札束で殴るゲームとは、まさに金で物を言わす亡者達の泥沼の戦いである。
金賞:概要
元ネタはドラマなどで「札束で頬を叩く」という演出で、財力の無い者を札束で打ちお金を粗末に扱うという凌辱的な行為。転じて「従ったなら金をくれてやってもよい」という暗喩で、金で得た武力や権利を行使し操るさまをいう。
『札束で殴るゲーム』とは、「戦う為に得た強さは、大金を支払って得たものである」という意味で、すなわち「強さを得るために支払った大金そのもので殴り合っているようなもの」という比喩である。
銀賞:事例
トレーディングカードゲーム
アナログゲームでもデジタルゲームでも「強い=レア・入手困難・高価」という図式ができるのは良くあることである。特にカードゲームにおいてはブースターパックの購入の他にカード単品の取引が盛んである。タイトルによってはカードに加工を施した特別仕様の物を用意している場合もあり、そういった付加価値の付いた物は高値で販売される。さらに一部のエラーカードや大会賞品など数が限られてくる物は場合によっては数万、数十万円と超高額で取引される。
カードゲームにおいて用意したカードの束をデッキや山札と呼ぶ。優秀な(≒高価な)カードで構成されたデッキを「グッドスタッフ(Good Stuff)」というが、これを費やしたお金に見立てて日本語で「札束」と呼ぶことがある。
オンラインゲーム
デジタルゲームの収益として、ゲーム本体に価格をつけるパッケージ方式、一定期間ゲームをプレイできる権利に価格をつける月額課金方式、プレイは無料でできるがアイテムを有料にするアイテム課金方式などがある。
問題なのはタダで遊べて一見良心的なアイテム課金方式のゲームである。有料の度合いは様々であるが、軽微と思われる物から並べると以下の通り。
- 無料でも簡単に手に入る消耗品であるが、有料で獲得あるいは増幅できる (数十円から)
- そのシステムの一定割合は無料で使用できるが、有料で永続または一定期間強化・拡張できる (数十円)
- そのシステム全てが無料では利用できないが、有料で永続または一定期間利用できる (数百円)
- 無料のアイテムにない能力をもった有料の消耗品 (数十円から)
- 無料と同等の能力で、機能面ではなく見た目などに価値を持つ有料の装備アイテムなど (数百円)
- 当たりを引くことで定価購入より得をするガチャガチャなどの有料プレイ権 (数百円)
- 無料の物より優秀な能力を持つ、有料でしか手に入らない装備アイテムなど (数百円から)
- 当たりを引くことでしか手に入らない限定のアイテムなどを封入したガチャガチャなどの有料プレイ権 (数百円)
- キャラクター(人物、装備一式、マシン一機など)の使用権 (千円から)
要約すると有料で得られる物が、
経験値増加などの効率アップ < 見た目アイテムなどの満足度 < 無料では得られない強さ
の順で悪質と言える。特に「強さ」を付加価値とした場合、消費者はおろか運営者も見境が無くなり、「強いアイテムを買う⇒ヌルゲー化する⇒強い敵が登場する⇒さらに強いアイテムを売る⇒買う⇒以下ループ」というスーパーインフレを起こすゲームも少なくは無い。そのうち無料のアイテムより有料のアイテムの方が多くなっていたり、有料の強力な装備アイテムでないとクリアが難しくなるような課金前提のゲーム設計になっていたりする。しかもそんな強いアイテムがガチャガチャで低確率を引き当てないと手に入らないとなると目も当てられない。ガチャガチャについては後述。
改めて述べるが、当然ながら札束とはゲーム内通貨ではなく、実際に支払った金銭のことである。
ケータイソーシャルゲーム
ソーシャルゲームの多くで確立したのが戦うなどをしてカード(キャラクター)をコレクションするゲームで、強いカードや好みのカードを集めたり、コンプリートすることに満足感を求めるものである。
カードを集める主な方法として戦うなどのゲームプレイがあるが、プレイにはスタミナなどの消費ポイントが設定されており、より多くプレイするにはポイントの回復に時間をかけるか有料アイテムで回復する仕組みになっている。
もう一つの方法として対価を支払ってランダムで獲得する方法である。確率論(正確には乱数)を用いて抽選する有料コンテンツでガチャガチャ、はてなボックス、くじ引き、ルーレットなど形は様々であるが仕組みは同じであり、ガチャガチャが最も多いことからこの手の物を広義で「ガチャ」と呼ぶ。
無料でガチャをプレイできるタイトルもあるが、限定の物を封入した有料でのプレイとする場合がほとんどである。さらに手に入る物がランダムのため、欲しい物が必ず手に入るとは限らず、複数回のプレイを余儀なくされる。当然同じ物を引く可能性もあり、くじの数は無限なので全部引けば当たるという事も無い。(引いたら減る有限の物もある。)過去には当たり確率10,000分の5(0.05%)という数値を露呈したタイトルもあり、欲しい物を手に入れるのは至難の業である。さらにはこれを期間限定化することで付加価値と購買意欲を煽る。この期間限定有料ガチャの更新頻度が比較的早く、商品の種類が多いソーシャルゲームでは特に「何十万課金した」と申告する者が後を絶たない。
さらには対人要素においてランキング入賞者に対し特別限定カードを賞品とすることで、勝ち上がるために強いレアカードを集めさせ(=課金)、さらには同じカードを合成させて強くする(=複数枚必要)ということをさせている。
ソーシャルゲームではさらに特別なガチャを用いる場合もある。重大な物を3つ
- 『コンプリートガチャ』
ガチャに封入されているアイテムを全て手に入れることでさらに限定物を追加で付与するもの。限定物を得るには全て当たるまでプレイしなければならず、必然的に多量のプレイを重ねなければならない。現在は景品表示法(カード合わせ)に抵触すると示唆され、サービスは行われていない。詳しくはこちら
- 『ボックスガチャ』
仮想のため箱の中身が無限であることが一般的なガチャに対し、現実のくじ引きのように一度引いたら中身が減ることを想定したガチャ。全部引けば確実に欲しい物が当たることを謳っており一見良心的に見えるが、当たりが見えている以上途中で諦める者が少なく、 コンプガチャより費用や射幸性が大きいとされている。
- 『ステップアップガチャ』
数回に渡って引いた分だけ確立が倍々に増える代わり、価格も倍々に増えるというもの。 最終ステップで1日プレイできたり、周回する代わりプレゼントがあるなど仕様は様々であるが、通常のガチャに比べ最終ステップにするまでおおよそ10倍の費用が掛かる。当然何パーセントかが倍々になるだけで欲しい物が当たる保証はない。
またこの手の携帯ゲームは課金料金を携帯料金と一緒に支払うことができるためクレジットカード以上に買い物感覚が薄く、重課金者を量産している要因になっていると思われる。
銅賞:あとがき
ハズレ:関連項目
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