東方EUROBEATとは、東方Projectの楽曲をEUROBEAT(別名:ユーロビート、ユーロ)としてアレンジしたもの。またはそれを取り扱う動画につけられるタグである。
概要
80年代ではディスコ・ブーム、90年代ではavexのコンピレーションアルバム「SUPER EUROBEAT」(以下:SEB)によって一世を風靡したEUROBEATは、流行が過ぎ去った現在もなお根強いファンを持っている。東方のアレンジャー界隈の中にも当時のEUROBEATリスナーが存在しており、彼らの中から東方アレンジを通じて自分たちの時代のEUROBEATを再現しようと試みる者が現れた。
そうして生まれたものが東方EUROBEATである。
さらには音ゲーに収録されているユーロ楽曲、EUROBEATをBGMとして採用したアニメ「頭文字D」、2000年代以降も続いているSEBシリーズ(現在Vol.230以上)などの影響を受けた若年層のリスナーをも巻き込み、現在では多くの愛好家とアレンジャーを抱えている。
アレンジャーの中には本家SEBに楽曲を提供したことのある人物も数名存在し、東方EUROBEATのリスナーには東方ファンだけでなく、彼らをきっかけに東方アレンジを聴き始めたEUROBEATファンも多い。
歴史
東方アレンジが盛り上がり始めた初期(2007年)には同人サークルSOUND HOLICが「No Life Queen」、「Drive my Life」といったNana Takahashiが歌う英語歌詞のユーロアレンジを製作し、人気を集めていた。
その後、SOUND HOLICのメンバーとしてEUROBEATを手掛けていたELEMENTAS(「No Life Queen」、「Drive my Life」のアレンジャー)が独立したサークルA-Oneを結成し、2010年にSEBを意識したコンピレーションアルバム「TOHO EUROBEAT VOL.1」を発表。すでに高い評価を受けていたELEMENTASと東方界隈で有名なゲストアレンジャー・ヴォーカル陣、本家SEBでのデビューを果たしたアメリカ人歌手T.Stebbins、秋葉工房のDJ Commandらの東方ユーロでの共演は好評を博した。
ELEMENTAS脱退後のSOUND HOLICも、Nana Takahashiの歌うEUROBEATアレンジの製作を続け、「サンホリユーロ」との代名詞で呼ばれ、人気を保った。
また、同年には人気ヴォーカル3L擁するNJK Recordによるアルバム「TOHO EURO FLASH Vol.1」(全曲アレンジャー:DJ Command)が頒布され、「TOHO EUROBEAT」とはまた一味違ったEUROBEATを見せた。
2011年末にはEUROBEATを含めたダンスミュージック全般を手掛ける同人音楽サークルDiGiTAL WiNGが登場。
2013年、多くの同人サークルにEUROBEAT楽曲を提供してきたDJ Command、FN2の両名によってEUROBEAT専門サークルEurobeat Unionが結成され、オリジナル曲と東方アレンジの両面で活動を開始した。
2015年には秋葉工房社長DJもっちーが同人サークルCrazyBeatsを結成。
同年末、「TOHO EUROBEAT」シリーズのノンストップリミックスをY&Co.のDJ BOSSが担当した。DJ BOSSはSEBの始まりにも関わっているEUROBEAT界では知らぬ者はいない程の有名人であり、そんな大物が同人CDにゲスト参加したという事実は界隈に大きな衝撃を与えた。
そして2019年12月、あの「頭文字D」とまさかのコラボレーションが実現。レースゲーム「頭文字D Arcade Stage Zero」にて、2019/12/12から期間限定イベントで東方ユーロビートアレンジが使われることが決まった。
主なサークル・作家・関係者
SOUND HOLIC
初期から活躍する有名同人音楽サークル。略称はサンホリ。ELEMENTAS脱退後はGUCCIとSHUがユーロアレンジを手掛けている。最近では「幻想あ・ら・もーど」シリーズも手がけるMaskaleidoも加わった。(2017年からはMasKaleidoが担当)ユーロのヴォーカルは以前から一貫してNana Takahashiであることが多い。「サンホリユーロ」も変わらず愛されている。2016年からDJ Command(後述)がゲスト参加し、2017年からは冬コミにEUROBEAT HOLICシリーズというアルバムを出している。SOUND HOLICの過去曲のユーロビートリミックス×ノンストップミックスアルバムであり、2017年の「EUROBEAT HOLIC」はあのDJ BOSSがノンストップミックスを担当した。2018年の「EUROBEAT HOLICⅡ」からはDJエフェクト・繋ぎなしのシンプルなノンストップアルバムとなったが、リミックスでZYTOKINEの隣人が参加。(隣人彼自身が担当した曲のセルフリミックスを担当)なんとSOUND HOLICでは初となるCYTOKINE兄弟参加アルバムとなった。(兄の蒲焼鰻はジャケットイラスト担当)
