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朴正煕（パク・チョンヒ/ぼく・せいき、1917年11月14日～1979年10月26日）とは、大韓民国の第5～9代大統領（任期：1963年～1979年）である。
概要
現代の韓国では「極悪非道の独裁者」という見方がある一方、韓国内での経済基盤を築いた第一人者として多大な人気を保っている。ここでは、朴の思想的な面についても触れる。
幼少期から終戦まで
1917年、日本統治下の慶尚北道の貧農の家に生まれる。父親は科挙に合格するほどの天才だったが、権力争いに破れ財産を失っていた。あまりの貧しさに、朴は小学校に通っていた頃、弁当を持っていけなかったという。
家が貧乏で、朴自身も病弱だったが、小学校は優秀な成績で卒業したため、日本の陸軍士官学校に留学を果たした。日本では「高木 正雄（たかぎ まさお）」と名乗っていた。
戦後
1946年、朴の兄にあたる人物が共産主義者であることが発覚し、射殺された。朴にも捜査の手は及び、死刑を宣告されたものの、北朝鮮への内部事情に精通しているとして釈放された。
1953年にはアメリカの陸軍砲兵学校に留学し、韓国軍司令官を務めた。
クーデターによる政権奪取
1961年5月16日、陸軍少将だった朴は同僚や後輩らと手を組み、「軍事革命委員会」を結成し、腐敗の一掃、親米・反共を目的として軍事クーデターを起こした。
クーデターに動員された人数は必ずしも多くなく、成功すら怪しいとされていたが、金融凍結、港湾・空港を閉鎖、議会を解散し、政治活動を禁止し、前政権の閣僚を逮捕。政権を奪取した朴正煕は「軍事革命委員会」を「国家再建最高会議」と改称して自ら議長となった。治安維持と経済改善のためとして国家再建非常措置法を施行した。6月には秘密諜報機関・韓国中央情報部（KCIA）を発足。7月には前政権の大統領だった張都暎を失脚させ、軍事政権のトップに立った。これらの権力奪取の過程で軍事独裁政治色を強めていった。これに抗議するデモが頻繁に起きるようになるが、朴は武力で弾圧。また、腐敗政治家の排除・闇取引の摘発・治安向上を目的とした風俗店摘発なども行った。
その後、政権へのアメリカの支持を取り付けるために訪米することとなり、アメリカ大統領と釣り合う階級を与えるべきとの軍長老の進言に従い大将に昇進した。訪米の往路日本に立ち寄り、11月12日に池田勇人首相と会談、早急なる国交正常化で合意した。このとき一部日本語を使って会談したため、韓国内の反日勢力から批判を買った。訪米ではケネディ大統領との会談を実現した。
大統領就任後
1963年には大統領選に出馬し、当選。第5代大統領となる。これ以降、1979年に暗殺されるまで5期にわたって大統領を務めた。
下の動画は第6代就任式のもの。
外交
1965年には「日韓基本条約」を結び、日本との国交を回復。この条約は「日韓の国家間における賠償・歴史問題を全て帳消しにする」内容だったため、韓国内の反日派から再び批判を買った。反日政策を日常的に行っている現在の韓国政府では、この条約が守られていないのが実情である。
その後、アメリカからベトナム戦争に韓国軍を出兵させるよう要請されたが、米軍が敗戦を重ねていたため朴は拒否。対米従属の立場から離れていった。
急速な経済成長を実現
政治的な面では独裁者のイメージが強いが、経済的な面では「漢江の奇跡」と呼ばれるほど、韓国を裕福な国に成長させた。現在の韓国がここまで成長したのは朴の功績があったから、と言っても過言ではない。
朴は日本をモデルとした経済基盤を確立した。製鉄所の建設・石油化学工業の推進・高速道路の建設等々。
その結果、韓国民1人あたりの所得は一月あたりわずか80ドル（1961年）から、1620ドル（1979年）にまで跳ね上がった。
対日感情
現在の韓国人は非常に強い反日感情を持っているが、朴は全く異なり親日家と呼んでも差し支えないほどであった。以下に一例を示す。
- 「日本の朝鮮統治はそう悪かったとは思わない。自分は成績がよかったので、日本人の先生が師範学校に行けと勧めてくれた。さらに陸軍士官学校では、首席で卒業することができた。卒業式では日本人を含めた卒業生を代表して答辞を読んだ。日本のやった政治も感情的に非難するつもりはない。むしろ評価している。」と、福田赳夫首相の韓国訪問時の晩餐会において発言。
- 「明治維新は無名の若者が国の近代化を進めた。」と称賛。特に西郷隆盛を尊敬し、西郷が語った「子孫のために美田を買わず」と言う言葉を好んで使っていた。
- 前述の製鉄所や石油化学工場の建設の推進など、経済政策やメンタリティ等あらゆる部分で日本をモデルにした。
- 竹島をめぐる領有権問題について「両国友好のため、竹島なんか沈めてしまえ」とまで発言したとも言われている。
- 酒を飲んで機嫌が良くなると、よく日本の軍歌を歌っていた。
暗殺
1974年8月15日、日本植民地統治から解放されたことを記念する行事に参加していたところ、在日韓国人・文世光から銃撃を受け、朴正煕自身は無事だったものの、夫人の陸英修が頭部を撃たれて死亡した（文世光事件）。
なお、この際に用いられた拳銃が、文世光が日本で警官を襲撃し日本の警察から強奪したものであったため、日韓両国の政治問題へと発展した。
1979年、朴の行動に火病を起こした側近のKCIAの金載圭部長によって射殺された。享年61。
なお、2012年12月に行われた第18代韓国大統領選挙に勝利し、翌2013年2月に大統領に就任した政治家、「朴槿恵」（パク・クネ）はこの朴正煕と陸英修の間に生まれた娘であり、韓国では親子二代での就任、かつ女性で就任した初の大統領になる。
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