本質とは
である。
概要
1
例えばハサミ。ハサミがハサミであるために最低限必要な要素とはなんであろうか?
『刃』という人がいるかもしれない。けれど世の中には刃のないハサミも存在する。
『ものを切る能力』という人がいるかもしれない。けれど世の中には観賞用のハサミもある。
ハサミ一つを取ってみても本質を見極めるのは難しい。
<哲学>や科学、倫理学では人間の本質や世界の本質をずっと昔から考えていた。
2
一般的には2と3の意味で使うことが多い。
情報過多なこの時代。本質、すなわり何が最も重要な情報であるのかを分別できるようにすることには大きな意味がある。
会社や学校などでも、相手が実際に何を言いたいのかを理解したり、簡潔に自分の主張を伝えたりする時などこの意味の本質を見極める能力は必須となるため、中学高校の国語教育で養えるようになっている。
3
例えばニュースで報道される事件などを文字通りに受け取ることは本質を見失っているといえるだろう。
その事件が一体どのような効果を他に与えているか、などを知ることは肝要だ。
他にも、他人の本質をちゃんと知ることができれば無用なトラブルを避けることが出来るかもしれない。
4
本質については多くの思想家が議論しているが、ここでは特に有名なものについて説明する。
ウーシア
ウーシア(οὐσία)とは、ギリシア語で「本質」を意味する言葉である。特にアリストテレスの用語として使われる。
アリストテレスは『形而上学』でウーシアについて論じているが、これを読むと、ウーシアを「本質」だけでなく「実在」という意味でも使っていることが分かる。アリストテレスにとっては、存在することと本質を持つことは同義であったからである。
スブスタンティアとエッセンティア
スブスタンティア(substantia)とエッセンティア(essentia)は、それぞれラテン語で「実在」「本質」を意味する言葉である。英語のsubstance(実在)、essence(本質)に対応する。
ただ、現在では意味が区別されるこの二語も、元々は二つの意味を持った言葉として使われていたようである。
前述の通り、ウーシアは実在と本質を意味するギリシア語である。ところが、ギリシア語にはもう一つ、「ヒュポスタシス」(υπόστασις)というウーシアの同義語が存在していた。この二語をラテン語に訳すとき、
と違う訳語を当てたのである。この頃は、単に同じ意味のラテン語が二つできたにすぎなかった。
後のキリスト教神学の時代になると、第一コンスタンティノポリス公会議(381年)で、ヒュポスタシスをラテン語に訳したペルソナ(persona)という言葉を、神の位格を表す言葉として使うようになった。
また、スコラ哲学の時代になると、スブスタンティアは実在、エッセンティアは本質を意味する言葉として区別されるようになる。
表にまとめると、以下のようになる。
ギリシア語 | ラテン語 |
ウーシア | エッセンティア |
ヒュポスタシス | スブスタンティア |
ペルソナ |
こうして、「実在」「本質」を意味していたギリシア語から、両者を区別する用語が生まれ、さらには「位格」というキリスト教神学の用語も生まれた。
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関連項目
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