代表曲(YouTube)
詳しくは「SOUND HOLIC」及び「Nana Takahashi」の記事を参照。
A-One
ELEMENTASと同じく元SOUND HOLICのYassieによって結成された同人音楽サークル。このサークルの「TOHO EUROBEAT」シリーズに言及せずに東方ユーロを語るのは難しい。もともと実力派のA-Oneメンバーと豪華ゲストで織りなすEUROBEAT楽曲群のクオリティに定評がある。そのゲストメンバーはDJ CommandやFN2、Tsukasa、すみじゅん、T.Stebbins(Odyssey Eurobeat)等。その名は一般のユーロ界まで届き、なんとDJ BOSSの耳にも入っていた。実はユーロ以外のジャンルの楽曲も扱っている。ヴォーカリストは、あき、Rute(旧:越田Rute隆人)、Shihori、AXEL.K等。2021年稼働のアーケードレースゲーム「頭文字D The Arcade」では全BGMをA-Oneが担当した。
代表曲
詳しくは「A-One」の記事を参照。
NJK Record
にじかわひかるを代表とする同人サークル。3Lの過去の楽曲の再アレンジやユーロアレンジを手掛けている。こちらも有名なヴォーカルである坂上なち(記事が存在するので参照)のCD参加も多い。「TOHO EURO FLASH」シリーズは現在「Vol.2」。ここ数年程新譜がないが、即売会にもしっかりと参加しているので活動停止というわけではない。(最近では3Lの他サークル参加曲をまとめたベストアルバムをリリース)一部で根強い人気を誇り、次回作の「Vol.3」を望む声も多い。詳しくは「NJK Record」の記事を参照。
3Lが他サークル(SOUND HOLICなど)にゲスト参加する際は「3L(NJK Record)」と表記されることが多い。3L個人も実はコアなSEBリスナー。「TOHO EUROBEAT」にも数回ゲストとして参加している。詳しくは「3L」の記事を参照。
上述している頭文字Dとのコラボで、使われるBGMがこのサークルのユーロビートアレンジとなる(その後、SOUND HOLICとEurobeat Unionのアレンジも使用された)。
秋葉工房
同人サークルではなく株式会社。社長はDJもっちー。DJ CommandやTsukasa、valle blancoが所属している(全員コンポーザー及びアレンジャー)。アニソンのユーロリミックスを手掛けるほか、歌い手と共に楽曲を製作販売している。所属のコンポーザーたちが多くのサークルでゲスト参加し、かなりの曲数のユーロアレンジを製作している。「TOHO EUROBEAT」シリーズも例外ではない。東方EUROBEAT界の縁の下の力持ち。詳しくは「秋葉工房」の記事を参照。社長は同人サークルCrazyBeats(後述)を立ち上げ、DJ Commandは……
Eurobeat Union
これを立ち上げてしまった。メンバーはFN2(SEB楽曲提供経験あり)他。こちらはれっきとした同人サークルである。A-Oneが他ジャンルも扱うのに対し、こちらは完全にEUROBEAT専門。FN2もDJ Command同様以前から多数のサークルでEUROBEAT楽曲を提供している。自らのサークルを立ち上げてもなお依頼も提供も減ることはない。非常に精力的に活動している2人である。DJ Commandはゲストであるにもかかわらず「TOHO EUROBEAT」シリーズ皆勤賞である(番外編も含め)。ユーロを広めるためなら自らの音色素材をばらまくことだってやってのける。東方EUROBEATの話ではないが、毎年秋に開催される同人コンペ「大陸間ユーロ武道会」主催。歴代の優勝者の中はsato.やHASEKO、nmk等。入賞者の中にはこのコンペから有名になった人も少なくない。こちらも東方EUROBEATの話ではないが、2019年にはDJ CommandはDave Rodgersとコラボし、彼が歌った曲2曲の作編曲を担当。FN2はギャル雑誌eggに楽曲提供を行った。そして2020年、Eurobeat UnionはあのSUPER EUROBEAT発売元のavexとコラボしてしまった。頒布CD「ユーロバカ一代」シリーズにはオリジナル曲と東方アレンジの両方が収録されている。
