『桃太郎伝説』とは、ハドソンから発売されたファミコン用RPGである。発売日は1987年。『ボンバーキング』『ファザナドゥ』と共に、「マル超シリーズ」の一本として売り出された。
概要
記念すべき桃太郎伝説シリーズの1作目。構想そのものは『桃太郎電鉄』の方が先であったが、「まず一本作ってみないか?」というハドソンの提案をさくまあきら氏が受け入れ、本作の制作がスタートした。
しかしさくま氏にはRPG製作のノウハウが全くなく、当時広告代理店に勤務してハドソンを担当していた桝田省治氏を強引に製作に参加させ、ついに完成にこぎつけたというエピソードがある。
導入部分・大筋は御伽噺「桃太郎」のものだが、他の物語(金太郎・浦島太郎・かぐや姫他多数)なども混ざっており、それらの登場人物も出てくる。
登場する敵も鬼だけではなく、妖怪や動物も出てくる。倒すと「○○をこらしめた」と表示される。
当時のコンピューターRPGはファンタジー作品が多かったため、この作品の世界観は珍しく人気を博した。のちにシリーズ化される。
基本的にギャグやパロディが多く、「微笑みの大地」では名前と容貌が明らかにおかしい敵や、その地にある「微笑みの村」では当時人気のあったドラクエのパロディまで出てくる。
和風な世界観のため、レベルは段(最大45)、HPは体力、MPは技(体力/技の数共に最大255)、経験値は心の数と表示される。他にも年齢があり、最初は6歳から始まり時間の経過と共に年を取っていく。
また呪文の代わりに「術」が登場する。これは各地にいる仙人の元へ行き、修行に耐えることで身に着けることができる(一定のお金を払う事で覚えられる術もある)。
バックアップ機能はなく、「天の声」というパスワードを用いている。
ちなみにファミコン版の移植作としてX68000版桃太郎伝説がある。
移植作なのでファミコン版と基本的には同じだが、グラフィックや音質の向上があったり、データの記録方法は「天の声」ではなくセーブ方式のバックアップだったり、福の神のクイズに正解した時に「ピンポン」と効果音が鳴ったり、ファミコン版での那由他の仙人のふゆうの術が簡単に覚えられる方法等いくつかのバグが取り除かれているなど細かな違いがある。
リメイクとアニメ化
PCエンジンで『桃太郎伝説ターボ』という名前でリメイクされた。パスワードの天の声はそのままだが、外部記憶装置(天の声2)を使用するとセーブが可能になる。
さらにGBCにて「ターボ」と続編の『桃太郎伝説Ⅱ』を一つにした『桃太郎伝説1→2(1から2)』も発売されたが、文字の表示速度が変更不可・移動速度が遅い・メニューを開く/閉じる際に一々暗転が発生する等の問題点があるため評価は宜しくない。
また計二作アニメ化されている。『桃太郎伝説 PEACHBOY LEGEND』として1989年10月から一年間放送され、その後宇宙を舞台にした続編『PEACH COMMAND 新桃太郎伝説』が半年間放映された。ちなみに、アニメ版を制作したナックは、この作品を最後にテレビアニメの制作を撤退した。
アニメオリジナルのレギュラーキャラとして「龍神太郎」が登場する他、オリジナル要素として、戦闘時に桃太郎たちが「変化テクター」と呼ばれるプロテクターを身につけるという設定がある。当時流行していたクロス物の流れを汲んだとされる(鎧伝サムライトルーパーに影響されたとの事)が、その姿はどちらかと言えば(同じく当時主流だった)SDガンダムに似ている。中盤からはお伴の動物と合体することでさらにパワーアップし、「新」ではよりヒロイックな「Gメタル」が登場した。
タカラ(現タカラトミー)から桃太郎と金太郎の変化テクター着脱フィギュアが発売されたほか、童友社から変化テクターとGメタルのプラモデルが発売された。成形色が滅茶苦茶なのはご愛敬。
なお、第一期「桃太郎伝説」のほうは51話中24話までしかビデオ化されていない。
(アニメ部分はWikipediaより)
2010年に全51話を収録したDVD-BOX2巻が発売されるというニュースがありファンの間で話題になったが、販売会社が発売前に倒産(正確には民事再生法適用)したため発売中止となってしまった。
(さくまあきら氏によると、販売を予定していた会社は、版権元に許可を取らず勝手にDVD化して販売しようとしていたらしく、もし発売されていたらされていたで権利関係がややこしくなっていた可能性があるらしい。)
作画崩壊が話題に上がる事が多いナックだが本作は全体的に平準的なクオリティが保たれており、変身シーンの作画は演出も含めて一見の価値あり。全裸(ち○こ丸見え)になるのが、ごく一部で話題になったらしい。
放送終了後もサンテレビなどで何度も再放送されていたため知っている人は意外と多い。
OPテーマ「桃変化で行こう!」はさくまあきらが5分くらいで作った曲らしい。
プレイステーション・Windows版
1998年12月23日にプレイステーション版が5800円で 発売され、後にWindowsにも同じ内容で移植された。
