李明博(イ・ミョンバク 이명박)とは、韓国の政治家であり、韓国の第17代大統領を務めた。
日本の大阪で生まれ、日本名が月山明博という事もあってかネット上ではアキヒロとも呼ばれる。
経歴
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1941年12月19日、大阪府中河内郡加美村(現在の大阪市平野区加美南3丁目)の島田牧場の社宅で生まれた。終戦直後の1945年10月に一家で密航船に乗って韓国へ帰国する。
貧しい家庭であったが勉強ができ、奨学金を受け定時制の高校に入学する。高校時代は昼間は働き夜は勉強していた苦学生であった。
高校卒業後は大学受験勉強の傍ら、働いて学費を貯めて高麗大学校商学部経済学科に入学する。大学時代は民主化運動、日韓基本条約の反対闘争に身を投じ、約1万2千人参加の日韓会談反対闘争を主導したとして国家内乱扇動の罪に問われ、逮捕され刑務所に3カ月ほど服役した。
この学生運動での経歴が就職活動にモロに影響し、大学卒業後は就職難に陥るが、当時の朴正煕大統領に手紙を送ったり苦労の末なんとか当時零細企業であった現代建設に就職が決まる。
入社後は主に海外事業に関わり、商売の才能を発揮する。数多くのプロジェクトを成功させた李明博は出世を重ね、36歳で社長、47歳で会長に就任する。小さな会社を大企業へ急成長させた事により優秀な経営者として韓国内外でも有名となった。
1992年に国会議員に当選し政治家となる。1996年の総選挙では同じ選挙区に盧武鉉が立候補していたが、これを破って当選する。しかし、選挙参謀の選挙資金がらみの違反が発覚する事となり、1998年に辞職に追い込まれる。その後は1年間渡米して大学の研究員をしていた。また2000年からカンボジアのフン・セン首相の経済顧問に就任する。
その後、韓国内の恩赦により政界復帰が許され、2002年にソウル市長に当選し再び政治家となる。
2007年にハンナラ党から大統領選に出馬。国民からの絶大な支持によって対立候補を大差で破り、大統領となった。
大統領在任中(2008年~2013年)
2008年2月25日に先代の盧武鉉から引き継ぎ、韓国第17代大統領に就任する。
経済面では韓国747計画(年7%成長、10年以内に1人当たり国民所得4万ドル、10年以内にG7入り)と呼ばれる目標を掲げて、経済回復を目指した。
国内では大規模なインフラ事業である朝鮮半島大運河計画を公約に掲げ、四大河川事業を急ピッチで押し進める。教育面で苦学生の為の奨学金制度改革を進めた。宗教面では自身がキリスト教徒な事もあり、キリスト教を優遇していると反発が起き、それに対処する為に公務員の宗教差別を法律で禁止することとなった。
外交では「グローバル外交」を目指し、アメリカ、日本、中国、ロシアとの関係強化を宣言。北朝鮮に対しては前任者の盧武鉉が進めた「太陽政策」とは一転し、非核化に向けて比較的厳しい政策をとることとした。その為北朝鮮から「裏切り者」や「鼠」と呼ばれていた。
就任直後に狂牛病問題が続く中で米国産牛肉の輸入再開を決定したことにより、国内で反対運動が起き支持率が急落。公約として進めていた朝鮮半島大運河計画も反対にあい白紙となっている。
2008から2009年にかけてリーマン・ショックの影響でウォンが暴落し、李明博は日本に助けを求めた。日本側は二度と慰安婦問題や賠償問題を持ち出さないという条件で日韓スワップ協定を締結し、アメリカにも働きかけてドル・ウォン通貨スワップ協定を成立させたことで、韓国は破綻を免れた。ところが2009年に日本の政権が民主党に入れ替わると李明博自ら竹島に上陸。天皇を「日王」と呼び、「韓国に来たければ土下座しろ」と発言した。[1]
他にも昭和天皇の戦争責任を主張し、野田総理の親書を返送する等の行為を行い、政府間での交流を断交状態までに追い込んだ。
2013年2月24日に任期が終了、朴槿恵に大統領を交替している。
大統領退任後(2013年~現在まで)
退任直後からカンボジアのフン・セン首相の経済顧問に再び就任している。2014年3月、韓国の労働組合から大統領時代に背任や職権乱用によって公共機関の負債を増大させた容疑で告発された。
2018年3月に収賄などの疑いで逮捕。大統領在任中に、情報機関の国家情報院から裏金を上納させたり、李明博が事実上の所有者とみられる会社の訴訟費をサムスングループに肩代わりさせたりするなどして、計約110億ウォンの賄賂を受け取った疑いが持たれているほか、350億ウォンの横領、脱税、職権乱用などの容疑がかけられている。[2]
2020年2月、ソウル高裁は懲役17年、罰金130億ウォン(約12億円)、追徴金約57億8000万ウォン(約5億3500万円)の実刑判決を言い渡した。同年10月、最高裁は弁護・検察双方の上告を棄却したため、二審の実刑判決が確定した。[3]
疑惑・不祥事
- 2007年大統領予備選挙中にソウルの土地の借名保有の疑いで告訴されるも、検察は真相が究明されたとして事件は終結した。
- 2012年7月に実兄が収賄で逮捕される。また、自身の私邸の土地の不正購入問題が浮上し、逮捕された実兄や夫人、息子などの関係者が事情聴取を受けている。
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関連項目
脚注
- *「2020年 表と裏で読み解く日本経済 バンブーカーテンの世界分断と破滅する韓国」渡邉哲也/猫組長 徳間書店 2019 p.73
- *李明博元大統領を逮捕 韓国検察、朴槿恵被告に続き4人目 2018.3.23
- *李元大統領、懲役17年確定 近く収監、多額収賄と横領―韓国最高裁 2020.10.29
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