*この動画のユーザーのBenzeneはDJ Command。
詳しくは「Eurobeat Union」の記事を参照。
CrazyBeats
前述の通り、秋葉工房元社長DJもっちーが立ち上げた同人サークル。その他、秋葉工房からのメンバーとしてTsukasa等。代表シリーズは「頭文字Tシリーズ」で、その中でも花たんの歌う「夜乃風車」は界隈で人気が高いようだ。参加ヴォーカリスト全員が女性なのも特徴(なんと現役のアイドルもいる)。最近ではEDMのアルバム「TOHO DANCE PARTYシリーズ」もリリースしている。
代表曲(YouTube)
DiGiTAL WiNG
ダンスミュージック全般を手掛ける同人音楽サークル。代表はkatsu。頒布するCDにはほぼ1、2曲ほどゲストのEUROBEATが収録されているほか、katsu自身も「TOHO EUROBEAT」ではゲストとして度々ユーロアレンジを手掛けている。ハイパーテクノのノンストップである「RAVER'S NESTシリーズ」も有名。ハイパーテクノでの代表曲に「Paranoia」「Anomaria」「O-one de Circuit」等がある。
この曲はEUROBEATではなくハイパーテクノであるが、Eurobeat UnionのFN2が編曲を担当。
詳しくは「DiGiTAL WiNG」の記事を参照。
Halozy
すみじゅんを代表とする同人音楽サークル。「物凄いシリーズ」で有名。すみじゅんもまたダンスミュージックを得意分野としており、EUROBEATも頻繁に作っている。「TOHO EUROBEAT」にもゲスト参加している。詳しくは「Halozy」の記事を参照。
T.Stebbins (Odyssey Eurobeat)
アメリカ合衆国カリフォルニア州出身・在住のミュージシャン。SEBで4曲歌っている(そのうち2曲は頭文字D提供曲)ほか、インディーズでもEUROBEATやEDMを製作している。SEBでのメジャーデビューと「TOHO EUROBEAT」参加は同年の出来事。同人ユーロでは珍しく、作曲(アレンジ)・作詞・歌のすべてを高いレベルでこなす。「TOHO EUROBEAT」シリーズはほとんど毎回参加しており、彼の曲を楽しみに「TOHO EUROBEAT」を買う人も少なくない。また、TOHO EUROBEAT以外ではOdyssey Eurobeat名義で東方アレンジを3曲出している。ちなみに彼は、「電車でD」(地主一派制作の同人ゲーム)と「頭文字D」両方で歌唱経験あり。
詳しくは「T.Stebbins」の記事を参照。
Sugano (SuganoMusic)
同人音楽サークルSuganoMusic代表。SEB楽曲提供経験あり。地主一派制作の同人ゲーム「電車でD」のBGM担当のひとり(すがっち名義)。ユーロビート界期待の新人T.Stebbinsを日本の同人界に引き込んだ張本人。ELEMENTASにT.Stebbinsを紹介したのも彼。過去に頒布していた「東方EurobeatArrangeシリーズ」ではORANGE★JAMのRenkoも参加していた。
詳しくは「SuganoMusic」の記事を参照。
TTL (TTL SOUND)
元々からオリジナル路線で活動していた同人サークルであるが、2016年に「東方EUROBEAT PARK」をリリースし、東方アレンジデビュー。東方アレンジでの代表曲は「闇色ベルベット・ナイト」(U.N.オーエンは彼女なのか?のアレンジ)。哀愁ユーロビートを得意とし、オリジナル方面ではSuganoMusicを始めとするゲストが多数参加した「哀愁EUROBEAT SPECIAL COMPILATIONシリーズ」を2018年-2020年でリリース。2020年にはSuganoMusicとのコラボアルバムをリリースした。
K2E† Cradle
DJの壬琴とVocal担当のつぅによる同人サークル。歌唱はほぼつぅ一人で、アレンジャーがゲスト参加なのも特徴。そのアレンジャーがnmk、HASEKO、Suganoといった同人ユーロビートでもお馴染みのメンバーはもちろん、Eurobeat UnionのDJ Command・FN2、Halozyのすみじゅんといったメンバーも参加している。2019年から頒布しているTOHO EURO TRIGGERシリーズでは前述のメンバーの他、Tsuyo-Bや鍋谷卓摩といったメジャー路線で活動しているクリエイターも参加している。
