東急1000系とは、東京急行電鉄が1988年に運用を開始した通勤型電車である。
概要
1986年に運用を開始しした9000系を基本として設計され、日比谷線直通規格のために18m級3扉となっていて、行き先方向幕等一部の部品は9000系共通となっている(9000系との区別のため種別・方向・列車番号幕の周りは黒く塗られている。また、貫通扉が前面の真中にある車両も存在する)。
また、のちに池上線での旧型車置き換え車両として投入された車両は「1000N'系」と呼称されることがある。
東横線所属車は9000系との区別のため、上記の事項の他、運転台コンソールの一部などを緑色としている(東横線の渋谷口の車両と18m車では停止位置が違うため、運転している際に混同しないためと思われる)。
制御装置には東洋電機製のGTOサイリスタ素子のVVVFインバータを使用している。
なお、東横線用として投入された車両は1C8M方式だが、池上線投入分並びに東横線と目蒲線の共通編成として投入された車両の一部は1C4M方式とされている。
主電動機は1C4M車も1C8M車も関係なく日立製または東洋電機製TKM-88形が使用されている。
静止型インバータ・電動空気圧縮機は9000系と同型の物を使用している。ただし、電動空気圧縮機に関しては1C4M車に限り9000系とは異なりSIVではなく架線から直接電気を取る方式の物とされた。
台車は9000系とほぼ同等の物だが床面高さを低くするために設計変更が行われ、TS-1006形(M車)・TS-1007形(T車)とされた。
2013年3月7日現在、元住吉検車区に8両編成5本、雪が谷検車区にワンマン対応3両編成9本が在籍している。
廃車車両の一部は上田電鉄(1000系)・伊賀鉄道(200形)へ譲渡されている。
2013年1月に、1年以上もの長い間長津田車両工場で長期留置中だった東横線1003Fが久しぶりに自力走行で長津田検車区へ移動し、今後の動向が注目された。
その後、同月23日から25日にかけ、総合車両製作所(旧東急車輛)へ甲種輸送が行われている。
その後、1001F・1004Fと相次いで総合車両製作所まで甲種輸送された。
地元新聞など一部報道で東急の中古車導入が伝えられた一畑電車への譲渡のための改造などの憶測が広がっていたが、里帰りからおよそ1年後の2014年2月に、旧1003Fの8両が、1503-1603-1703の車号を持つ改造車3両と未改造の5両の計8両で総合車両製作所を出場、長津田まで甲種輸送された。(詳しくは後述)
その後1001F・1004Fも同様の状況で長津田帰還を果たしている。
現在、一部編成が廃車の後に上田電鉄(1000系)・伊賀鉄道(200系)に譲渡の上使用されている。(後述)
一畑電車も2014年度中に2連3本を購入予定であり、現車第一号が2014年8月に東急テクノシステムで改造を終え現地に搬出された。2015年2月に営業を開始した。
また、上田電鉄向けにも新たに先頭車化改造車が追加譲渡され、6000系を名乗っている。
編成
- 東横線・東京地下鉄日比谷線(8両)
以下の5編成は、2013年3月15日まで運用され、現在は運用を持っていない。現在は全編成のクハ1000-デハ1200-クハ1100の3両が1500番台に改造された他、一部の中間車が先頭車改造の上一畑電車や上田電鉄に譲渡されている。
- 池上線・東急多摩川線(3両)
- 1012F
- 1013F
この2編成は東横線・目蒲線兼用編成として4両編成で新製され、併結して東横線の日比谷線直通列車への運用に就いていたが、直通運用が減少したため、目蒲線に転用した後に、池上線に対応するため3両化された。なお、使われなくなった中間車2両は1010F+1011Fに組み込まれた(後述)。 - 1017F
1014F - 1018Fは池上線用として新製されたが、池上線の工事が未了であったため、暫定的に4両編成となり、目蒲線で運用されていた。その後、3両化され、余った中間車は先頭車を新製して1019F - 1023Fとして組み込んだ。 - 1019F
