東葉高速鉄道とは、東葉高速線を運営する第3セクター鉄道の鉄道会社である。本社は千葉県八千代市。
概要
東葉高速鉄道が保有する鉄道線は東葉高速線のみである。車両基地は八千代緑が丘駅近くの八千代緑が丘車両基地にあり、本社も八千代緑が丘駅近郊の高架下にある。
営団地下鉄(現:東京地下鉄株式会社)の東西線の延伸として営団地下鉄勝田台線として計画されたものの、オイルショックや成田空港での開業の遅れが影響したこと、東京都内から大きく離れることが影響したのか営団地下鉄が計画を取り下げたことで、地元の声もあり第三セクター鉄道として建設が決定し1981年9月1日に東葉高速鉄道株式会社が設立され、1984年に建設が着工し、1996年4月27日に開業し東葉高速鉄道線の営業を開始した。
東葉高速線は千葉県船橋市の西船橋駅と八千代市の東葉勝田台駅間を結んでおり、ほぼ全ての列車が西船橋駅から東京メトロ東西線に直通運転をしており、JR中野駅(中央緩行線)まで直通しているが、一部の編成(東京メトロの車両のみ)ではJR三鷹駅(同様に中央緩行線)まで運転している。遅延などで東京メトロとの直通運転が停止された場合は、西船橋駅で折り返し運転となる。
東西線は駅間が長く、ルートも直線的なので、千葉から都心へ向かう路線としては速くて便利である。この人気路線と直通しているお陰で東葉もそれなりに便利な路線として認知されている(通勤ラッシュでも東葉高速線内ではそこそこ空いている)が、一方で今まで京成線を利用していた層を東西線に流し込み、東西線の殺人的混雑をさらに悪化させる要因にもなっている。
開業当初は八千代市の周辺自治体(佐倉市や四街道市)から東葉勝田台駅からJR佐倉駅やJR四街道駅への延伸の声があったものの、2019年現在は東葉高速鉄道の経営環境や長期債務負担の苦境から延伸の声は下火となっている。
かつては東葉快速として東葉高速線内を快速運転する種別があったが、通過駅の需要が増えたことで現在は廃止されている。停車駅は西船橋、北習志野、八千代緑が丘、東葉勝田台であった。
運賃・経営環境
運営している東葉高速線は営業キロあたりの単価が割と高い路線である(JRの電車特定区間運賃の約2.5倍)。首都圏エリア内の主要な通勤路線としては、2019年現在も最も運賃が高い。
ただし、直通先の東京メトロの運賃が安かったり、並行路線の京成線で都心を目指す場合は乗換が必要になるユースケースが多く、都心まで乗るなら運賃は中の上程度で済む。
これは、ただでさえバブル景気の時代に建設時期が重なったため土地が高騰した時期にあたること、そして千葉県の収用委員会が成田闘争などの影響により機能しておらず、地主がごねて路線用地の取得に多額の費用がかかったうえに、手抜き工事でさらに開業時期が延期されることにより着工から開業まで12年かかることで費用がさらに上乗せされるなど建設費用が多くかかってしまったからである(建築施工は鉄道公団(現:鉄道建設・運輸施設整備支援機構))が担当し、費用負担は東葉高速鉄道が担っている。)。
開業費用が当初の予定よりはるかに上回ったことで、運賃が高くなり(特に定期外の)利用者が伸び悩み収益も予定通りとならず、厳しい運営状況となっている。
開業6年後の2002年から60年分割で鉄道建設費3247億円を長期借入金(うち93.3%が有利子で無利子は6.7%ほど)として返済しており、有利子の長期借入金の支払い利息(利子)も1%で毎年約30億円(元本が減るごとに利子も低減する元金均等返済)を支払うことになっていたが、長期借入金(有利子分)が莫大で当初は利子も膨大過ぎて払えず累積赤字が膨らんでいた。
営業黒字は達成できており、東京地下鉄や千葉県・船橋市・八千代市など周辺自治体の支援(利子補給・出資に伴う前倒し返済での利子低減と内部留保の積み上げ)、駅構内のCMドラマ、映画などの撮影の積極誘致による利用料の本業以外の利益や沿線の開発に伴い利用者も増え、売上高と営業収益が増えたことで、2010年に経常黒字と税引き後最終黒字も達成して経営改善は進んでいる。
しかし2018年度現在でも総資産額が総負債額を上回る債務超過状態(88億円程度)は続いており、累積赤字が714億円あるほか、長期債務が2547億円があり、営業利益は増加傾向かつ近年最終利益が20数億程度で進んでいることから債務超過も数年内で解消する見込みではあるものの、市場金利の上昇により債務・利子返済の影響により2030年代半ばに内部留保資金がなくなり運転資金がショート(不足)する予測もされているなど厳しい経営状況は続いている。
建設費の返済が完了するのが平成74年度(2062年)は2019年現在では43年後となっているため、依然として、鉄道建設・運輸施設整備支援機構に、償還期限の大幅延長と周辺自治体の利子補給制度などの支援を求めているのが現状であり、しばらくは運賃の高止まり状態は続きそうである。
2017年に当選した八千代市の市長は、東葉高速鉄道の運賃低減を公約として当選したが、東京メトロ東西線と直通運転するなど歴史的に縁深い東京地下鉄株式会社(東京メトロ)との合併、そしてその後八千代緑が丘車両基地への車両基地の集約による既存の車両基地の売却益による借入金の前倒し返済による運賃低減を目指して関係各所へ働きかけている。しかし、東京メトロは上場を第一に考えている他東京メトロのメリットが薄く、交渉がうまくいっているとはいえないのが現状である。
東葉高速鉄道線 路線図
列車種別
快速:東西線内西船橋~東陽町間で快速運転
通勤快速:東西線内西船橋~浦安間で快速運転
各駅停車:全区間で各駅に停車
駅番号 | 駅名 | 所在地 | ■のりかえ ○周辺施設 |
---|---|---|---|
TR-01 | 西船橋駅 にしふなばし Nishi-Funabashi |
船橋市 |
東京メトロ東西線 相互直通運転 (最大でJR中央線三鷹駅まで直通) ■JR東日本 中央・総武線各駅停車 ■JR東日本 武蔵野線 ■JR東日本 京葉線 |
TR-02 | 東海神駅 ひがしかいじん Higashi-Kaijin |
||
TR-03 | 飯山満駅 はさま Hasama |
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TR-04 | 北習志野駅 きたならしの Kita-Narashino |
■新京成線 | |
TR-05 | 船橋日大前駅 ふなばしにちだいまえ Funabashi-Nichidaimae |
○日本大学理工学部船橋キャンパス | |
TR-06 | 八千代緑が丘駅 やちよみどりがおか Yachiyo-Midorigaoka |
八千代市 | ○イオンモール八千代緑が丘 |
TR-07 | 八千代中央駅 やちよちゅうおう Yachiyo-Chūō |
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TR-08 | 村上駅 むらかみ Murakami |
○フルルガーデン八千代 | |
TR-09 | 東葉勝田台駅 とうようかつただい Tōyō-Katsutadai |
■京成本線 |
東海神駅〜飯山満駅間に新駅を設置する計画がある(2026年度末開業予定)。
運用車両
自社車両
他社車両
関連動画
関連項目
- 鉄道事業者・路線一覧
- 東京メトロ東西線
- 千葉県
- 第三セクター
- 日本鉄道建設公団(当路線の建設を担当している。)
関連リンク
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