反対するが、結局興が乗った一同は普段使われていない空き部屋へ入る。
親戚の和弘の到着が遅れていることを気にしていると、本家の嫁である前田和子が突然部屋に入ってきた。しかしここに来た目的を話した途端、面白そうだとあっさりグループに加わる和子。そんな彼女は神妙な顔で告げる。
「この客間のこと知ってるの? ちょっとした曰くつきなのよ。それはね……」
登場人物
- 前田葉子(まえだ ようこ)
- 物語の聞き手にして主人公。4月に女子高に通う事になる15歳の少女。性別は固定だが、姓名は変更可能。それに合わせて後述の前田親子ら前田家も苗字が変わる。
登場人物の中ではまともな部類ではあるものの、たまに恋する乙女とは思えない言動を行ってギャグキャラ化する。泰明に好意を抱いているが、いとこの良夫は子供っぽい上にちょっかいかけてくるので嫌い。しかし、憧れの人と結ばれるかどうかは…… - 前田和子(まえだ かずこ)
- 本家の嫁で葉子の義理の叔母。良夫の母。バイタリティあふれる熟女で、御歳53とは思えないくらいに(精神的に)若々しい。主に地域密着型の怪談を話す。
良夫の将来について考えている良き母親なのだが、時に母の愛が恐ろしい悲劇を招くことになる。とある事情により由香里とはあまり仲がよろしくないらしい。彼女の六話目と七話目は多くのプレイヤーに悲しい印象を植えつけたとか。
風間シナリオでは一番正気を疑われる人物。彼女の風間ネタは多くのプレイヤーを心配させた。 - 前田良夫(まえだ よしお)
- 和子の息子である小学6年生。生意気ショタ。葉子の事が好きだが、幼い表現でしか彼女への好意を表せず、結果的に嫌われている。怪談は子供ならではの視点で語られるシナリオ。
とあるシナリオでは葉子にとって深い何かを残してゆく。彼の場合はあまり素直に進行しない事があるので、注意しながら話を進めるべき。 - 真田泰明(さなだ やすあき)
- 主人公の従兄弟で憧れの人。そして、このゲームが始まるきっかけを作った人物。TV局のプロデューサーを務めていることから、怪談も業界の裏側がテーマになっている。シナリオ冒頭で業界仲間から電話が入るのはお約束。
一見爽やかなイケメンだが、語り部の中では黒いキャラだと言われている。その理由は彼の裏側で、そこに嫌悪感を抱くプレイヤーもいる。一方、とあるシナリオでは葉子にとっては重要な人物となる。本当にいい人になるかどうかは、プレイヤー次第。 - 山崎哲夫(やまざき てつお)
- 「冒険家」を自称する遠縁の親戚。葉子はフリーターと思っている。豪快な人物で、何かにつけてはガハハと笑い飛ばす。山や秘境など、冒険先で体験したスタンダードな怪談を話す。
- 実はバイリンガル(日本語と英語)で留学経験があったり、幼少時は優等生のお坊ちゃんだったりと、現在の風貌からはまったく想像つかない一面も。善人ゆえに、葉子に対してひどい仕打ちを行う場合はやむを得ない事情が絡まない限り、まずない。彼の五話目はいろんな意味で必見。
- 後に、七転び八転がり制作の同人ゲームであるアパシー学校であった怖い話極にも登場した。
- 鈴木由香里(すずき ゆかり)
- 花嫁修業と称して数多くのアルバイトに挑むフリーター。遠縁の親戚だが、年の近い葉子をかわいがっている。そのアルバイトは危険なものが多く、プレイを終えたプレイヤーならこう思うだろう。「よく生きて帰って来れましたね」と。
会談の内容は、これまで経験してきたアルバイトで遭遇した霊体験。斜めに構えた視点は時に残酷な話となる。気前の良いお姉さんかと思いきや、あるシナリオで怖い一面を見せる。 - 藤村正美(ふじむら まさみ)
- 主人公の遠縁の親戚。埼玉の大手病院に勤める看護師(作中では看護婦)。しとやかな美人で、主人公が「正美おばさん」と呼ぶのがためらわれるくらい。
看護師らしく奉仕精神にあふれるいい人かと思ったら大間違い。プレイした大半はナース属性を持った事を後悔するだろう。それくらい、作中屈指の危険人物である。怪談も病院や訪問医療先を舞台にした内容だが、どれもエグい。さらに催眠術を習得していたり、強い霊力を有していたりと、オカルト方面でも活躍。シナリオによっては幼少時はやんちゃな女の子で、泰明や哲夫を振り回していた事が判明する。 - 同人ゲームサークルである七転び八転がりが制作したアパシー学校であった怖い話新生2にも登場。そちらのゲームでは勤務している病院名がクロユリ総合病院という名前であることが判明する
- 和弘(かずひろ)
- 主人公の遠縁の親戚。シナリオ次第で登場する。ゲーム開始時点ではまだ前田家に到着していない。彼との関わりは主にネタバレになるので記載しないが、彼が登場するのは悲しみを伴う物語が多い。
- 風間望(かざま のぞむ)
- 前作「学校であった怖い話」の登場人物だが、あまりの無茶苦茶ぶりに人気が高かったおかげでゲスト出演を果たした残念なイケメン。
本作でもその無茶苦茶ぶりは相変わらず。基本は前作と同じギャグだが、恐怖度はこちらが上。ただし本当におっかないシナリオも用意してきたようで、ただのギャグキャラではないことを証明した。
関連動画
本編プレイ動画
実況プレイ
実況が苦手でなく、かつ怖がりにはお勧め
風間さん、あんたって人は……(いつもの風間無双)
その他(番外編的動画)
関連商品
関連項目
- アパシー・シリーズ
- 学校であった怖い話
- パンドラボックス(ゲーム会社)
- ノベルゲーム / サウンドノベル
- ホラーゲーム
- ゲームのタイトル一覧
- 飯島健男(現:飯島多紀哉)
- 風間望
- 忌日
- 七回忌
- VC配信ソフト
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