朝霧の巫女とは、日本の漫画作品またはそれを元にしたテレビアニメである。
副題は『平成稲生物怪録(へいせいいのうもののけろく)』。作者は宇河弘樹。
概要
少年画報社発行の『ヤングキングアワーズ』に2000年3月から2007年8月まで連載され、
単行本も2013年4月30日に最終巻となる第9巻が発売、堂々完結した。
なお単行本の中には大幅加筆がされている巻もあり雑誌で読んだ人も買って損はない。
タイトルのせいか巫女萌え漫画かと思われがちだが、単行本第1巻の裏表紙の解説「妖怪譚『稲生物怪録』をベースとしたラブコメ伝奇漫画」が示す通り怪異妖怪てんこ盛りで、それらに翻弄され立ち向かう人間模様を描く。
余談だが短編集『妖の寄る家』に本作に繋がるシリーズが収録されている。
あらすじ
主人公・天津忠尋は、故郷の広島県三次市に帰ってきて早々、謎の男・乱裁道宗に襲われる。忠尋を審神者と呼び"儀式"を行おうとする乱裁から忠尋を救ったのは従兄弟の稗田三姉妹だった。
以来様々な怪異に巻き込まれていく忠尋だが…
登場人物
- 天津忠尋(あまつ ただひろ)
本作の主人公。高校生。赤目白髪のアルビノで喘息持ち。
神と対話できる存在『審神者(さにわ)』の血を引くことからその身を狙われる。 - 稗田柚子(ひえだ ゆず)
本作のヒロイン。稗田三姉妹の次女で、忠尋の従兄弟で幼馴染。 - 稗田倉子(ひえだ くらこ)
三姉妹の長女。稲生神社宮司代理、かつ忠尋が通う学校の教師。 - 稗田珠(ひえだ たま)
三姉妹の末っ子。 - 稗田御幸(ひえだ みゆき)
稲生神社宮司。三姉妹の母親で、忠尋の伯母にあたる。 - 巫女委員会
学校で発生する怪異に対抗するため組織された委員会。顧問は稗田倉子が務める。
メンバーは御堂志津歌、岬原いずみ、力石征子、百合草千佳、そして稗田柚子。 - こま
忠尋を見守る女性で、御幸たちとは旧知の間柄。甘いもの好き。
正体→いわゆる猫又で、忠尋の祖母。短編集『妖の寄る家』にも出演。
- 日瑠子陛下
作中における今上天皇。関連動画をしかとその目に焼き付けよ。 - 天津結実(あまつ ゆみ)
忠尋の母で、御幸の妹。陰陽頭として日瑠子に仕える。 - 平田篤瀧(ひらた あつたき)
日瑠子に仕える中年。結実らとは昔馴染みである。愛馬・冠月と会話できる。 - 斉藤(さいとう)
先帝の頃より朝廷に仕える初老の男性。
- 楠木正志(くすぎ まさし)
忠尋の友人でクラスメイト。よく事故に遭い、入院している。 - 熊沢菊理(くまざわ くくり)
転校生。『主上』の依代の巫女。関連動画参照。 - 乱裁道宗(あやたち みちむね)
天狗の面を被った男。『主上』の命により忠尋を付け狙う。 - スサノオ
三貴神の一柱。日本最強最古のマザコン。
TVアニメ版
2002年7月から12月にかけてテレビ東京にて放映された。全26話(ただし1話15分)。
中立がモットーのWikipediaには「賛否両論」と当たり障りのない(?)ことが書いてあるが、原作ファンからの評価は黒歴史以外の何物でもないというのがおよそ衆目の一致するところである。
前述の通り、原作は巫女萌え漫画の皮を被った伝奇漫画であるが、アニメ版は1話15分で『陸上防衛隊まおちゃん』と抱き合わせ放送という放送形態に加え、アニメオリジナルキャラが跋扈する安い萌えアニメ以外の何物でもない出来となった。中盤の作画崩壊には動画マン出身の監督が自分のサイトでキレるなどという一幕も。
その上、DVD全巻購入特典が「朝霧の書」という冊子1冊だけという扱いに至っては、アニメ版の出来そのものには沈黙していた原作者すらも業を煮やし、当初「朝霧の書」内に収録される予定だった宇河弘樹イラスト集はカット。その代わり、原作者本人が独自に小画集と「原作版オープニングムービー」を制作して特典にするという事態になった。
このアニメ版はファンに与えたダメージ以上に、原作者に多大な精神的ダメージを与えたことで知られ、一時は原作の連載継続自体が危ぶまれる事態にまで陥った。原作の単行本(全9巻予定)の発刊ペースが異様に遅いのは、アニメ版による被害の後遺症も大きい。宇河弘樹の項も参照。
かつては『HELLSING』や『真月譚 月姫』と並び称された黒歴史アニメの代名詞であるが、ひとりの漫画家の作家生命を断ち切りかけた、という意味では他の黒歴史アニメよりも余程罪深いとも言える。
ちなみに舞台は広島であるが、本放送時は広島では放映されなかった。のちにRCC中国放送が放映している。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 4
- 0pt