DTXFiles.nmk
BMS方面やSuganoMusicやEastNewSound(緋色月下、狂咲ノ絶で有名なサークル)等で活動するnmkの個人サークル。「東方MiracleEurobeat」シリーズをリリースしている。余談であるが彼はSuganoMusicで歌唱も担当することがある。詳しくは「nmk(BMS)」を参照。
HASEKO(ちょこふぁん)
SuganoMusicやADVANCE等の複数サークルで活動しているコンポーザー。2016年から東方アレンジを手掛けており、Eurobeat Unionの大陸間ユーロ武道会での優勝をきっかけにコンポーザーとして活動開始。2019年にVoのすばると共に自身のサークル「ちょこふぁん」を発足させ、ボーカルアレンジを手掛けるようになった。
2021年にはなんと、東方虹龍洞のボーカルアレンジ曲を虹龍洞が頒布された日(体験版・製品版共)に手掛けるという離れ業を行った。東方アレンジサークル界隈全体で見ても史上最速のボーカルアレンジと言え、令和時代の東方アレンジ界隈を牽引する可能性がある、今後注目のサークルと言えるだろう。
sato. (dot shock.)
リミキサー。Eurobeat Unionの大陸間ユーロ武道会で3回連続優勝、4回優勝した経験を持つ折り紙付きの実力を持つ。通称「チャンプ」。東方EUROBEATで主に活動する数多くのサークルにDJ向けのRemix(EDITと呼ばれる)やノンストップミックスを提供している。2020年にはSUPER EUROBEATとEurobeat Unionとのコラボの一環としてavexからメジャーデビューを果たした。また、同年10月には自身初となる同人サークル「dot shock.」を立ち上げ、初のセルフプロデュースアルバムとして「Euro Break -Non-Stop Revolution Mix-」をリリースした。
詳しくは「sato.」を参照。
いぬみぎさうんど
2019年活動開始。いぬみぎとkeiによる同人サークル。いぬみぎはEurobeat Unionの大陸間ユーロ武道会で2位を獲得した経験あり。東方アレンジを主に制作している。
ShinkoNet/Netcavy Records
オーストラリアのコンポーザー。東方風アレンジやユーロビートが有名。「Akyu's Untouched Eurobeat」を代表シリーズに持つ。Eurobeat Unionの大陸間ユーロ武道会でも入賞、K2E†Cradleに楽曲提供等も行っている。
高梨工房
シンガポールのDJ Timotei、カナダのRyuko Pegasasuらが中心となって活動している海外サークル。2019年冬から活動開始と歴史は浅いが、高梨工房の東方EUROBEATアルバムである「TOHO EURO MISSION」シリーズにはEurobeat Unionで歌唱経験ありの薛南・MasD'a (別名義にMaria♂Polo・DIABLO=MESSIAH等)、A-Oneの「TOHO EUROBEAT」で歌唱経験ありの0P2C、SuganoMusicで歌唱経験ありのAnthony McBazooka等豪華メンバーが参加している他、なんと日本を含め9ヶ国以上のメンバーで作り上げられたまさに「国際派」なユーロビートアルバム。高梨工房は前述のCrazyBeatsにも注目されており、CrazyBeatsのアルバムに高梨工房のメンバー、Slothingtonが参加したこともある。そして「TOHO EURO MISSION 03」ではCrazyBeatsとコラボ。CrazyBeatsからはTsukasa、BeatChargerがアレンジ参加、DJもっちーが作詞参加、NAGISAがヴォーカル参加した。
代表曲(YouTube)
もぱた。
ユーロ系同人サークルで広く活動するヴォーカリスト、橘花音が代表を務める同人サークル。東方ヴォーカルアレンジに定評があり、百合系ヴォーカルアレンジ「lily Story」シリーズは有名。
May Be Us(メビウス)
音楽サークルではなく、東方EUROBEATにパラパラの振り付けを付けることを中心に行っている同人サークル。前述のK2E†Cradleの関連サークルである。(K2Eの代表、壬琴が主催するイベント、灯幻舞や東方舞踏館にも参加している)
パラパラのクオリティは高く、ただパラパラを行うだけでなく、東方Projectを意識した振り付けに定評がある。
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