(1999年11月18日には【廉価版】The Best for Family として2800円、 2002年07月11日には【廉価版】PS one Books として1800円で発売されている。)
ストーリーは一作目FC版に準拠しているが、 PCエンジン版「桃太郎伝説II」の内容も含まれるようにリメイクされている。FC版・PCエンジン版の「桃伝」ファンや、「桃鉄」ファンには新鮮な気持ちでプレイできると思われる出来になっているが、システム・ストーリーに対して賛否両論である。ここでは、旧作と異なる点を長所・短所に関わらず記述する。
- カードアルバムシステムの導入
ストーリー中にカード仙人の庵という場所を訪れるとカード仙人がカードアルバムをくれる。
「敵を倒す」「キャラクターから貰う」「フィールドや村で特定の場所を調べる」などの条件で手に入れたカードを保存することができ、一定の枚数を手に入れてからカード仙人に話しかけると、貴重なアイテムをくれる。 - 威風堂々システムの搭載
序盤のエリアに戻った時などで弱い敵とエンカウントした際、プレイヤーとの実力差が大きいと敵が判断した場合、心の数とお金を置いて逃げていく。 - キャラクターデザイン・設定の若干の変更
一作目と同じく夜叉姫が仲間キャラクターとして登場するが、これは「桃太郎電鉄」しか知らないユーザーから「夜叉姫って何者なの?」という質問・意見があったために登場させたのが理由とされている。旧作では地獄王(または伐折羅王)の娘という設定だったが、プレイステーション版ではどちらも登場しないため、初登場時には単純に「鬼族の娘」「鬼の王族」と名乗る。懲らしめられて改心し仲間になる時は、桃伝Ⅱと同様、高い段の状態になっている。
また、ゲーム中盤にシリーズお馴染みの「あしゅら」がボス敵として登場するが、SONY側からの規制により、露出度が大きく抑えられ、強面の顔に腕が4本あるという、実在の「阿修羅像」に近い姿になっている(旧作では裸に絹だけ纏っているという出で立ちである)。 - ゲーム中の移動について
仙人の庵で「はやあしの術」「いだてんの術」を習得することによって、移動中にダッシュができる。
しかし、(ハドソン発売のRPGに共通することだが、)この作品は特に敵とのエンカウント率が異常に高いため、ダッシュ機能が完全に裏目に出ている。 - ギャグの内容
基本的な部分は旧作から存在するが、低年齢向けなギャグが多い。
(例えば、シリーズでお馴染みの「女湯」は、近年のCERO対策に加え、制作側が同人アマチュア作家との接点を失ったことにより、ほのぼのとしたグラフィックになっている。)
モバイル版
2011年に携帯電話版の桃太郎伝説モバイルが配信されている。当初は4月18日配信のDoCoMoのi-モード、4月28日にソフトバンクの配信のみの配信だったが、遅れること8月11日にauでも配信された。 配信されているのはフューチャーフォン、(ガラケー)のみでスマートフォンでは配信されていない。
その他
- 最強パスワード「ふ」(1文字)、サウンドテストパスワード「す」(1文字)、「すべてのてき」(画像閲覧モード)など変わったパスワードがある
- 最強の術「だだぢぢ」よりも、必ず会心の一撃が出る「ろっかく」の方が使い勝手が良い
- 術の会得方法は変わっていて、「きんたんの術(体力を回復する)」を教えてくれる「いっかく仙人」や「ろっかくの術」を教えてくれる「だいちの仙人」など普通なもの(戦闘で勝利)から長い話を聞き続けなければならない「ダメ仙人(まんきんたんの術)」、10000両支払うと「ほうひの術」を教えてもらえる「ひとりでも仙人」などがいる。
- 一部の状態異常はきんたん(まんきんたん)の術で回復できる。
- ラスボスは全快アイテムを使ってくる。FC版DQ2のシドーやDQ5のミルドラースと同じ。
- マップが広いのにドラクエと異なり「船」が無いので移動が大変。洞窟もとても広い。子供向けとは思えない難易度。
- クリア後に超速移動+海上移動できるおまけモードがある(電源を切るまで有効)。
- 年齢が一定値以下(8歳以下)だと希望の都にある「女湯」に入ることが出来る。
エピソード
モバイル版がリリースされた記念として、2011年4月26日にニコニコ生放送の公式の番組「帰ってきた『桃太郎伝説』~8時半だョ!全員集合~」が放送されていたが、この番組内の22分付近で、さくまあきら自身がファミコン版で有名な「ふ」の天の声は狙って作ったものではなく、単なるバグであったと発言している。
また番組内で堀井雄二が協力者として関ってると発言しているが、依頼の手順は企画書に協力者として名前を載せハドソンに企画を通したその後に、事後報告として協力の依頼をしていた。
ちなみに堀井雄二はドラクエ3の製作期間中にテスターやデバッガーをしていたらしい。
関連動画
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関連項目
- 11
- 0pt