杉元佐一とは、 野田サトルの漫画「ゴールデンカムイ」の主人公である。
「俺はカネで、アシㇼパさんは親の仇
目的は違えど道は同じ
二人で手を組めば鬼に金棒だ」
概要
元大日本帝国陸軍第一師団の隊員。
日露戦争で目覚ましい武功を上げ、その時の鬼神のような
戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれる。
彼を不死たらしめているのは、死地に活路を見出すことができる
並外れた度胸と驚異的な回復力。
除隊後、戦死した親友との約束を果たすべく
ゴールドラッシュに沸いた北海道へ。
そこでアイヌの村から奪われた埋蔵金の存在を知り、
精強で知られる陸軍第七師団や凶悪な脱獄囚を向こうに
争奪戦を繰り広げる。
人物
軍服姿に身を包んだ、顔に大きな傷を持つ退役軍人。
上記の通りに戦場で類まれな武功を上げているのだが、気に入らない上官を半殺しにした罪で恩給を大幅減額されてしまった。
家族は全て結核で亡くしていて天涯孤独の身。
戦死した親友の妻とは幼馴染且つ以前は相思相愛の仲でもあったらしく、眼の病の治療を受けさせたいという親友の願いを叶えるべく埋蔵金争奪戦に身を投じる。
性格については、少なくとも接する人間に敵意さえなければ友好的で温厚。特に子ども、お年寄り、病人と言った弱い立場の人間にはとことんまで優しい。若干恥ずかしがり屋な面も垣間見られ、そう饒舌な方ではないようだ。
ある程度以上気心の知れた相手には茶目っ気も発揮し、アシリパさんを差し置いて何故か少女漫画のような乙女チックモードになることもしばしば。
少し猫舌気味のようで、シャチの竜田揚げ回では竜田揚げ、子持ち昆布揚げのそれぞれで少女漫画モードの猫舌反応を披露。立て続けに妙に可愛いこぶった反応で食べる姿を見せられ、白石も「不死身のくせに猫舌かよ ダセえなッ!!」とイラついていた。
杉元のスタンスとして自らと異なったモノ、主義や信条、習慣など、敵対ないしこちらの目的を妨害するものでない限りはどこまでも寛容に受け止めるところがある。家族を結核で亡くした際に、流行り病という事で偏見や差別を受けた経験が影響しているのかも知れない。
当時の余裕のない時代において、異文化に一切の偏見を持たず真摯に接する杉元だからこそ、聡明なアシリパさんの全幅の信頼を勝ち得たのだろう。
そんなアシリパさんのご好意で勧められる動物の生の脳みそや目玉も快く食べる。生食は心なしか嫌がっていそうに見えるが多分そんな事はない。
そんな普段は気の良い杉元だが、敵対者にはとことんまで容赦しない冷徹な面もある。
日露戦争での経験から自分が死なないためなら躊躇なく殺すという意識が染みついており、ついさっきまで優しく接していた相手ですら不意打ちで攻撃を受けても即座に、かつ冷静に殺す気で刺し返すなどしている。脱獄囚の刺青人皮も率先して殺して剥ごうとはしないが、敵対すれば容赦せず、死んでいれば躊躇なく皮を剥がす。表情の消えうせた顔で死体の皮を剥がすところを見ながら、味方である白石すら(こいつが一番おっかねえ)と内心ドン引きしていた。
反面戦闘狂という訳ではなく、むしろ罪悪感に苛まれ続けている。
戦争では「ロシア人は人間ではない」と強引に自己暗示をかけて殺害してきた影響からPTSDを患っていて、アニメ6話でもフラッシュバックを起こす描写がある。殺害した人たちを忘れないことを償いとして罪の意識を持っているのだが、同時に容赦なく敵を殺せる自身の精神的な異常性は認識しており、一層杉元を悩ませている。
戦場から故郷に帰った直後に親友の妻にあったものの、眼の病気で視力を失った彼女に血の匂いから自分だと認識してもらえず拒絶されるなどして更なるトラウマを抱えてしまった。
不死身の杉元のこういった苦悩もこの作品の扱う一つの要素となっている。
作品内での杉元の主な仕事は戦闘と食レポ。
特にアシリパさん特製アイヌ料理の食事レポはゴールデンカムイの最も大事な場面の一つでもある。アシリパさんなどアイヌの人々から教えられたアイヌの慣習などは直ぐに実践してみせ、異文化への寛容さと好奇心の旺盛さが見て取れる。
ヒンナヒンナと食材への感謝のことばを口にするのはもはや習慣と化している。
和人が食べなれない脳みそなどの生食についてはやっぱり嫌そうだったり表情が死んでいたりヒンナの言葉に感情が感じられなかったりするが気のせいだろう。
常に味噌を携帯しておりアシリパさんとの絡みで大いに役立つ。アシリパさんがオソマの壁を突破して以来良く減るのでたまに町で買い足しているそう。
アシリパさんとは固い信頼関係で結ばれている。
山林でのサバイバルは素人な杉元に確かなサバイバル術を教えてくれるアシリパさんには敬意を表して常に「さん」付けで呼称する。
アシリパさんから寄せられている絶大な信頼に答えるように、杉元の方もアシリパさんへの仲間意識と保護意識は非常に高い。何者かがアシリパさんへ危害を加えようものなら怒り狂って皆殺しにする場面もあるほど。少々異様と言ってもいい程なのでここにも心の傷が影響しているのだろう。
装備
武器は三十年式小銃と三十年式銃剣。しかし射撃よりも銃剣を活用したり銃自体で殴打したりと泥臭い使い方が多い。格闘戦では作中随一の強さを誇り、その強さの源は格闘術そのものの練度の高さというよりも、追い詰められて死を目前にしても決して怯まない度胸と生への執念にあるようだ。窮地のときほど「俺は不死身の杉元だ!」と自身を鼓舞して大立ち回りする。また重症以上のケガを負っても非常に早く回復する桁外れな生命力も持つ。
射撃は人より下手というわけではないようだが、ゴルゴもかくやという狙撃の名手尾形や元マタギの谷垣、熊撃ちの達人二瓶など、射撃でずば抜けた技術を持つ登場人物たちと比べると明らかに命中率が悪いので、軍人としては平凡なレベルという事だろう。
モデル
杉元佐一の名前は戦争で死地を突破し援軍を呼んで味方を助けた作者の曾祖父から取られていることが作者のブログで明かされたが、同時に人物としては別人であるとしている。
人物としてのモデルは驚異的な回復力を持ち「不死身の分隊長」の異名で呼ばれていた旧日本軍の舩坂弘だと言われている。第1話で杉元が頚部に被弾するシーンは、船坂のエピソードが基になっていると見られる。
また、変顔グルメ描写は、『MAN vs WILD』のベア・グリルスに着想を得ている。
関連静画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アシリパ
- 姉畑支遁
- 鶴見篤四郎
- 白石由竹
- 谷垣源次郎
- 尾形百之助
- ウイルク
- 土方歳三(ゴールデンカムイ)
- 辺見和雄
- 二階堂浩平
- キロランケ
- 鯉登音之進
- 月島基
- 松田平太
- 宇佐美時重
- 牛山辰馬
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