月まで3km単語

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月まで3kmとは、

1. 静岡県浜松市天竜区船明（ふなぎら）にある道路案内標識。
2. 伊与原新の小説『月まで三キロ』。1が由来。

のいずれかである。当記事では1を説明する。

概要

静岡県の天竜川沿いにある看板。看板の県道を示す矢印は「↑」を示しているが、ここから上に3km進んでいくと月に着くようだ。これからの宇宙開発の時代を想定し、静岡県も空中に県道を設定したのだろうか。

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・・・というわけではなく、「月」という名前の集落まで道なりに3kmということを示している。「↑」は真上に進むという意味ではなく、直進という意味である。

場所を詳しく書くと、国道152号を天竜区二俣から水窪方面（北）に向かう途中、入口がバウムクーヘンっぽい切り株の絵になっているトンネル「船明隧道」を斜め左に進み、静岡県道360号渡ヶ島横山線に入るとすぐのところに設置されている（下写真、左の道路奥）。

天竜川を伊砂橋で渡り、右方向に道なりに進んでいくと月集落に3kmほどで行ける。当たり前だが、電気・ガス・水道・郵便ポストといった生活インフラも月に整備されている。

月（静岡県）まで3km

静岡県浜松市天竜区月。天竜川の船明ダム湖の西岸にある集落。人口は2021年9月時点で81人^{（市統計）}。国道152号から天竜川の対岸にあり、車通りの少ない静かな集落となっている。上の写真は対岸の月バス停（後述）から撮影したもの。写っているのは月島地区の北側であり、中心部は山の陰に隠れている。

集落内には天竜川沿いに県道360号が通るほか、山の上の方までつながる車道が何本かある。集落の中心部は後述する月艇庫周辺の「月島」だが、少し北の「綱操^[1]」や、山を登って行ったところの「津行」にも家が何軒かある。

「月」の名前の由来は、南北朝時代の楠木正成の家臣である鈴木左京之進が名づけたとされている。この集落に12人ほどで落ち延びてきて集落を作り、月を見ながら、「この地が満月のように発展するように」、または「楠木正成公の心の清らかさは月のようである、その心を地名に残そう」という意味で「月」とされたと言われている。現在でも月には鈴木を苗字とする家が多い。

「月部落の由来」の碑（月島自治会）

ただし、後述するように愛知県東栄町にも同じ地名があることから別の由来も考えられ、「天竜川の増水時に水に浸かる→つき」「道の突き当たり→つき」という説もある。

集落内の月島には「月光山 海蔵寺」という月らしい名前の寺院があるほか、八王子神社がある。また、津行にも小さな神社と思われる建物があるが、祀られている神仏は不明。

かつては八王子神社の横に月小学校があったが、1960年に横山小学校に統合されている^（参考）。現在建物は残っておらず、月に住む小学生は横山小学校に通っている。

天竜ボート場月艇庫があり、ボート関係者には一定の知名度がある。天竜川に2000mのボート用コースがあり、毎年3月に全国高等学校選抜ボート大会が開催されている。他にもボート部や、それ以外の団体からも合宿などで利用されている「天竜自然体験センター 湖畔の家」もある。過去には国体のボート競技も開かれたことがある。

第58回国体ボート競技開催地の碑（旧・天竜市）

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1986年から2013年にかけて、プロの演奏家を招待して月を見ながら行われる演奏会である「ムーンライト・コンサート」が開かれてきた。住民の減少により運営が困難となったため、2013年をもっていったん終了となったが、2010年代後半にはアマチュアの演奏家を招待する「観月会」が月で開かれている。

浜松浜北ICから12km

自動車で行く場合は新東名高速の浜松浜北ICが最寄りであり、そこから国道152号・県道360号を20分ほど北上して月に行くことになる。

バス停から3km等

公共交通機関の最寄りは、浜松市自主運行バス・水窪タクシー（2022年10月以降はニュー浜名湖バス）の北遠本線の「伊砂入口」バス停から徒歩40分程度。「月まで3km」もこのバス停のすぐ近くにある。

また、同じく北遠本線のバス停の「相津」付近にある、国道152号の道の駅「天竜相津花桃の里」から「夢のかけ橋」で天竜川を渡っても徒歩40分程度で行ける。他には事前予約・曜日限定運行のデマンドバスとして天竜ふれあいバスの大白木線があり、「月島（右写真）」「綱繰」「津行入口」等のバス停がある。

水窪まで56km

ここに看板が設置されたのはおそらく1988年以降と思われる。それまでは、看板が設置されている区間は国道152号に指定されており、水窪・佐久間までのメインルートの一部になっていた。

