概要
日比谷線の在来車である3000系の置き換えと列車増発を目的として1988年から投入された。列車増発も兼ねていたので導入本数は3000系の38本より4本多い42本となっている。
日比谷線の新形式投入による増発は急遽決まり、製作決定から導入までの期間が非常に短かったが 基本仕様は当時導入の計画が進んでいた東西線用05系をベースとし、設計にかかる時間を短縮した。
3000系では保安装置の関係で「東武のみ乗り入れ可」「東急のみ乗り入れ可」「両社とも可」の3タイプに分かれていたが、運用上の制約になっていたため、全ての編成が両社に乗り入れられるよう保安装置(日比谷線用のWS-ATCと東急・東武の各ATS、後に東急・営団共通CS-ATCも搭載)が装備されている。なお、現在は日比谷線は東急に直通しないが、鷺沼車庫への全般検査のために東急へ回送運転するため保安装置は残されている。
車体構造はアルミ合金製18m3扉構造で、無塗装車体となっており、車体の帯色は灰色をベースに白と黒が配色されている。また、車内はオールロングシート構造である。ただし、第9編成~第28編成は両端の各2両、合計4両が5扉車となっており、前面貫通扉窓上部に「5DOORS」のステッカーが貼り付けられている。
制御方式は当初は高周波分巻チョッパ(四象限チョッパ)制御とされたが、5次車途中の第26編成からIGBT-VVVFインバータ制御とされた。インバータ制御車は電動車の車内床に設置されていた主電動機点検蓋が省略されている。なお、チョッパ装置は第1編成と3・4次車が三菱電機製、第2編成と2次車は日立製作所製を搭載するほか、VVVFは5・6次車が日立製作所製、7次車が三菱電機製を搭載する。
行先表示は第1~第15編成までが幕式、5次車の第16編成以降はLED式に変更されている。
営団の車両では初めてTIS(車両制御情報管理装置)を搭載し、車両の各種情報(マスコンやブレーキの指令や定期検査時の情報、行先表示や放送設定)がこの装置で一元的に管理されている。
自動放送装置を搭載するが、当初はチョッパ車は日比谷線内のみの対応(現在は直通先にも対応・VVVF車は当初から東武線・東横線内も対応)である。車外スピーカーはチョッパ車は車両の上部搭載だが、VVVF車はクーラーキセの横に搭載されている。
製造担当は主に近畿車輛と東急車輛だが、第1編成は川崎重工、第2編成は日本車輛で製造されている。
なお、03系については2016年度から2019年度にかけて順次東京メトロ13000系に置き換えられる予定である。
2018年10月1日、最後まで残っていた5扉車である第12編成が廃車回送され、当形式の5扉車および東京メトロの保有するチョッパ制御車は全廃となった。
次車分類
※製造時の仕様による分類です
1次車 | 2次車 | 3次車 | 4次車 | 5次車 | 6次車 | 7次車 | ||||
製造年度 | 1988年度 | 1989年度 | 1990年度 | 1991年度 | 1992年度 | 1993年度 | 1994年度 | |||
編成番号 | 01-02 | 03-05 | 06-08 | 09 | 10-15 | 16-25 | 26・27 | 28 | 29-35 | 36-42 |
制御方式 | 高周波分巻チョッパ | IGBT-VVVFインバータ | ||||||||
5扉車 | 無し | 有り | 無し | |||||||
行先表示 | 幕式 | 3色LED | ||||||||
主電動機出力 | 160kW | 190kW | ||||||||
歯車比 | 5.73(86:15) | 7.79(109:14) | ||||||||
台車 | SUミンデン式ボルスタレス台車 | モノリンク式ボルスタレス台車 |
客室内装
内装はベージュ系の柄入り模様がベースで、床材はベージュとオリーブグリーンの2色構成となっている。ただし、近年床材をグレーの物に交換した車両がある。
座席は当初茶系統の色だったが、現在は紅紫色の物に交換されている。なお、現在、定期検査の際に順次ドア間座席に3-3-3区分、車端部座席に2-2区分で順次スタンションポールが設置されている。
車内案内表示機は3色LED1段式の物を各扉の上に搭載する。VVVF車は直通先も含め全線で次駅表示を行うが、チョッパ車は次駅表示は日比谷線内のみで直通先は「○○行」の表示で固定される(駅停車時は「○○行」と「For ○○」が交互にスクロール表示される)。
その後、2013年3月改正での直通区間変更に合わせ2013年に入り順次自動放送と合わせ表示機のROMを更新した。
その際、直通先の車内表示機・自動放送にも対応することとなったが、ご丁寧にもすぐに直通打ち切りとなる東横線内の案内にも対応させていた。
VVVF化改造
2012年4月、第02編成がVVVFインバータ制御化改造され、メトロ車両千住事業所を出場した。
ただし、丸ノ内線02系や半蔵門線8000系などのような内装更新等は行われていないので、B修繕工事では無いと思われる。ただし、初期型の角ばったドットの車内案内表示機に関しては更新されている(1段式LEDという点は変更なし)。
現在、各種調整・試験が行われている模様で、2012年5月14日現在、東急電鉄長津田検車区に留置されている。
インバータの製造メーカーは三菱電機。
その後、2012年6月中に営業運転を開始した(詳しい日時ご存知の方加筆してください)。
なお、改造車は他社線内での車内案内表示機次駅表示や自動放送に対応している。
2013年11月現在、第01~08編成の8本が工事を終えている。その結果、チョッパ制御車でのオール3ドア編成が消滅した。
譲渡
熊本電鉄
第31編成は運用離脱後、両先頭車のみ改造のため福岡へ陸送された。そして2019年4月4日、改造と試運転を終えた03-131号車+03-831号車は熊本電鉄で営業運転を開始した。改造内容はマスコンのワンハンドル化、03-131号車へのシングルアームパンタグラフ2基およびVVVF制御装置の搭載と電装化などであり、台車は先に譲渡された01形とは違いef-wingには換装されていない。
関連動画
高周波分巻チョッパ車の走行音(チョッパはメーカーによる差異が無いような…)
関連商品
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関連項目
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