東急7500系とは、2012年2月に落成した東急電鉄の事業用車両である。
愛称は「TOQ i」
概要
これまで、東急電鉄では軌道・架線・通信設備の点検に、7200系アルミ試作車を改造したデヤ7200・デヤ7290(通称「派手車」)と、後に追加製造されたサヤ7590の3両を用いてきた。
しかしながら、前者2両は製造から40年以上が経過し、老朽化が目立つようになっていた。
そこでこの2両の代替用として製造されたのが本形式である。
当初、既存車両の改造(1000系?)も検討されたが、運転台追設や観測ドーム設置などの大規模改造の必要性や新製車と比べてランニングコストが不利である、との観点から、結局新造することで決着がついた。
なお、新製に当たっては営業車との部品共通化を図り、製造費用の削減や機器取扱いの共通化を図っている。
いずれも18m級のオールステンレス車両であり、7000系が設計のベースとなっている。
外板溶接の一部に東急の車両としては初めてレーザー溶接を採用し、密閉性の向上を図っている。
2両とも両運転台構造であり、前面形状は中央に貫通扉を設置した3面折妻構造となっている。
なお、連結時も先頭に出るデヤ7500の上り方・デヤ7550の下り方の全面下部には5000系7次車以降とほぼ同等の排障器が設置されている。
外観は東急のコーポレートカラーである赤をベースに、デヤ7500は「精密」をイメージした青、デヤ7550は「電気」をイメージした黄色をモチーフとして採用・矢のように流れるシャープなデザイン(東急の中の人談)としている。
なお、各車両片面につき1か所ずつ側引戸を設けているが、ドアエンジンは搭載しておらず自動開閉はできない。
なお、各車片側1代ずつ車外スピーカーを設置しており、乗務員室から車外に放送することができる。
前照灯には東急で初めてLEDを採用した(日本全体でみても東京メトロ1000系に続き2例目である)。
この前照灯はわずか1チップのLEDしか使用していないが、思った以上に明るい。
なお、連結時に中間に入る側の全面下部には作業用のLED照明が設置されている。
パンタグラフは両車ともシングルアームパンタを2台ずつ搭載し、デヤ7550の下り方パンタは検測機能を兼ねている。
また、デヤ7550は架線検測用の検測ドームを設置し、その部分は低屋根構造とされた。
列車無線アンテナは各乗務員室用に各車2代ずつの他、デヤ7550に検測用のアンテナと将来のデジタル列車無線対応用に2台の合計3台が設置されている。
連結器は池上線・東急多摩川線用車両の入出場回送にも利用されるため、5000系列の物ではなく従来車と同じNCB2を使用している。
主制御装置は、7000系同様、補助電源一体型のVVVFインバータ制御とされ、SIV故障時はVVVF2群のうち1群をSIVに切り替えて使用する。
主電動機は東急として初めて全閉式(密閉型)の物を採用。騒音の低減とエネルギー効率の向上を図った。
出力は3000系以降標準となっている190kWhである。
なお、起動加速度は3.3km/h/sとなっている。
各種制御指令にはTIS(車両情報装置)を使用するが、1両単行・2両編成・サヤ7590を組み込んでの3両編成、7600系・7700系・1000系を挟んでの5両編成と組成が大きく変わるため、編成形態切り替えスイッチを設けた。
なお、雪が谷検車区所属車の回送時は指令読み替え装置を介して力行・ブレーキの指令をやりとりする。
室内は白色を基調としていて、跳ね上げ式の3人掛け腰掛が各車4台設置されている。
なお、各種検測機器の近くには乗務員室との連絡用インターホンを設置している。
ATC-P装置・東急ATS装置・情報伝送装置・蓄電池・空調装置は室内設置となっている。
運転台は5050系の物(副都心線直通対応改造前と思われる)がベースとなっているが、中央貫通構造となっているためスペースが狭く、TISモニタ画面は運転台の右斜めに置かれている。
なお、当然のことながらワンハンドルマスコンを採用している。
前面にフルカラーLED式の行先表示を搭載する。デヤ7200・7290とは違い運番表示機(3色LED)も搭載する。
行先表示といっても、基本的には「試運転」「回送」以外の文字を出すことはまず無く、それ以外の表示を出せるのかも不明である。
沿革
- 2012年東急車輛製造にて落成。
- 2月29日:東京急行電鉄に搬入。
- 3月4日:田園都市線長津田駅にて「新総合検測車 TOQ i デビュー記念きっぷ」が発売される
ちなみにこの記念きっぷには体験乗車or撮影会に参加できる応募はがきもついている(抽選) - 4月14日:デビュー記念セレモニー&体験乗車実施←体験乗車とかもう二度と乗せないだろw
- 4月15日:長津田車庫にてデビュー記念撮影会実施。
- 5月6日:公開試運転実施。(田園都市線中央林間~鷺沼間)
運用
本格運用開始後は、従来の7200系事業用車と同様主に東急各線の検測運用と池上線・東急多摩川線の車両の入出場回送(7000系を除く)の際に使用されると思われる。
関連動画
関連商品
本格運用開始までしばらくお待ちください・・・
・・・といっても事業用車を商品化するのか?
関連コミュニティ
関連項目
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