1988年にこの区間をショートカットする船明隧道が開通し、国道152号の指定が解除された。それ以降も隧道南側から伊砂橋までは月集落へのアクセス路として使われていたため、「月まで3km」の看板が設置されたと思われる。伊砂橋から隧道北側の残りの区間は少し廃道化が進んでいる（下写真）。伊砂橋側の入口にガードレールがバリケードとして設置されている^[2]ため、四輪車の通行は困難となっている。

旧・月バス停から300m5km

過去には「月」という名前のバス停もあった。ただし、月集落の最寄りではなかった。当然、衛星の月の最寄りでもない。

天竜川の西側にある月集落から天竜川を挟んで200～300mほど東側にあるが、行き来する橋はなく、南側の夢のかけ橋を通って4～5kmほど迂回しなければならなかった。月集落の最寄りとなるバス停は先述した北遠本線の「伊砂入口」である。

付近に最寄となる住宅も全く無く、廃止直前には月バス停を定期利用している住民はいなかった。2022年4月から8月にかけての利用客は1人のみ。

まだ天竜川に橋が少なく、渡船で連絡していたころには最寄りのバス停だった^[3]。

かつては西鹿島駅・二俣と水窪を結ぶ遠鉄バスの北遠本線が停車しており、公共交通機関で訪れたり、車内アナウンスで「月」の名前を聞いたりするのはそこまで難しくなかった。しかし、2019年に北遠本線が浜松市自主運行バス・水窪タクシーに移管された後は、当停留所には停車しなくなった。

2021年時点では、北遠本線の移管後も遠鉄バスに残った通学者向けの秋葉線の朝の1便「唐沢→横山→二俣→西鹿島駅→厚生会」が6:56に停車するのみになっており、当バス停を利用するのは至難の業で、いつ廃止されてもおかしくない状況となっていた。

そして、2022年10月、その朝1便の廃止に伴い、月バス停も廃止された。なお、バス停が廃止されただけであり、北遠本線自体は廃止後も市の自主運行バスとして走っている。

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Tsukiの工場まで逆方向に25km

小説『月まで三キロ』がきっかけとなって、浜松市中央区（旧：東区）のヤタローが「Tsuki」という土産物を販売している。小説作中にも登場した「月 3km」の標識が箱に描かれている。三ケ日みかんを使った黄色く丸いチーズケーキ。

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もう1つの月まで3kmまで6km

月集落の北にある横山集落には、もう1つの「月まで3km」の看板がある。こちらは私有地のブロック塀に貼りつけられており、おそらく私的に設置されたものと思われるが、設置された経緯は不明。

月（愛知県）まで50km

静岡県浜松市天竜区に隣接する愛知県東栄町にも「月」という地名がある。こちらも小さな集落であるが、国道473号が通っており、こちらにも「月バス停」があるほか、2006年までは月小学校もあった。

月まで3kmの看板からは50kmほど離れている。「月まで3km」から月を経由して、Uターンすることなく月まで向かうことが可能^[4]。

月まで384400km

衛星「月」までの距離はだいたいこれぐらい。看板で示されている数字の約13万倍である。

かなり遠い未来になるとは思うが、いつか3km感覚で行ける時代が来るのかもしれない。

関連動画

関連静画

関連リンク

• Google Map
• Googleストリートビュー
• 天竜ボート場（浜松市HP）
• 天竜自然体験センター 湖畔の家
• 張春穎「「月」まで３キロ…道路案内の先に行ってみた　静岡」（朝日新聞, 2018/04/12）
• 浜松市「月の光に魅せられた人たち」（『てんりゅう暮らしの見本帖vol.4』, 2019）
• 野瀬井寛「浜松市天竜区の「月」停留所　バス路線廃止により今月限り」(中日新聞, 2022/09/15)

関連項目

• 静岡県
  • 浜松市
• 天竜川
• 楠木正成
• トリビアの泉 - No.613で取り上げられた
• 槍を持って静岡に攻め込む看板
• もっとがんばる町江別市まで約40000km

脚注

1. *「繰」と表記される場合もある
2. *歩行者、自転車、バイクの進行を妨げてはいないが、非推奨
3. *昔の地図を参照。今の月バス停の位置と違うところではあるものの、渡船の記号がある。また、関連リンクの中日新聞の記事には実際に地元住民の証言が掲載されている
4. *月集落の北にある横山集落で国道152号・国道473号に再び合流できる。ちなみに、合流する直前で左に曲がると、熊のところに行ける

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親記事

• 道路標識

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• 槍を持って静岡に攻め込む看板
• 東名高速道路下り線豊田ジャンクションの手前4.9kmの地点にある緑の案内標識
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