概要
2006年9月1日に登場した東京メトロ民営化後初の新形式車両である。
2008年6月14日に開業した東京メトロ副都心線用、また、有楽町線7000系・07系の置き換え用として、2006年から2009年にかけて10両編成36本が製造された。
通勤電車として標準の20m4ドア車であり、車体はオールダブルスキンのアルミニウム合金製である。製造メーカーは日立製作所。東武50000系や西武30000系とは同じA-trainシリーズであり兄弟といえる。
副都心線のラインカラーであるブラウンと有楽町線のラインカラーであるゴールド、そしてホワイトの帯が屋根肩と窓下に入っている。
東京メトロの車両として初めて15インチ液晶ディスプレイによる車内案内装置(Tokyo Metro ビジョン)がドア上に設置されたのもこの車両である。
デザイン
10000系は通勤型電車としては凝ったオサレなデザインが特徴である。東京メトロ初の新形式車両のため、「新生・変革」がテーマとされ、気合いの入ったデザインとなっている。
デザインを担当したのはは500系新幹線電車などのデザインも手掛けたドイツのデザイナー、アレクサンダー・ノイマイスター氏である。
前面には三次曲面ガラスが使われ、球体にも近いかなり丸っこいスタイルである。
近年の首都圏の車両としては珍しく前面の非常扉が中央に配置され、左右対称の顔となった。これは、非常時に救援車両と連結をした際に簡単に通り抜けることができるようにしたためである。
前照灯(HID)・尾灯は涙目のような鍵穴のような形をしており、これは営団地下鉄初の車両である丸ノ内線300形のオマージュである。他にも警笛がトロンボーンになっているなど旧型車へのオマージュがみられる。
車内にも特徴は多い。
車両端の連結部のドア(幅90cm)を全面ガラス張りとし、さらに両側20cmもガラス張りとすることで見た目には幅1.3mのガラス張りとなり、見通しのいい開放感のある車内を演出している。
天井はダクトやラインフローファンの設置の仕方を工夫することで中心部分を一段と高くし、車内高2m41cmを実現した。天井の照明は窪みに設置することで間接照明風になっている。
この他、強化ガラス製の荷棚やアルミキャスト製の座席袖仕切りなど、デザインには様々な趣向が凝らされた車両である。2007年度グッドデザイン賞も受賞している。
有楽町線・副都心線に乗車した際にはぜひこのデザインにも注目してみてほしい。
スペック
起動加速度はメトロ標準の3.3km/h/s。設計最高速度は東横線内での高速運転も考慮しての120km/hである。
制御装置はIGBT素子を使用したVVVFインバータ(三菱製)である。純電機ブレーキにも対応している。
台車は走行安定性向上やメンテナンス性向上のため、従来のボルスタレス台車ではなく、新ボルスタ台車が採用された。
また、ATO装置を搭載し、有楽町線・副都心線内では自動運転を行う(副都心線小竹向原~渋谷間はワンマン運転)。
運用
10両編成36本が在籍しており、同じ和光検車区所属の7000系10両編成(6本在籍)と共通運用されている。
10000系はすべて10両編成だが、第1~5編成は7000系8両編成の予備車が不足した場合などに中間2両を抜いて8両編成とすることができる。
運用されている路線は以下の通り。
副都心線用の車両として登場したので副都心線での運用が多いかと思いきや、実際には副都心線は7000系が多くあてがわれ(8両編成のメトロ車運用は基本的に全部7000系である)、10両編成である10000系は有楽町線での運用がメインになっている。
副都心線は2013年3月16日より東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線への直通が開始された。東横線での10両編成はすべての特急・通勤特急と一部の急行に限られるため、基本的に10両編成である10000系は東横線各駅停車の運用には基本的に就かず、最高速度120km/hの性能を生かし優等列車として東横線を疾走している。
また、直通に先立ち2012年5月7日から10103F(8連)が、7月7日からは10105F(8連)が約1カ月間にわたり武蔵小杉~元町・中華街間で日中試運転を行った。9月4日には10104F(8連)が東横線渋谷駅へ試運転で入線。9月7日からは東横線・みなとみらい線内での先行営業運転も開始し話題となった。
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