- 1020F
- 1021F
- 1022F
- 1023F
中間車は1014F - 1018Fで使用されていた車両を組み込んだもの。 - 1024F
この編成のみ、初めから3両編成で新製されている。
運用離脱・廃車
- 東横線・東京地下鉄日比谷線(2014年3月15日前に離脱した編成)
- 1001F - 2013年に運用離脱・総合車両製作所へ甲種輸送。一部が1501Fに改造。(未改造車は搬出)
- 1003F - 2012年に運用離脱、2013年に総合車両製作所へ甲種輸送し1003-1203-1103を1503Fに改造
1403-1453が一畑電車1002Fに改造。残りは搬出 - 1006F - 8両中6両(2両編成×3本)が伊賀鉄道へ譲渡。
- 1010F・1011F - 合わせて4両(2両編成×2本)が伊賀鉄道へ譲渡。
この2編成は東横線・目蒲線兼用編成として4両編成で新製され、併結して東横線の日比谷線直通列車への運用に就いていた。後に8両固定とするために、1012F・1013Fで使用されていた中間車2両を組み込んだため、不要となった先頭車2両は休車となった後に伊賀鉄道へ譲渡。その後、直通運用が減少したため、廃車となり、先頭車2両が伊賀鉄道へ譲渡。中間車6両は搬出、解体処分とされた。
結果的に、1010F・1011Fの両先頭車が伊賀鉄道へ譲渡されたことになる。
- 池上線・東急多摩川線
1000系1500番台
2014年2月、総合車両製作所から旧1003Fのうちクハ1003-デハ1203-クハ1103の3両が改造を受け出場し、503-1603-1703の新車号を付番され、従来の赤帯が剥がされた状態で甲種輸送された。
現在判明している主な改造内容・仕様は以下のとおりである。
- 行先表示機を白色LED化・運番表示機を3色LED化
- 前面種別幕を封鎖して新たに車号を幕窓に標記
- 1600形にシングルアームパンタグラフを2基設置(新規取り付け方はヒューズ箱が1個)
- VVVFインバータを新7000系同等の物に交換(主電動機は従来品を継続使用)
- 内装の木目調化・座席モケットの交換(新7000系同等の色合いに)
- 放送装置・運転台など乗務員室関連機器の一部が新7000系同等仕様に交換
- 車内案内表示機は種車通りの2段式3色LED表示機を使用
- 行先設定装置は2014年3月に改修された1000系各編成と同様の機器であるが,到着番線は7000系同様に指定が可能(客に案内は為されない)
その後、長津田検車区内において従来の帯位置に新7000系同等の色合いの濃淡の緑帯の貼り付け・客用扉の戸袋に三日月状の濃淡の緑の帯の貼り付けが実施された。
1001F・1004Fからの改造車も長津田に到着後やはり同等の帯の貼り付けが行われた。
その後、3月中に終電後の田園都市線長津田~中央林間間において1503Fを用いた深夜試運転を実施したのち、4月6日にやはり終電後の深夜に7500系牽引の上で1503Fが長津田工場に回送、定期検査を通り4月17日に出場、今度は通常の「デヤサンド」状態で雪が谷検車区まで回送された。
現在は池上線・東急多摩川線内で営業運転に就いている。
現車登場直後はこれらの改造車について公式発表が一切なく、「1500系」という別形式なのかあるいは「1000系1500番台車」の扱いなのかも不明であったが、各種趣味誌などで「1000系1500番台」が使用されたため、新形式では無く1000系1500番台とされたことが判明した。(運転マニュアル等で確認出来るように運転車両部内では「1500系」として扱われているようだ)
2015年12月7日に営業開始した1502Fをもって、東横線で使用されていた1000系(1006F・1010F除く)の1500番台化改造が終了した。
関連動画
関連項目
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