栄光のル・マン(原題:LE MANS)とは、1971年にアメリカで公開された、ル・マン24時間レースを描くカーレース映画である。同年に日本でも公開されている。
概要
主演のスティーブ・マックイーン自身が率いる制作会社、ソーラー・プロダクションによる制作費600万ドルの映画である。その製作動機は、なによりもマックイーン自身のレースへの情熱に有り、人間ドラマよりもカーレースそのものの魅力を描き出すというものであった。当初は、エンターテイメント性を重視する監督と対立し、彼を更迭する事態になったりした。結果として、素晴らしいレースの迫力と情感を描き切った作品となったが、アメリカ本国では興行的には成功しなかった。だが、日本においてはヒットし、ル・マン24時間レースの知名度アップと国内からのメーカーやチームの参加を促す切っ掛けとなった。
ストーリーとしては、1970年のル・マン24時間レースの史実を絡めながら、ポルシェワークスとフェラーリワークスの対決を描く。その中でマックイーン演じるポルシェのエースドライバー、マイケル・デラニーとその周辺での様々な人間模様も描かれていく。
上述の通り、この映画のキモは実在のレーシングカーが特撮無しで爆走する場面を満喫できることにある。
主人公側のポルシェ917K、そしてライバル側のフェラーリ512S、またその他のモブレーシングカーたち。全て実際にレースで使われたモノホンである。ただし、クラッシュするマシンだけは中古のレーシングカーにレプリカボディを被せて無人操縦で撮影された。1970年の実際のレースを撮り、これらと別撮り映像を巧みに組み合わせて見事な臨場感を出してみせた。
現代のような小型の車載カメラが無かった時代に、これだけの迫力ある映像を実現させただけでも、この映画の価値はあったと言えるだろう。F1がテーマの『グラン・プリ』とあわせて、レース映画の歴史に残る作品なのは間違いない。
ただ、マックイーンは最初F1の映画をやりたかったけど、その『グラン・プリ』があったのでル・マンを舞台に変更したのは秘密である。
登場人物
- マイケル・デラニー 演:スティーブ・マックイーン
ポルシェのエースで、20号車のドライバ-。去年の同じル・マンで事故に遭い、その時に相手のドライバーであるフェラーリのピエロ・ヴェルジェッティを死なせることになってしまった。心にその事故への引っかかりを残したまま、彼の未亡人であるリサへの複雑な思いを胸にフェラーリのエース、エーリッヒ・ストーラーと対決してゆく。 - リサ・ヴェルジェッティ 演:エルガ・アンデルセン
去年のデラニーが絡んだ事故で、夫を失った未亡人。それにも関わらずレースの現場に現れ、デラニーと言葉をかわすことになる。 - ヨハン・リッター 演:フレッド・アルティナー
ポルシェ21号車のドライバー。危険なレースへの情熱を失いつつ有り、妻との時間を大切にするためにこのル・マンを限りに引退を決意する。なお、史実のレースでは実際に優勝したポルシェ23号車のドライバーの一人、ハンス・ヘルマンがそれを契機に家族のために引退を選んでいる。 - ラリー・ウィルソン 演:クリストファー・ワイト
ポルシェ22号車のドライバー。チームでは若手であり、経験はまだ少ない。 - ポール=ジャック・ディオン 演:ジャン=クロード・バーク
ポルシェ22号車のドライバー。同車のスターティング・ドライバーを務める。 - エーリッヒ・ストーラー 演:ジークフリート・ラウヒ
フェラーリ8号車のドライバー。フェラーリのエースでデラニーのライバル。 - クロード・オーラック 演:リュック・メランダ
フェラーリ7号車のドライバー。
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関連項目
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